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東大は入学してから学部を決められる……?
東大を目指している受験生のみなさん、どこの学部を目指すかもう決めましたか?
なんとなくで学部を決めてしまうと、入学してからすごく後悔することになりますよ!
私の知り合いにも、数学が苦手なのに経済学部に入学し、毎日の課題に苦しんでいる人がたくさんいます…
また学部のことを考えずに科類を選択してしまうと、行きたい学部に行けず、大学後半2年間辛酸をなめることになります。
例えば文科一類から法学部に行くのに必要なテストの平均点は60点弱。
それに対し、文科三類で必要な点数はおよそ85点!
受験の際にしっかり考えておかないと、大学に入ってからこの25点分、大変な思いをしないといけないんです。
そんな風にはなりたくありませんよね?
そこで今回は東大の学部について一つずつ紹介していきます!
続いては後期教養学部です。
教養学部後期課程って何?どの科類から行けるの?
東大の大学入試の志望学部欄が、「○○学部」ではなく、文科一類、文科二類、文科三類、あるいは理科一類、理科二類、理科三類という風になっているのを見たことがある方も多いでしょう。
実は、これら「◯科◯類」というのは、学部名で言うと「教養学部前期課程」なのです。
3年次になると、法学部、工学部といった「◯学部」と呼ばれるものに進学するか、この「教養学部後期課程」に進学します。
一言で言うと、文理の枠を超えた、広く多角的な視点で学問を探究していく学部です。
では教養学部後期課程はどの科類から進学出来るのかと言うと、
文科一類、文科二類、文科三類、理科一類、理科二類、理科三類全ての科類から進学出来ます。
(ただし、2016年時点では、総合社会科学分科で理科三類に関しては進学者数が0人でした。しかしシステム上は進学出来ることになっています。)
例えば、総合社会科学分科という学科では、全科類から進学出来る枠が35あります。
また、総合社会科学分科の科類別進学者数は、文科一類から16人、文科二類から6人、文科三類から13人です(2016年度)。年によっては、理科一類や理科二類から進学することもあります。
ただし、学科によっては、「文三規制」なるものが存在します。
これは、「特定の科類からの第一段階での上限は15名とし、第二段階を含めても17名を超えて受け入れない。」という教養学部後期課程の方針によるものです。
このため、学科によっては文科三類から進学するのが大変難しくなっています。
詳しくは東大文科三類についての記事をご覧ください。
教養学部後期課程にはどんな学科があるの?
教養学部後期課程は、教養学科、統合自然科学科、学際科学科、PEAK(教養学部英語コース)の4つの学科に分かれており、さらに13のコースに分かれています。
・超域文化科学分科
・地域文化研究分科
・総合社会科学分科(国関)
・統合自然科学科
・数理自然科学コース
・物質基礎科学コース
・統合生命科学コース
・認知行動科学コース
・学際科学科
・A群
・科学技術論コース
・地理・空間コース
・B群
・総合情報学コース
・地球システム・エネルギーコース
・PEAK(教養学部英語コース)
・教養学科
・国際日本研究コース
・学際科学科
・国際環境学コース
ここで4つの学科について説明します。
1つ目は、教養学科です。
この学科は、超域文化科学分科、地域文化研究分科、総合社会科学分科の3つの分科に分かれています。
主にグローバル社会を見据えた、多様な文化についての研究が行われています。
2カ国語が必修であるので、少し大変かもしれませんが、国際問題に興味のある人にはオススメの学科です。
2つ目は、統合自然科学科です。
この学科は、数理自然科学コース、物質基礎科学コース、統合生命科学コース、スポーツ科学サブコースに分かれており、分野の枠を超えて科学的研究を行うことが出来ます。
文科一類・文科二類・文科三類から入った人も、この学科に進学すれば、理転することが出来ます。
3つ目は、学際科学科です。
この学科は、科学技術論コース、地理・空間コース、総合情報学コース、広域システムコースの4つのコースに分かれており、フィールドワークや実験を中心に研究するのが1つの特徴です。
文理の枠を横断した研究が出来るので、文系の人にも理系の人にもオススメの学科です。
4つ目は、PEAK(教養学部英語コース)です。
PEAKとは、基本的に初等・中等教育を日本語以外で履修した学生を対象にしたコースで、書類と面接審査によるアドミッション・オフィス(AO)入試により選抜が行われるものです。
PEAKの教養学部後期課程では、国際日本研究コース(International Program on Japan in East Asia)と国際環境学コース(International Program on Environmental Sciences)があります。
東大教養学部後期課程生の日常
教養学部後期課程生の時間割
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | |
---|---|---|---|---|---|
1時限目(8:30~10:15) | 数理科学セミナー | ||||
2時限目(10:25~12:10) | 科学技術社会論 | 量子化学 | 無機化学I | 進化行動論 | こころのトリセツTA |
3時限目(13:00~14:45) | 日本語ビジターTA | 物質科学実験 | 物質科学実験 | ||
4時限目(14:55~16:40) | 物質科学実験 | 物質科学実験 | 量子力学演習 | 量子力学III | |
5時限目(16:50~18:35) | 物質科学実験 | 物質科学実験 | 物性物理学 |
統合自然科学科の物質基礎科学コースに所属している人の時間割です。
このように、理系学科に進学すると、実験や理系科目で多くのコマが埋まってしまう、ということが多いようです。
文系学部に比べれば忙しいですが、自分のやりたい勉強や研究が出来るというのが最大の魅力ではないでしょうか。
また、この時間割に書かれている “TA” は、「ティーチングアシスタント」の略称です。
教養学部後期課程は、1・2年の前期課程と同じく駒場キャンパスで授業や実験が行われているので、このように1・2年の授業をしている教授のアシスタントに入ることもあります。
さらに、月曜日の3時限目の「日本語ビジター」では、外国人留学生向けの日本語の授業にゲストとしてアシスタントをしています。
自分の専攻以外のことにチャレンジ出来るのも、教養学部後期課程の魅力の1つです。
教養学部後期課程の名物教授紹介!
東大教養学部後期課程で有名な教授は、量子論の清水明教授です。
じっくり思考することに重点を置く独自の講義スタイルをとっており、東大理学部物理学科の人も一目置く、物理のスペシャリストです。
小学生の時に自分の部屋のカーテンを修理して電動で動くようにしたという武勇伝もある、まさに「天才」教授です。
東大教養学部後期課程を卒業したら?
卒業論文は書かなければならないの?
教養学部後期課程では、卒業するためには卒業論文が必須となっています。
学科に合わせてテーマを選び、4年の6月頃から論文を執筆します。
しかし、テーマが絞れず、苦戦している人も……。
それでも、自分のやりたい研究が思う存分出来て、卒業論文を自分の書きたいテーマで書けるのが、教養学部後期課程の醍醐味ではないでしょうか。
東大教養学部後期課程出身者は何になるの?どこに就職するの?
東大教養学部後期課程の学生はどこに進学しているのでしょうか。
2016年度卒業生の卒業後を見てみましょう。
グラフを見ると、公務員になったり一般企業に就職したりする人も少なくありません。
しかし、他学部と比べて、大学院などに進学して自分の研究を続ける人が圧倒的に多いのが教養学部の特徴です。
東大教養学部後期課程卒の有名人を紹介!
各界で活躍されている、東大教養学部後期課程を卒業した有名人を紹介します。
・明石康(元国際連合事務次長)
・塩崎恭久(政治家 元内閣官房長官)
・佐々木恭子(フジテレビアナウンサー)
・岡村仁美(TBSアナウンサー)
・渡邊あゆみ(NHKアナウンサー)
・雁屋哲(漫画家 『美味しんぼ』原作)
政界からメディア・出版物業界、さらには国際連合まで、幅広い分野で活躍されています。
あのオートファジーの研究でノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典教授も、教養学部後期課程の卒業生なんですね!
おわりに
いかがだったでしょうか。
東大文系の他学部の記事もありますので、あわせてご覧ください!