はじめに
2022年度から地理総合が必修化され、文理問わずすべての高校生が地理を履修することになりました。
この記事では、東大に通う筆者が考える地理を勉強する意味を説明します。
地理を勉強する意味が理解できれば、より楽しみながら勉強できるでしょう。
目次
地理とはどのような学問か
地理を一言で説明すると、「常識力を鍛える科目」です。
特に特定の地域の性格について扱う地誌分野などは、国際情勢などを理解する基礎となる事項が多いです。
たとえば、地理の地誌分野で石油が新期造山帯に偏在していることを学ぶと、現代の中東付近での対立の背景を理解できます。
知識を習得するには、普段から新聞を読む方法がおすすめです。
教科書に書いてあることを丸暗記しようとしても、量が膨大ですべて記憶することが困難なので、普段から国際情勢と地域の性格の知識に触れることが重要ですよ。
地理を勉強する意味
地理を勉強する意味①:知識を体系立てて整理する力が身につく
地理を勉強することで、語句を覚える力をつけることができます。
たとえば山脈の名前は、グレートディバインディング山脈やロッキー山脈などカタカナばかりで、さらに新期・古期の分類も覚える必要があるので大変ですよね。
そこで、山脈の名前や分類を体系立てて整理し、覚えることが必要になります。
新期造山帯・古期造山帯のおおよその位置を地図上で把握しておくと、個々の山脈の分類も理解できます。
このように知識を整理して覚える作業を繰り返すことで、徐々にたくさんの語句を覚える力がつきますよ。
同時に、地理を勉強することで、物事を体系立てて考える力を向上させることができます。
地理では、各地域間での規則性や地域的な特色を考慮すると、たくさんの知識を体系的に整理できます。
たとえば、石油の産地を丸暗記するのではなく、石油が新期造山帯に分布することと新期造山帯の位置を関連付けて覚えると、楽に暗記できますよ。
情報を体系的に整理する力も、地理以外の教科の理解や日常生活で何かを比較検討するときに必要ですよね。
地理を勉強する意味②:物事を体系立てて説明する力が身につく
覚えた知識を使って物事を体系立てて説明するためには、一つの事象について多面的に考察することが必要です。
地理では一つの事象を、位置や分布、場所、自然環境、地域、それらの相互依存関係などのさまざまな視点から学びます。
大学入試においても、どの視点を用いて考察するかが問われることもあります。
たとえば、2015年の東大地理では、ロシアと本州の同じ植生帯で、木材生産に差が生じる要因を問う問題が出題されました。地形に着目して要因を説明できるかが解答のポイントです。
大学では地理以外の分野でも、一つの物事を多面的に見ることが多いので、大学入試では受験生の多面的に考える能力を測っているのでしょう。
また、持っている知識を応用して説明することも重要です。
どれだけ暗記しても、すべての物事についての知識をもつことはできないので、知識を論理的に組み合わせて問題に答える必要があります。
たとえば、2021年の東大の地理の問題で、イスラエルにおいて女性の労働力率が高い理由を問う問題が出題されました。
このことは教科書に載っていませんが、イスラエルでユダヤ教が信仰されていることと関連させて説明することができます。
地理を勉強する意味③:調べる力が身につく
一旦知識を覚えて説明できるようになっても、自分の知識が古く信用できなかったら意味がないですよね。
そこで、最新の情報を得るために自ら調べる力をつけることが肝要です。
たとえば、新しい統計を読んだり、新聞を読んだりすることで地理に関わる情報を得ることができます。
自ら調べる力を身につけることで、地理以外でも解決すべき問題を探し、自ら探求できるようになるでしょう。
情報を調べたら、正しく読み取る必要がありますよね。
たとえばグラフの読み取りでは、目盛りや単位、相対値か絶対値かなどを正しく把握する必要があります。
これらの力は入試問題でも必要になるほか、日常生活でもメディアが伝える情報の真偽を正しく判断するために重要です。
地理を勉強する意味④:多様性を理解する力が身につく
近年では多様性の理解が盛んに叫ばれていますよね。
一言に多様性と言っても、知識として人々の文化を知るだけではなく、文化的・自然的な背景について理解することが必要です。
地理では、いろいろな国の生活文化やその背景について学ぶので、多様性理解の基礎になるでしょう。
たとえば高山気候の民族が着ているポンチョは、気温の年較差が小さく日較差が大きい自然環境に対応した民族衣装です。
自然環境や宗教的背景と関連付けることで、多様性を理解できると思います。
地理の具体的な勉強方法
地理の具体的な勉強方法①:まずは知識のインプットを行う
ここでは、筆者が東大地理で8割取れるようになった勉強法を説明します。
まずは地形、気候、産業などのくくりで整理された系統地理を勉強し、次に地誌で地域ごとに理解しましょう。
同時に新聞を読むなどして実社会で起こっていることの情報を入手し、知識を関連付けて覚えることを意識しましょう。
知識同士を結びつけることで、印象に残って覚えやすくなります。
また、必ず地図帳と資料集、データ集を机に置き、逐一参照しましょう。
古めの過去問や統計を見る際は、データが変わっていることがあるので、必ず最新の統計を確認しましょう。
入試本番で間違えないようにするために、必ず過去の統計データと傾向に差がないか確認してください。
地理の具体的な勉強方法②:問題演習で考える練習を積む
地理ではインプットよりもアウトプットを重視しましょう。
知識を組み合わせて答えを導くには、量をこなして慣れることが必要だからです。
また、すべての問題に対応した知識を記憶するのは不可能なので、インプットを完璧にすることに固執しないことがポイントです。
知識が固まっていない状態でアウトプットの練習をすると、持ち合わせの知識でいかに対処するかの練習になります。
また、問題を解くために足りない知識を把握して、集中的に覚えることができます。
東大地理では、おおよそ10年周期で同じような問題が出るので、20年間の過去問を勉強すれば、必要な知識や考え方・書き方を掴むことができますよ。
自分の答案に何が足りないか、独りよがりな答案になっていないか、といった点を他人に指摘してもらって論理的な解答を書けるように復習してくださいね。
おわりに
いかがだったでしょうか?
地理を勉強することで、将来役に立つ力が身につきます。
入試対策では自分を信じて努力することが重要です。紹介した方法で勉強を継続してくださいね。