はじめに
2019年度版の『THE世界大学ランキング日本版』では、私立大学内で総合1位を獲得しているICU。
定員数は少ないものの、ICUに特化した対策はほとんど必要なく、他の私立大学と同じように誰でも受験することができます。
しかし、「ICUの入試は特殊」というイメージが浸透しているせいか、受験候補から外してしまう受験生も少なくありません。
そこで本記事では、ICU入試についての基本情報や、受験をおすすめする理由などについてお伝えしていきたいと思います。
目次
ICU入試の基本情報
入試の時期・入試科目
ICUには複数の入試方式が存在しますが、一番多くの人数を募集するのが「一般入学試験A方式」です。本記事ではこの方式について取り上げていきます。
例年試験日は2月の初めで、他の私大と比べると早い時期に設定されています。(2019年度の試験日は2020年2月1日(土))
試験科目は以下の3科目で、いずれもマーク式です。
- 「人文・社会科学」または「自然科学」(配点80点)
- 総合教養【ATLAS】(配点80点)
- 英語(リスニングを含む)(配点90点)
「人文・社会科学」・「自然科学」とは?
高校で文系を選択していた人は「人文・社会科学」、理系を選択していた人は「自然科学」を受験します。
「自然科学」は、数学(数Ⅰ・A・Ⅱ・B)、化学(化学・化学基礎)、物理(物理・物理基礎)、生物(生物・生物基礎)の4教科から2教科を選んで受験します。
「人文・社会科学」は、文学、哲学、芸術、宗教、政治、経済、歴史、社会などの分野から出題されます。
なお入学後、どちらで受験したかによって取れる授業が制限されたり、クラスが分けられたりすることは一切ありません。
総合教養(ATLAS)とは?
Aptitude Test for Liberal ArtSの頭文字をとり、「アトラス(世界地図)」と呼ばれるICU独自の試験です。
ICUの特徴である、文系・理系にとらわれないリベラルアーツ教育への適性を測る試験となっています。
試験内容は15分程度の短い講義(日本語)を聴き、それに関する設問に解答した後、講義で扱われたトピックについて、人文科学、社会科学、自然科学の観点からの論述等を読み、それぞれの設問に解答する、というものです。
ICUの授業の疑似体験を通して、判断力、思考力、知識や考え方の応用力などを評価し、ICUの教育への適性を判断することが狙いです。
「ICUの入試は解きにくい・受かりにくい」という誤解
誤解①:ICUに特化した塾や勉強が必要じゃないの?
「ICU合格には、早期からの特別な対策が必要じゃないの?」「普通の受験勉強では受からないんじゃないの?」と聞かれることがよくあります。
確かに他大の国際系の学部では、TOEFLやTOEICの高スコア、留学経験などがあった方が入試に有利となることもあるようですし、実際そうした入試対策に特化した塾や予備校もあります。
ICUも大学名に「国際」が入るため、同じように誤解されているのかもしれません。
しかし筆者の周りでは、日本の高校で普通の大学受験勉強のみしていたけれど、「対策は赤本で過去問を数年分解いただけ」という人や、「出願シーズンになってから受験を決心した」というICU生も多くいます。
ですから他の国内大学を目指すのと同じ感覚でICUを志望しても、合格は可能です。
誤解②:「人文・社会科学」や「自然科学」って難しそう
「人文・社会科学」や「自然科学」と聞くと難しそうに感じる人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
理系の人が受験する「自然科学」は、数学・化学・物理・生物の4教科から自分が得意な2教科を選べば良いため、「数学・物理は得意だけど化学は苦手……」「理科は好きで得意だけど、数学に自信がないから理系を諦めようかな?」といった人にもおすすめです。
また内容もそこまで難しくはないため、落ち着いて解きさえすれば大丈夫です。
一方の「人文・社会科学」も、「文学、哲学、芸術、宗教、政治、経済、歴史、社会などの分野から出題される」と聞くと難しい知識が要求されそうですが、歴史などの知識が問われるのは数問であり、実質現代文の試験に近いため、過度に不安視する必要は無いと思います。
誤解③:ATLASの対策に時間が掛かりそう……
結論から言うと、ATLASに特化した対策をする必要はありません。
ATLASで問われる知識レベル、文章量はセンター試験程度です。というのも大学側が本当に問うているのは、並外れた知識量などではなく、「その場で考える力・文章を正しく読解する力」だからです。
受け身でただ知識を詰め込むのではなく、自分の頭で考えながら学んで欲しい、というのが大学側の狙いなのです。
誤解④:英語が得意じゃないと受からない?
英語のイメージが強いかもしれませんが、ICUは決して入学前から英語が得意な人ばかりではありません!
流暢に英語を話すOB・OGのなかにも「初めから話せたわけではなく、入学後に英語力が大幅に伸びた」という人は多いです。
試験の配点を一見すると、英語が取れないと受からないように思うかもしれません。
しかし全体のうち英語の配点は4割弱な上、合格最低点は250点満点中140点前後です。つまり英語が苦手でも、他教科で点数を稼ぐことができれば、合格は十分可能だと言えます。
ICUの受験をおすすめする理由
入試の時期が早く受験しやすい
最初にお伝えしたようにICUの試験日は早く、他の大学の試験日と重なりにくいため受験しやすくなっています。
他大学の受験も考えている場合は、大学入試の雰囲気がどのようなものかを知るのにも良いでしょう。
国立大学も受験予定の場合、ちょうどセンター試験と二次試験の中間くらいの日程なため程よい緊張感が保て、センターボケも防げるかもしれませんね。
実は特別な対策は要らない
前述したように、特殊で解きにくいように思われがちなICUの試験ですが、実際は特別な対策は必要ありません。
難関大学、特に国立大学を目指している人であれば、知識はセンター試験対策で、思考力は二次試験対策で十分カバーできるものとなっています。
私立専願であっても、他大学と違って細かい知識がほとんど問われないので、人によっては解きやすく感じるはずです。
入学後のミスマッチが起きにくい
これに関しては入試そのものというより、受験校選びの視点からおすすめしたい点です。
大学入学後の失敗談として、「入学した学部と自分の学びたいことが違った」「思いがけず全然興味のない学部に入ってしまって辛い」という話を耳にすることがあります。
自分の理想と現実のギャップに、入学直後から「こんなはずじゃなかった……」とモチベーションが下がってしまうことも。
ICUは名目上「教養学部」しか設置していないため、行きたい学部を絞っている人は受験校として視野に入れないかもしれません。
しかしICUでは2年次の終わりに専攻科目を決められる上、卒業証書にも何を専攻したかが記載されます。
そのため、やりたいことがはっきり決まっていないという人はもちろん、既に志望学部を絞り込んでいるという人にもおすすめできるのです。
おわりに
いかがでしたか?
ICU入試は一般に思われているほど解きにくいものではなく、多種多様な学生を入学させるための試験となっているので、興味が湧いた人はぜひ挑戦してみてくださいね!