はじめに
理系の実験レポートは大変という噂をよく聞きますが、みなさんは実験がどのくらい大変かイメージできますか?
本記事では、実験レポートを書く流れを具体的に紹介します。
実験レポートを書いている理系大学生の意見も載っているので、是非参考にしてみてください!
目次
実験レポート完成までの一連の流れ
【実験レポート完成までの一連の流れ】①実験前にきちんと予習する
実験レポートを書く前に必要なことは、きちんと予習をすることです。
事前に実験方法、実験器具、使用する試薬、課題内容、考察課題が簡単に書かれている実験書が配られるので、それを元に予習を進めます。
まず、実験方法を確認してフローチャートにまとめます。この作業により、実験を効率よく進めることが出来ます。
また、実験中に起こる可能性のある事故を減らすために、試薬の構造式、分子量、特徴などを前もって調べておく必要があります。
予習の所要時間は実験内容によりますが4〜6時間程度です。予習には時間がかかるので数日前から計画的に進める必要があります。
【実験レポート完成までの一連の流れ】②予習した手順に気を付けながら実験する
実験中には予習した内容を何度も確認することが大切です。
実験の所要時間は3〜4時間で、いい結果が得られないときや実験手順を間違えるとやり直しになってしまうので、慎重に行います。
また、大学では高校よりも危険な物質を扱うことも多いので、白衣・保護メガネ・ゴム手袋を着用し、予習で調べた危険因子に気を付けながら実験をします。
実験では、結果を書き換えできないようにするために、ボールペンで記録をとりますよ。
例外的に、一部の実験では鉛筆で書く必要があることもあります。ボールペンの成分と試薬が反応して、文字が読めなくなってしまうことがあるからです。
【実験レポート完成までの一連の流れ】③数値の扱いに気を遣って実験レポートを書く
実験レポートに結果をまとめるために、数値を整理して表やグラフにします。複数の計算を一回に行えるExcelを使用することが多いです。
その時に有効数字に気を付けて計算する必要があります。
実験で得た数値は必ず誤差を伴っているので、その数値の正確さを表現するために有効数字を用います。
例えば、1gという表記は0.5g以上1.5g未満の値の可能性を示していて、1.0gは0.95g以上1.05g未満の可能性を含んでいます。数値の信ぴょう性を正しく伝えるために、有効数字は重要です。
またレポートの中身を書くときに必要になるので、結果が予想していたものと違う場合はその理由を考え、考察を書きます。
本文を書くときにはWordを使うことが多いですが、計算式を入力しやすいLATEXというソフトや構造式や分子構造を簡単に描けるChemSketchというソフトを併せて使う場合もあります。
所要時間は2〜3時間の場合もあれば、考察が難しく半日以上かかることもあります。
理系の大学生に実験&実験レポートについて聞いてみた
【理系大学生の声】①実験&実験レポートは忍耐力が必要
予習からレポート作成まで膨大な時間がかかることが、ここまででお分かりいただけたと思います。実験には他にも大変な点があります。
例えば、予習で問題が出題されたり、英語で書かれた実験手順を和訳する課題が出されたりする場合があります。
また、時間を要する有機実験では混ぜるだけで1時間も必要で、3時間ほど立ったままで実験をすることもあります。
実験手順を間違えた場合や結果がうまく出ない場合は最初からやり直しになることもあるので、実験に対する慎重さや、やり直しになってもめげない力が必要ですね。
実験レポートの提出がテスト期間に重なってしまうと、さらに時間に余裕がなくなるので大変です。
また、レポートに記載する考察は自分で考えなくてはいけませんし、ネット検索が禁止されているので図書館で文献調査も必要です。
実験を通して、私は忍耐力がついたと感じています。
【理系大学生の声】②わくわくする実験がたくさんある
実験が大変なのは事実ですが、とても楽しいです。そこで、面白かったと感じた実験を2つ紹介します。
まず1つ目はアニリンの合成実験です。
(出典元:https://chiyousei.co.jp/product/cat09/dl–1g.html)
高校化学で化学反応式だけ習った実験を、実際に自分で作成できたのが面白かったです。
また、薄層クロマトグラフィー(シリカゲルなどが含まれていて吸着成分を持つ)を用いてp-ニトロアニリンの移動率を求めました。移動率が文献の実験データと一致していて嬉しかったです。
再結晶の操作で得られたp-ニトロアニリンの綺麗な黄色の結晶も印象に残っています。
2つ目は無機化学の陽イオン定性分析の実験です。
大学では高校で実物を見ることがなかったCo2+やSr2+などの陽イオンも出てきます。
水に可溶かどうか調べたり、炎色反応を使ったりして未知試料の中身を特定する作業がパズルのようで面白かったです。
酸化還元反応や化学平衡などの原理につながっているため、この実験を通して総合的に化学を理解することができます。
おわりに
実験レポートの実態をここまで見てきたがイメージはつかめたでしょうか?
レポートの作成は実験後ではなく、実験前の予習の段階から既に始まっているのです。
実験は大変ですが成功すると達成感も得られますよ!理系で実験がある学科に進む方は実験の授業を楽しんでくださいね!