【芸大受験】多浪経験者にインタビュー!「多浪」の実態について調査してみた

はじめに

一般大学の受験では、あまり馴染みのない「多浪」。

そもそも多浪とは2浪もしくは3浪以上のことを指すのですが、芸大美術学部の学生の浪人経験率は9割以上で、多浪もかなり多くいます。

今回、芸大に在籍している多浪経験者のお二人にご協力いただき、浪人経験に関するお話を伺いました。

一般大学受験とは一味も二味も違った受験が見えてくると思います。

東京藝術大学・多浪経験者へインタビュー

5浪:日本画専攻 Uさん

受験時代のUさんの絵

藝大受験 多浪ってどんなこと?

受験勉強はいつから始めましたか?

美大予備校に通い始めたのは、高校三年生の秋が終わる頃でした。
高校時代は部活漬けで美大に行く意志は希薄でしたし、受験というよりただ単純に絵が上手くなりたいという気持ちで始めました。
美大受験としては遅いスタートだったと思います。

なぜ芸大を目指そうと思いましたか?

全国各地から個性的でなおかつ技術的な水準の高い生徒が集まるので、そこから刺激を貰って自分の作品をより良くしていけると思ったからです。

浪人時代の生活は?

すごくストイックというわけではありませんでした。
予備校では科の内外共に友達が多く、一緒に飲みに行ったり、趣味を楽しんだり、バイトをしたりと盛り沢山でした。
ただ、最後の年に限っては朝8時から夜の9時近くまで予備校に缶詰めな日がほとんどでしたね。

浪人時代の思い出は?

いっぱい叱られたのが今では良い思い出です。
人間、年をとればとるほど人生で叱られる機会というのは少なくなっていきます。
多浪してしまった僕に、それでも講師の方々は厳しく接して下さいました。
今でも感謝しています。

浪人時代の支えは?

「自分が誰よりも絵が好きなんだ!」という気持ちが支えでした。
芸大は絵が上手い人より絵が好きな人が入るべきだと思っています。
僕より絵を描くことが上手い人は山の様にいましたが、それでもへこたれずにここまで続けられたのはそれのお陰です。

浪人時代はあなたにとってどのようなものですか?

少し照れ臭い言い回しですが、大人への階段でした。
大人とは、「自身の事をよく理解している人」のことを指すと思います。
自分に今できる事は何か、逆にできない事は何なのか。
それを理解した上で今、自分に出来る精一杯を試験で出し切れば浪人は終わります。
長く浪人してしまいましたが、この経験はこれからの人生において大きな財産となるでしょう。

4浪:彫刻科 Tさん

受験時代のTさんの彫刻

藝大受験 多浪ってどんなこと?

受験勉強はいつから始めましたか?

高校三年からかな。ただ一年生の頃から彫刻は作っていました。
受験を目標にはしていなかったけれど、結果的にそのための勉強にもなっていましたね。

なぜ芸大を目指そうと思いましたか?

一流になりたいと思ったからです。
勿論他の大学、或いは大学に行かずに目指すことも出来ますが、自宅からの通い易さとか、学びの環境、またお金のこともありますし、リスクのある中でも僕にとってはこの選択が納得のいくものなので目指しました。
ただ現役の頃はそれ程芸大にこだわりはありませんでした。
浪人してから目指したいなと思うようになりましたね。

浪人時代の生活は?

僕は三年間予備校に通って、一年間を他の美術大学で過ごしたんですけれど、予備校の時はバイトと実技と、たまにライブハウスに行ったり美術館に行ったりしたくらいですね。
生活習慣はあまりよくなかったかな。
仮面浪人の時は普通に美大生として過ごしました。
友達の家に泊まって一緒に作品を作ったり、花火大会に行ったり。
力を抜いてリラックスしたほうが良いと思ったので、受験のことはセンター試験の後くらいから始めました。

浪人時代の思い出は?

仮面浪人の時のものは沢山あるけれど、一応予備校にいた時のものを上げます。
他の浪人生と講師とで旅行に行ったことですね。
毎日毎日課題に向き合っていた中で、ささやかながら気分転換になりました。

浪人時代の支えは?

友達や先生からの言葉、親戚。
好きな映画や本の台詞。
あと音楽。
そして出来ないものを出来るようになりたいという気持ちです。

浪人時代はあなたにとってどのようなものですか?

技術や実技の力だけでなく、僕にとっては心も含めて成長するために必要だった大切な時間です。

最後に

Uさん、Tさん、ありがとうございました。

芸大に通っていると、多浪経験者には高い技術だけでなく、短い受験期間で入学した人とはまた違う、豊かで洗練された価値観を持っている人が多いことに気付かされます。

そんな人たちと日々関わり合いながら学校生活を送れることも芸大の魅力ではないでしょうか。




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ABOUTこの記事をかいた人

東京藝術大学で、美術と社会の関わりについて勉強しています。編集部ではデザインを担当しています。賢いメンバーに囲まれて右往左往しつつ、楽しく活動しています。