集合の記号や法則
この記事では、数1・Aの前半で習う集合で使われる記号や法則について解説します。
集合は単にそれ自体が重要であるだけでなく、後で学ぶ命題や必要十分条件などを理解する上でも必要な分野です。
初めて集合を習う人や復習したい人のために丁寧に解説するので参考にしてください。
目次
集合で理解必須の6つの記号
集合で登場する記号の意味について解説します。
具体的には以下の表のようになります。
集合を表す記号①:a∈A(aは集合Aの要素である)
aが集合Aの要素であることを、a∈Aと表します。
aが集合Aの要素であることを「aが集合Aに属する」ともいうので覚えておきましょう。
また、要素ではないことを\(a \notin A\)と表します。
具体例で表すと以下のようになります。
集合A{1,3,5}について
\(1 \in A\)(1はAの要素である)
\(2 \notin A\)(2はAの要素ではない)
が成り立ちます。
集合を表す記号②:A⊂B(部分集合)
集合Aのどの要素も集合Bの要素であるとき、AはBの部分集合であるとよび、それをA⊂Bと表します。
要するに集合Aが集合Bに含まれているとき、A⊂Bと表します。
当たり前ですが、「⊃」「⊂」では意味が逆になってしまいます。
不等号()のように大きい方に口が開いていると覚えましょう。
具体的には以下のようになります。
A{1,2,3}、B{1,2,3,4,5,6,7}の時
A⊂B(AはBの部分集合である)
集合を表す記号③:A∩B(共通部分)
集合A、Bの両方に属する要素の集合をA∩Bと表し、「共通部分」と呼びます。
A∩Bの読み方は「AかつB」です。
具体的には以下のようになります。
A{1,2,3,4}、B{3,4,5,6}の時
A∩Bは{3,4}となります。
集合を表す記号④:A∪B(和集合)
AまたはBの少なくとも一方に属する要素の集合を和集合とよび、A∪Bと表します。
A∪Bは「AまたはB」と読みます。
具体的には以下のようになります。
A{1,2,3,4}、B{3,4,5,6}の時
A∪Bは{1,2,3,4,5,6}となります。
集合を表す記号⑤:∅(空集合)
要素を一切持たない集合のことを空集合とよび、記号∅で表します。
ギリシア文字\(\phi\)(ファイ)と形が似ていますが、全く異なる記号ですので注意しましょう。
空集合を具体的に考えてみます。
奇数の集合Aと偶数の集合Bを考えたときに、「偶数であり、かつ奇数である数字」は存在しないので共通部分A∩Bに属する要素はありません。
よってA∩B=∅となります。
また、A∩B={}と表すこともできます。
集合を表す記号⑥:\(\bar{A}\)(補集合)
全体集合からAに含まれる要素を除いた集合をAの補集合と呼び、\(\bar{A}\)で表します。
具体的には以下のようになります。
全体集合U={1,2,3,4,5,6,7,8,9}
A={1,3,5,7,9}
のとき、\(\bar{A}\)はUからAを除いたものなので
\(\bar{A}={2,4,6,8}\)となります。
試験に出る!ド・モルガンの法則を利用した集合の問題
試験でよくド・モルガンの法則を利用した問題が問われます。
先程紹介した記号の意味を正しく理解することができれば、ド・モルガンの法則を理解することができるので頑張ってチャレンジしてみましょう。
ド・モルガンの法則とは以下のようなものです。
ド・モルガンの法則を簡単に説明すると、「∩」や「∪」が否定されると「∪」や「∩」に変わるというものです。
集合の式から否定を取り除く際によく利用する法則です。
実際にド・モルガンの法則をベン図で表してみることで実感できると思います。
①の左辺は「(AまたはB)の補集合」、右辺は「Aの補集合かつBの補集合」です。
まず下の図を書きましょう。
次に左辺の「(AまたはB)の補集合」に対して斜線を書き込みましょう。AでもBでもないところが斜線部となります。
また、右辺の「Aの補集合かつBの補集合」も新しい図に書き込みます。
実際に図を書くとわかりますが、Aに属さず、かつBにも属さない箇所に斜線部を入れると、左辺の図と同じになることがわかります。
このように上の図を用意して実際に書き込むことでド・モルガンの法則を理解することはできます。
集合の理解は命題や必要十分条件の理解に繋がる
以上のように集合は最初は記号を覚える必要がありますが、記号を覚えてからはスムーズに学習できるようになります。
集合を理解するポイントは実際に図を書いて考えることです。頭のなかでだけで考えるとどうしてもミスしてしまいやすいです。
集合はこれから習う命題などにおいても利用する考え方なので、この記事で集合の基礎をマスターしましょう。