はじめに:あまり知られていない3年卒業制度
みなさん、大学の3年卒業制度って知っていますか?
3年卒業制度とは、その名の通り大学の学部を4年ではなく3年で卒業できる特例制度のことです。いわゆる「飛び級」ですね。
「飛び級」自体はよく知られていても、3年卒業制度の実態に関する情報はネット上にもほとんどありません。適用した人の絶対数がまだ少ないからです。
そこでこの記事では、この制度を利用して早稲田大学人間科学部を3年で卒業しようとしている筆者が、この制度の実態を赤裸々に語ります。
「飛び級」に少しでも興味のある人は、ぜひ目を通してみてください!
目次
早大人間科学部を3年で卒業するための条件
ここでは、早大人間科学部(以下、人科)を3年で卒業するための条件についてご紹介します。
早大人科の3年卒業制度適用に関する詳細はこちらからご覧いただけます。
3年卒業制度の適用条件は各大学・各学部によって異なっていますので、ここで紹介するのはあくまで一例としてお考えください。
制度適用のための条件
早大人科で3年卒業制度の適用を受けるための成績審査に関する条件は
- 1年終了時に適用申請をする場合
卒業算入単位を36単位以上修得していて、
1年次のGPAが3.70以上であること
- 2年終了時に適用申請する場合
卒業算入単位を76単位以上修得していて、
2年次までのGPAが3.70以上であること
となっています。この成績審査の後面接審査を受ける必要がありますが、はっきり言って面接審査は形だけのものなので、特に気にすることはありません。
GPAとは、大学の成績評価のことで、各科目の評価の平均点を表しています。
早大の場合、成績はA+、A、B、C、Fの5段階評価でつけられ、A+なら4点、Aなら3点、Bなら2点、Cなら1点、そしてFなら0点となります。
したがって、早大人科で3年卒業制度の適用申請を行う場合は、A+評価をだいたい7割以上の確率で取らなければなりません。
適用後の特例
さて、早大人科で晴れて3年卒業制度の適用が認められた場合、科目登録上の特例が認められます。
まず、1年で取れる単位の上限が、41単位から49単位に引き上げられ、半期で取れる単位の上限も24単位から26単位に引き上げられます。
これは、3年間で卒業に必要な124単位を取れるようにするための特例です。
また、自分の学年の1つ上の学年を対象とする講義の履修が認められます。
そのため、1年終了時に適用が認められた場合、2年生からゼミに入ることができ、早くから本格的な研究に携われます。
重要な特例は基本的にこの2つですが、「俺、実は飛び級してるんだ」とドヤ顔で自慢できるという心理的な特例もついてきます(笑)
最終的な制度の適用条件
早大人科の場合、適用が認められた後も面接審査などがあります。
1年次に適用が認められた場合は、2年終了時に成績を確認されたり研究計画を発表したりする面接審査があり、それを経た上で次年度も3年卒業制度の適用を受けられることになります。
そして3年終了時に再び審査が行われ、
- 3年前期までのGPAが3.50以上であるか
- 3年終了時までに修得単位が卒業条件を満たしているか
- 卒業研究の評価がA+であるか
この3点が問われます。この審査を経て、ついに3年卒業の資格を勝ち取ることができるのです。
実は筆者は、1週間後に2年終了時の面接審査を控えており、戦々恐々としております。基本的に落とされない面接なのですが、やはり緊張感はありますね(汗)
3年卒業制度のメリット
3年卒業制度のメリットは、筆者の経験上、大きく分けて以下の3つがあると思います。
経済的な負担が軽くなる
大学生も、大学生の子を持つ親御さんも、学費の負担はできる限り避けたいと思っていることでしょう。
3年卒業制度の適用が最終的に認められれば、1年分の学費を浮かせることができます。
筆者の通う早大人科の1年間の学費はだいたい160万円ほどなので、これが1年分ゼロになれば、かなり家計は助かります。
それに、3年卒業制度の適用を受けていると、奨学金を借り(給付され)やすくなる可能性もあります。
「飛び級」しているという事実は、その人の能力の高さを簡単に証明してくれますからね。
というわけで、経済的な負担を軽くしたいと思っているなら、ぜひ3年卒業制度の適用を目指してみましょう!
1年早く自分のしたい研究ができる
筆者が3年卒業制度を利用しようと思った最大の理由は、実は「さっさと本格的な研究がしたい!」というものでした。
大学1年生のころ、筆者は1年生向けの必修講義の退屈さに飽き飽きとしていました。
自分のやりたい研究はある程度はっきり決まっていたので、全く関わりのない分野の講義は受けたくなかったのです。
「早く研究したい!」その思いから私は3年卒業制度を利用し、2年生にしてゼミに入りました。
それから約1年が経ちましたが、ゼミはやっぱり最高に面白いです。
普通の講義と違って、自分の興味に合わせてある程度自由にやることを決められますし、学生や教授とのディスカッションはとても刺激的です。
ですから、自分のやりたい研究がある人も、ぜひ3年卒業制度の適用を目指して欲しいと思います。
教授たちに目をかけてもらえる
3年卒業制度の適用を受けて、筆者が予想していなかったメリットが、教授たちから目をかけてもらえるということでした。
2年前期の学期末だった7月下旬の話です。
キャンパス内の廊下で筆者は、当時取っていた講義を担当していた教授とすれ違いました。
筆者はその講義を最前列で聞いていたので、教授の方も筆者の顔を覚えていたのです。
「こんにちは」と教授から話しかけられました。そして、「君は何年生なんだっけ?」と聞かれました。
筆者は、面倒な質問だなと思いつつ、3年卒業制度について説明しました。
すると教授から思わぬ言葉が出てきました。「そうか、成績が大変なんだね。いいよ、そのことも考慮して成績つけてあげる。」
「なんですって?」と思いましたが、実際その講義の評価はA+になっていました。恐るべし、3年卒業制度。
みなさんも、3年卒業制度を適用していると、思わぬところで教授から好待遇を受けることがあるかもしれませんよ?
3年卒業制度のデメリット
3年卒業制度には、様々なメリットがある分、実はデメリットもあります。以下では、筆者が今実際に感じている2点のデメリットをお伝えします。
成績に対するプレッシャーがすごい
早大人科を3年で卒業するためには、3年前期までの成績が3.50以上である必要があります。
満点が4.00ですから、かなりの高水準を要求されていると言えるでしょう。
正直なところ、3.50以上を安定して取るためには、全教科A+を取るくらいの気持ちで講義に臨まなければならないと筆者は思います。
ですから、どれだけつまらない講義であっても、真面目に勉強してレポートを書き、テストを受けなければなりません。
しかもミスが許されないので、学期末はかなり精神的に消耗します。
このように、3年卒業制度の適用を受けると、精神を少なからず削られることになります。メンタルに自信がない方は注意してくださいね。
院試の勉強の負担が大きい
3年卒業制度を利用する人は大学院に進む場合が多いです。
制度の適用条件の中に大学院進学が盛り込まれていることもありますし、3年卒業制度を利用する人は向学心のある人が多いからというのもあるでしょう。
しかし、3年次に院試を受けて合格するのは容易ではありません。単純に、普通の学生より1年間学習期間が短いからです。
筆者も早大もしくは東大の大学院進学を目指して目下勉強中ですが、果たしてどうかな?という感じです(泣)
さらに、卒論や大学の講義と並行して院試の勉強をする必要があるので、なかなかまとまった勉強時間が取れないという問題もあります。
ですから、3年卒業制度を利用して大学院に進む場合、普通の学生以上の努力をしなければなりません。
(人ごとのように言っていますが、記事を書いていて筆者も焦ってきました。頑張ります)
おわりに:3年卒業制度は慎重に考えてから適用しよう
いかがでしたか?3年卒業制度の実態が、ぼんやりとでも伝わったでしょうか?
3年卒業制度の適用者はまだかなり少ないので、適用が認められれば世間的にも評価は上がり、学内でも様々なメリットが受けられるのは事実です。
しかしその反面で、精神的・時間的なデメリットが発生するのもまた事実です。
これから大学に入って3年卒業制度を目指す人は、こうしたメリット・デメリットを踏まえた上で、適用申請するかどうか決めてくださいね!