はじめに
皆さんの中で「歴史に興味があるから、史学科に進学したい!」と考えている人はいませんか?
しかし、大学で歴史を学びたいと思っても、パンフレットの情報だけではどんな研究をしているのか分からないですよね。
そこでこの記事では、史学科で扱われる研究分野の紹介やどんな人に向いているのかについて、現役史学科生の筆者が解説します!
目次
史学科は歴史について研究する学科
史学科とは文字通り、歴史について研究する学科です。
一般的に、入試の段階で史学科を選択します。
大学によっては1年次は文学部という括りで、2年次以降に文学部史学科と分類される場合もありますよ。
史学科のカリキュラムの中で選択する人が多いのは、高校の歴史の授業の延長線として親しみやすい日本史専攻と世界史専攻です。
その中でも世界史は、西洋史と東洋史に分かれていることが多く、中洋史(アラビア世界について)が独立して扱われていることもあります。
意外に思うかもしれませんが、史学科では、色々な言葉に『史』の文字を付ければ研究できるんです。
例えば教育史・交通史・食事史・武器史……。
つまり何を研究しても良い学科なんですよ!
歴史を学ぶ意味についての記事もあるので、歴史の勉強が難しいよ……!という人はぜひ一度見てみてください。
史学科に向いている人の特徴
【史学科に向いている人の特徴①】博物館や美術館が好きな人
史学科には、歴史に興味を持ち始めたきっかけが博物館や美術館だったと言う人がたくさんいます。
確かに博物館や美術館は気軽に足を運べる場なので、歴史に興味を持てそうですよね。
史学科では、珍しいものや教科書に載っている美術品の歴史的背景や変遷に関する知識を学ぶことがあります。
その知識を手に入れると、展示品をより楽しめるようになります。
史学科に進学することを考えている人は、ぜひ博物館や美術館のキャンパスメンバーズになっている大学の史学科を選んでみてください!
博物館や美術館の常設展に無料で行けるようになりますよ。
講義で学んだものや紹介された絵画などを実際に見てみると、知識の定着に繋がるので、史学科生には欠かせない制度です。
友人と一緒に足を運んだ際には、展示物を紹介するプチ学芸員のようなことをしてあげられるかもしれませんね!
【史学科に向いている人の特徴②】たくさんの文献と戦い抜ける人
史学科は歴史を「暗記」する場所ではなく、「考察」する場所です。
そして歴史を「考察」するにあたって重要な工程が、先行研究について知ることになります。
実際に筆者が受けた授業では、同じ戦乱について書かれた著者の違う2冊の本を読み比べ、その戦乱の意義や社会的影響について、2人の著者の見解を対比しながら考えました。
このような授業のみならず、史学科では自分が抱く歴史への疑問点について書かれた新書や論文をたくさん読み比べて、自分なりに結論を出す作業が多いです。
また、大学にもよりますが、筆者が在籍している大学の史学科では、他学科と比べて第二外国語の卒業必要単位数が2倍になっています。
なぜなら、日本語で執筆された論文だけではなく、ドイツ語やフランス語で書かれた海外の文献を原書で読む必要があるからです。
単調な暗記作業ではなく、たくさんの文献を読んで1つの物事をじっくり考えられる人は史学科に向いていると言えるでしょう。
【史学科に向いている人の特徴③】歴史を題材にしたアニメやゲームが好きな人
アニメやゲームが好きな人も史学科に向いている可能性が高いです!
最近は世界史・日本史に関わらず、歴史を題材にしたアニメやゲームが多いですよね。
歴史を題材にしたアニメやゲームがきっかけで、歴史に興味を持ち史学科に入学したと言っている人は多いですし、筆者もその一人です。
これらのアニメやゲームを授業内で教授がオススメしてくれることもあります。
例えば、東洋史の授業では「キングダム」という漫画をお勧めされたり、西洋史の授業中に「Fate/Grand Order」の話が出てくることもしばしば。
趣味が同じということをきっかけにして友達をたくさん作ることができますよ。
史学科を選ぶ際の注意点
【史学科を選ぶ際の注意点①】教授陣の専門研究を事前に調べておく
さて、次は史学科を選ぶ上での注意点について見ていきましょう。
大学入試の際、学部・学科よりも先に大学の名前やブランド、キャンパスの立地から受験する場所を選んでしまう人も多いですよね。
もちろんそれらの条件も大切ですが、史学科はブランドや立地だけで選んでよい学部ではないので要注意です。
なぜなら、自分が専攻したい分野を研究している教授が居ないと、思うように専門研究を進められないからです。
自分の関心がある内容について研究している教授が居れば、その教授のゼミに入った時に研究のアドバイスを受けることができますよ。
とはいえ、入学前までにお目当ての教授が見つからなくても、大学に通い始めてから教授と新たに出会うこともあるので安心して下さい!
また、大学の教育理念等で、力を入れている分野に偏りがあることもあるので、史学科を選ぶ際は十分注意しましょう。
【史学科を選ぶ際の注意点②】高校の歴史の授業とは大違い
史学科では、1年次に「日本史概論」「西洋史概論」といった形で、専攻したい分野に関わらず世界全体の歴史を学びます。
つまり、極端にある地域の歴史が苦手だと予習復習に手間取り、足を引っ張る可能性があるということです。
ですので、世界史と日本史のどちらを選択した場合でも、大まかな流れは掴めるレベルにしておいた方が気が楽かもしれません。
また、高校の歴史の授業と大学の歴史系の講義は全く違うということに注意してください!
高校では、現在明らかにされている事実を教科書を用いて暗記することが重要ですが、大学では人名・年号の詳細な暗記はあまり求められません。
なぜなら、【史学科に向いている人の特徴②】で少し述べたとおり、史学科は歴史を「暗記」する場所ではないからです。
その代わり大学では、史実を疑い実際に史料を解読して歴史の真相を「考察」する技術を養います。
高校の歴史の授業とは異なり、仮説を立証する力や自分の考えを簡潔にまとめて伝える力が身についていくのです。
【史学科を選ぶ際の注意点③】史学科は就職に不利?
史学科を含めて文系の学部はよく就職に不利だと言われることがあります。
確かに学科で得た専門知識を活かす職業は、取得した免許で就ける学芸員、中学・高校の社会(歴史)の教員、あるいは図書館司書などしか挙げられません。
しかし、筆者は学んだことを活かす=得た知識を使うことではないと考えています。
【史学科を選ぶ際の注意点②】で紹介したような、物事を多面的に分析したり参考になりそうな資料などを読み解いたりすることは、実社会に出ても活かせるスキルです。
これらのスキルを養うためにも、史学科での学びは実に有意義と言えるでしょう。
おわりに
いかがでしたか?
史学科の魅力は伝わったでしょうか。
大学を卒業してからだと、史学科ほど濃密な研究をするのは難しいかもしれません。
歴史に興味がある人はぜひ、大学の4年間という貴重な時間を自分の大好きな分野の研究だけに役立ててみませんか?
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