【3分でわかる世界史】中世のヨーロッパ史をわかりやすく解説!

はじめに:中世ヨーロッパ史をわかりやすく解説!

みなさん、中世ヨーロッパ史は得意ですか?

中世ヨーロッパ史は、流れが複雑で覚えるのが難しい分野ですよね。

そこでこの記事では、まだ中世ヨーロッパ史が頭に入っていない人のために、中世ヨーロッパ史の大きな流れをわかりやすく説明します!

高校1年生で中世ヨーロッパ史を今から学ぶ人、もうすぐ世界史のテストがある人はぜひ最後まで読んでみてくださいね〜。

この記事の一部の内容は、『図解 世界史』(まがいまさこ・堀洋子著、西東社、2010年)を参考にしています。世界史の流れをわかりやすく図解した名著なので、ぜひこの本も読んでみてくださいね!

まずはこれだけ!中世ヨーロッパの時代的特徴をわかりやすく

世界史が苦手になってしまう人は、個々の歴史的事実の暗記ばかりをして、全体的な歴史の流れを見落とす傾向にあります。

もちろん個々の歴史的事実を暗記するのも大切なのですが、個々の事実は全体的な歴史の流れの中で初めて意味を持ちます。

ですから、中世ヨーロッパ史を学習するなら、

  1. まず中世という時代の特徴を押さえ、
  2. 次に中世という時代を特徴づける重要な出来事を理解し、
  3. その重要な出来事と関連する個々の歴史的事実を理解する

という順番で勉強するようにしましょう。いくら個々の歴史的事実を覚えても、その事実の世界史的な重要性がわからないと、学習の意味がありませんからね。

とはいえ、学校で習うのは個々の歴史的事実ばかりなので、中世という時代の特徴や、その時代を特徴づける出来事についてはあまり学んでいない人も多いでしょう。

そこで以下では、上の学習過程の①と②(時代の特徴と、時代を特徴づける重要な出来事)に相当する部分を解説します。

以下で扱う内容を踏まえて、もう一度教科書に掲載されている中世ヨーロッパ史の内容を読み直してみてください。きっと以前より格段に頭に入りやすくなっているはずですよ!

中世ヨーロッパの時代的特徴①:教会の時代

さて、まずは中世ヨーロッパの時代的な特徴を押さえておきましょう。

中世ヨーロッパは、大きく分けて

  1. 大陸側の西ヨーロッパ
  2. 東ヨーロッパ
  3. イギリス

の3地域に分類できます。

この3地域に共通する中世の時代的特徴の一つが、「教会の強い権力」です。

6世紀に現在のフランスからドイツにまたがる地域に成立したフランク王国や、11世紀にイギリスで成立したプランタジネット朝は、ローマ=カトリック教会と親密な関係にありました。

同時期に西ヨーロッパに成立したビザンツ帝国も、ギリシア正教会というカトリックとは別宗派の教会権力に依拠していました。

この教会権力の失墜に伴って、新たな時代であるルネサンス・近世が到来します。

教会が力を持った中世と、その後のルネサンス・近世。この違いを意識すると、中世という時代を理解しやすくなります!

ルネサンスを中世に含めるかどうかについては古くから議論がありますが、この記事ではルネサンスを中世から除外して話を進めます。

中世ヨーロッパの時代的特徴②:封建制の時代

中世という時代の特徴として、教会権力と同じくらい重要な要素があります。封建制です。

まがい・堀によると、封建制とは、有力者が主君として臣下に土地を与え、その代わり臣下は主君に忠誠を誓い、軍事的に奉仕するというシステムのことです(『図解 世界史』、134頁)。

皇帝に対しては諸侯が臣下となり、諸侯に対しては騎士が臣下になります。

封建制によって、皇帝・諸侯・騎士はそれぞれ自分の領土を持つことになります。

彼らが持つ領土は「荘園」と呼ばれ、領土の主=領主である皇帝・諸侯・騎士以外に、領主に対して納税や労働の義務を負う「農奴」がいました。奴隷としての農民のことですね。

ちなみに、中世の教会権力は荘園において領主となる場合が多かったので、教会権力の没落と荘園制・農奴制・封建制の崩壊はほぼ同時期に起きてしまいました。

中世を特徴づける2つの特徴は、表裏一体の関係にあったわけですね。

中世ヨーロッパの地域的な流れをわかりやすく

中世ヨーロッパの時代の特徴は、「教会権力」と「封建制」でした。

この特徴を踏まえて、以下では西ヨーロッパ・東ヨーロッパ・イギリスにおける中世史の流れを解説します。

教会権力と封建制が、いかにして成立し、いかにして崩壊したかに注目して読んでみてくださいね!

中世ヨーロッパの地域的な流れ①:西ヨーロッパ(大陸側)

ゲルマン民族の大移動〜フランク王国の成立:封建制の確立

以下の記事で取り上げたローマ帝国が東西に分裂したあと、西ヨーロッパにはゲルマン民族が流入してきて、国家が乱立する混迷の時代が約200年続きました。

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この政治的混乱に終止符を打ったのが、フランク族の国家・フランク王国です。

フランク王国を建てたクローヴィスは、もともとアリウス派というカトリックから見て異端の宗教を信仰していましたが、西ヨーロッパに根付いていたカトリック教会との関係を良くするため、カトリックに改宗しました。

クローヴィスの改宗のおかげで、フランク王国はローマ=カトリック教会と親密な関係を保つことができたのです。一種の外交政策だったわけですね。

またこの頃、教皇が自らの土地を得たことによって、教皇を領主とする教皇領が生まれました。ここから、中世の象徴である封建制が確立されることになります。

十字軍の遠征:教会権力の全盛期

封建制の拡大によって、教会は徐々に絶対的な権力者として君臨するようになりました。

そんな中、小アジア(現在のトルコ)にキリスト教勢力を脅かす新興宗教・イスラーム教のセルジューク朝が攻め込んできました。

自分たちの支配権を侵してくる不貞な輩を断罪するため、西ヨーロッパの勢力(ドイツ・フランス・イギリスなど)は一路小アジアへ向かいました。これが「十字軍の遠征」です。

十字軍の失敗:教会権力の没落、封建制の崩壊

最初こそ順調に進んでいた十字軍遠征ですが、徐々にその勢いに陰りが見え始め、第5回〜第7回の遠征は失敗に終わりました。

十字軍遠征はキリスト教の威信を賭けた戦いだったので、教皇の面目は丸潰れになり、自然と教皇の権力は失われていくことになります。

また、遠征によって西ヨーロッパの経済圏が拡大したため、貨幣経済が農民社会にも浸透するようになりました。

貨幣経済の浸透によって、農民は余剰生産物を市場で売ってお金を貯めるようになり、封建制の支配から脱するようになりました。

封建制における領主だった教会の権力失墜と相まって、封建制は次第に崩壊していきます。ここから、時代はルネサンス・近世へと移っていきます……!

中世ヨーロッパの地域的な流れ②:東ヨーロッパ

ビザンツ帝国の成立:皇帝=教皇

ローマ帝国が東西に分裂したあと、東ヨーロッパには東ローマ帝国がしばらく残っていました。

東ローマ帝国は首都がビザンティウムにあったため「ビザンツ帝国」と呼ばれているのですが、このビザンツ帝国では皇帝が教皇となる制度が取られていました。

ビザンツ帝国で信仰されていた宗教は「ギリシア正教会」と行って、ローマ=カトリック教会とは別宗派なのですが、教会が絶対的な権力を持っていたという点では共通していますね。

ビザンツ帝国の崩壊:オスマン帝国の台頭

ヨーロッパの商業の中心都市として繁栄したビザンツ帝国ですが、十字軍の争いに巻き込まれたせいで、徐々にその勢力に陰りが見えるようになります。

そして1453年、復興の努力も虚しく、ビザンツ帝国はイスラーム勢力のオスマン帝国に滅ぼされてしまいます。

建国から1000年、東ローマ帝国=ビザンツ帝国の歴史は、ここで幕引きとなりました。

中世ヨーロッパの地域的な流れ③:イギリス

プランタジネット朝の成立〜マグナ・カルタ:貴族と教会の全盛期

イギリスで「中世」という時代が始まったのは、1154年にプランタジネット朝が成立してからだと言われています。

プランタジネット朝期が中世に組み込まれるのは、この時代に貴族と教会を始めとする封建領主たちが力をつけ、王権を圧迫していたからです。

例えば、13世紀のジョン王は司教権をめぐってローマ教皇と争った結果、教皇に破門されていますし、貴族たちには「マグナ=カルタ」と呼ばれる国王の権力を制限する法律を認めさせられました。

「国王」と聞くと偉そうな感じがしますが、この時代ではむしろ国王は貴族や教皇に圧力をかけられる立場にあったのです。

百年戦争〜バラ戦争:貴族と教会の没落

イギリスの貴族と教会は、12〜13世紀にかけて栄華を極めましたが、やがてその勢いに陰りが見えるようになります。

きっかけは14〜15世紀にかけて起こった百年戦争とバラ戦争です。

イギリスとフランスとの間で長期間続いた百年戦争の中で、イギリス国内では戦いを続ける封建領主たちへの不信感から、農民の反乱が続発します。

百年戦争でのイギリスの敗北、イギリスの貴族同士の戦いであるバラ戦争の勃発も重なって、封建領主としての貴族・教会の力は徐々に衰退していきました。

貴族・教会に代わって力をつけてきたのが、イギリス国王です。バラ戦争によって貴族が没落した後、イギリスでは絶対王政の時代が到来することになります……!

おわりに:中世ヨーロッパ史のまとめ

いかがでしたか?

この記事では、中世ヨーロッパ史の大きな流れをわかりやすく解説してきました。

最後に、この記事の内容をまとめた表を掲載しておきます。参考にしてみてくださいね。

それでは!!

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