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【東大生 勉強法】ノートまとめ勉強法とは?
教科書を読むだけではなかなか覚えられない!
暗記科目の勉強をするとき、教科書を読んだだけではなかなか内容が頭に入ってこないということはありませんか?
暗記科目の勉強では、暗記しなければならないことのほとんどは教科書に載っています。ですから、勉強するうえで最も基本になるのは教科書ですし、皆さんも勉強をするときは教科書をよく参照すると思います。
教科書の内容が完璧なら試験も余裕のはずなのに……。教科書をただ読むだけではだめなのは、教科書には膨大な量の情報が載っていて、それらをただ読むだけでは十分に内容を整理しきれないことが原因と考えられます。
そんな時は自分で分かりやすいようにノートにまとめ直すのがおすすめです。
ですが、こういうと多くの方はこう思うと思います。
「教科書をまとめ直すのって時間がかからない?」
もちろんこれに対する回答としてはYesです。でも、ここは「急がば回れ」だと思います。一度自分の頭で考えてまとめたことは記憶に残りやすく、何度も確認するよりも効率的に覚えられるからです。
これから、私が実践してきたノートまとめ勉強法について紹介します!
必要な情報に絞ろう
先ほども述べたように教科書には情報が満載で、読んだだけでは整理しきれず、何から覚えればいいのか途方に暮れてしまいます。そんなときはちょっと立ち止まって、それぞれの知識について自分なりに説明してみると、混沌とした情報が整理されてきます。
まずは、教科書の太字事項をノートに抜き出し簡単にまとめなおしてみましょう。まとめ直すとはいっても教科書のように文章で書く必要はなく、表にしたり、説明を箇条書きにするのでも十分です。あとで自分がノートを見返したときに分かるくらいの情報量に絞りましょう。
まとめるのはとりあえず太字だけでも十分とは思いますが、太字ではないけれどこれは大事そうだと思うものがあれば、それもまとめに入れるのもいいでしょう。このあとにまとめ方の例も載せてあるので、そちらも参照してください。
このときに大切なのは、他の事項とのつながりを意識しながらまとめることです。実はこれがこの勉強法の一番大事な所であって、これについては次の事項で詳しく書いていきます!
知識どうしのつながりを理解して記憶に残りやすくする
ある知識を覚えるとき、知識どうしの理論的な順序、または因果関係を理解していると格段に覚えやすくなります。まとめの段階ではこのつながりを理解してほしいのです。
例えば世界史を例にとると、教科書では地域ごとの歴史をまとめたものが、時代ごとに区切られて載っています。
このまとめ方ゆえに、地域ごとの歴史を時代が若干前後しつつ学ぶことになるので、教科書を読む学生からすると、同じ時代の各国の状況や通年史を考えようとしても、前習ったところを忘れていてごちゃごちゃになる、なんてことになりがちです。
この状況から脱却するには、自分で知識のつながりを補うしかありません。これが、このノートまとめ勉強法の肝心なところです。教科書や参考書を読むだけでは理解しきれない、単語同士のつながりを自分でまとめ、書き出してみるのです。
さっきの世界史を例にとって筆者がまとめてみました。
例)唐(高校世界史)
- 始めに
隋(都:長安)の2代皇帝の煬帝による高句麗遠征失敗が続き、各地で反乱がおこる。李淵がこの混乱に乗じて唐(都:長安)を建国。
唐(都:長安)
初代 李淵(高祖) | |
2代 李世民(太宗) | 中国統一。突厥・高句麗・西域諸国・南海を征服。三省六部・租調庸・府兵制の整備。治世は「貞観の治」と呼ばれた。 |
3代 高宗 | 唐の最大領域を実現。皇后は則天武后。 |
(一時中断) | 則天武后の即位により唐が一時中断。 |
周の則天武后 | 則天武后が建国、一代のみ。周の政治を模範とする。 |
(4代 中宗) | 唐を復活させた。皇后の韋后に殺され、実権を奪われる。(則天武后・韋后により唐の政治が混乱したことを「武韋の禍」という) |
6代 玄宗 | 韋后一族を退ける。治世は「開元の治」と呼ばれる。晩年は楊貴妃を寵愛し、政治が乱れる。 |
- 三省六部
三省は中書省(詔勅の立案)・門下省(詔勅の審議)・尚書省(詔勅の実施、行政機関) からなる。六部は吏部・礼部・兵部・刑部・工部・戸部からなる。明の初代皇帝の洪武帝 により中書省が廃止され、六部が皇帝直轄になった。
- 租調庸
・・・
(なお、筆者がセンターまでしか世界史をとっていないため、センターレベルになっています。2次試験も世界史をとる方も、これを参考に自分でまとめてみてください!)
また、4代中宗は重要度が比較的低いですが、武韋の禍をについて書きたかったので加えました。これに付随する三省六部や租調庸などの説明を加え、他の時代で再登場する時の説明も補足しています。このほかにも、府兵制のほかには徴用制度にどんなものがあるか、を一緒にまとめると覚えやすいかな、などまとめ方のアイデアは他にもたくさん浮かんでくるでしょう。
理系の方のために、高校化学でもやってみました。
例)鉄のまとめ(高校化学)
- 鉄鉱石の製錬
銑鉄:赤鉄鉱(主に三酸化二鉄)や磁鉄鉱(主に四酸化三鉄)を一酸化炭素や炭素で還元して得る。炭素を4%程度含む。
鋼:銑鉄を酸素によりさらに還元して得る。炭素の割合は0.02~2.0%。
- 水素よりイオン化傾向が大きく、希硫酸と水素を出しながら反応する。
Fe+H₂SO₄→FeSO₄+H₂↑(淡緑)
希塩酸とも反応する。
Fe+2HCl→FeCl₂+H₂↑(淡緑)
- 鉄の酸化物
酸化鉄(Ⅱ)FeO(黒)・三酸化二鉄(Ⅲ)Fe₂O₃(赤褐)・四酸化三鉄Fe₃O₄(黒)
- 鉄イオンの反応
鉄イオンは、Fe²⁺とFe³⁺の2種類。二価のイオンは空気中で酸化されて三価のイオンに変わりやすい。
Fe²⁺ | Fe³⁺ | |
NaOHまたはアンモニア水 | Fe(OH)₂↓(緑白) | Fe(OH)₃↓(赤褐) |
ヘキサシアニド鉄(Ⅲ)カリウム水溶液 K₃[Fe(CN)₆]aq | ターンブル青↓(濃青) | |
ヘキサシアニド鉄(Ⅱ)カリウム水溶液 K₄[Fe(CN)₆]aq | ベルリン青↓(濃青) | |
チオシアン酸カリウム水溶液 KSCNaq | 血赤色溶液になる |
※Fe(OH)₂、Fe(OH)₃はともに過剰のNaOHaq、NH₃aqに溶解しない。
※ヘキサシアニドの反応では、二価の鉄イオンを含むものと三価の鉄イオンを含むものが反 応するのに注意!
※チオシアン酸カリウム水溶液と反応するのは三価の方であるのに注意!
内容はこの程度の情報量で十分だと思います。説明は簡潔な文章のほうが見やすいです。
【東大生 勉強法】まとめることの効用は忘れにくいこと
これまでで、ノートまとめ勉強法の概要を説明してきましたが、次はこの勉強法の効用について話したいと思います。
知識はつながっていると記憶に残りやすくする
教科書のあちこちに散らばった情報を探し、しかもそれらをまとめあげるのはなかなか大変なことです。
それでもその作業をオススメするのは、一度自分の中にまとまった知識を構築しておくと、復習するときに一つの単語を見ただけで、それに付随する事柄が芋づる式に次々に頭に浮かんでくるようになるからです。知識を思い出しやすくなり、効率的な復習が出来るようになるのです。
自分で考えたことは忘れにくくなる
歴史で年号を覚えるとき、自分で語呂合わせを考えると記憶に残りやすいという経験をしたことはありませんか?この例が示すように、自分で考えるという過程を経ることで、記憶が定着しやすくなります。
ですから、先に述べた通りまとめる作業は、時間がかかっても自力で行なってほしいのです。まとめる過程であれこれ情報を取捨選択し考えることも記憶の定着を手助けします。
【東大生 勉強法】まとめノートを活用しよう
まとめノートは自分だけの参考書に
まとめノートは、一度自分がつまずいたところをまとめたノートになるので、自分の苦手をそのまま反映します。自分の苦手がまとまった、自分だけの参考書になるわけです。
自分がわかりやすいようにまとめておけば、分からなくなっても教科書の該当箇所を探して噛み砕き直す必要もありません。ノートを見返すだけですぐに確認できるので、復習にかかる時間が短縮できます。
赤シートを活用して何度も確認!
もちろんノートに一度まとめるだけで完璧に覚えられるとは限りません。暗記をするためには反復練習も不可欠です。そこで、まとめノートのまとめ方を反復練習できるようなものにすることで、復習の効率をあげることができます。
例えば、オレンジペンで重要語を書くと赤シートで隠せるようになり、自分だけの問題集になります。もちろん単語だけでなく、記述問題形式のものを用意するのも良いですね。
ノートが出来上がったら、自分で問題にしたところは完璧に答えられるくらいになるまで何周でもしてください。また、一度完璧にしたとしても、人は使わない知識をどんどん忘れていく生き物なので、ちょっと知識が抜けてきたなと思ったら何度でもノートを参照してください。
一度さらっと全部読んでから、問題形式で取り組むと良いと思います。知識が抜けた状態で問題に取り組むより、インプットした知識を正確にアウトプットする練習のほうが学習効果が高くなります。
まとめノート勉強法のまとめ
いかがでしたか?
最後に、まとめノート復習法の大事なところをもう一度確認しましょう。
- 大量の知識に混乱したら、立ち止まってひとつずつ整理してみよう!
- まとめるときには、あとで自分が見直して分かるくらいの情報量に絞ろう!
- 関連事項との関係も意識しながらまとめよう!
- 反復練習できるようにまとめて、復習の効率をあげよう!
筆者はノートまとめ勉強法で世界史をはじめとする暗記科目を乗り切ってきました。皆さんもノートまとめ勉強法を実践して、効率よく勉強を進めましょう!
参考文献:
化学の新研究(卜部庸 三省堂)
世界史用語集(山川)