生物はここが面白い! 【慶應生が考える】私が生物を学ぶ意味とは?

はじめに

みなさんの中には、生物・生物基礎の授業を受けていて、暗記ばかりで面白みがわからないと思っている人も多いのではないでしょうか。

確かに生物の勉強において、暗記が多いのは事実ですが、生物には他の科目にはない魅力もたくさんあります。

今回は、筆者が考える生物を学ぶ意味を紹介します。生物を楽しんで勉強する人が増えれば嬉しい限りです。

生物はどのような学問か

【生物の特徴】①未解明の内容が数多く残されている

生物の一番大きな特徴・魅力は、未だに完全に解明されていない内容・分野が多い点にあるのではないでしょうか。

例えば、物理や化学、数学においては、すでに多くの原理や原則が証明され、そう簡単に、新たな法則が発見されることはありません。

高校で習う内容も、ニュートンの慣性の法則やボイル・シャルルの法則など、昔の人が証明した基本的な法則や計算を学ぶことが多いのではないでしょうか。

一方、生物では、原因不明の病気がまだ数多くあるように、未解明の内容がたくさん残されています。

生命の起源、進化、ヒトの誕生、老化と寿命の関係……など、身近な例を考えても、まだわかっていないことばかりですよね。

未解明の内容が多い分、日進月歩で常に新たな発見がなされており、それに伴って高校生が学ぶ知識も日々アップデートされています。

例えば、高校までの学習範囲に、近年発見された内容も含まれており、筆者の高校の先生曰く、直近の研究成果次第で、数年で教科書の記載が変わる、ということもあるようです。

最先端の研究内容を高校生の自分も理解できると思うと、少し楽しくなってきませんか?

また、大学で生物系を専攻する場合には、自分の研究が未知領域の解明につながる可能性が高いと言えます。

【生物の特徴】②他の科目の知識が活かされる総合科目

高校では、理科4科目を別の科目として、それぞれ学んでいますが、各科目で内容が被っている部分もありますよね。

生物は、4科目の中でも特に、他の科目との関わりが深い科目だと言えるでしょう。

例えば、生命の誕生や古生物の分野は地学に近かったり、光合成の範囲で物理の吸収スペクトルが登場したりします。

他にも、呼吸や光合成の範囲で学ぶグルコースの分解・合成反応は、化学の知識がある程度必要ですし、酵素の反応速度を考える時も化学平衡の考え方を使いますよね。

このように、他の科目で学んだ内容を活かせる内容が多く、取り扱う内容の範囲も広いのです。

生物を勉強することで、他の理系科目の理解が深まったり、新たな気づきを得るきっかけを得られたりするといったメリットもありますね。

大学になると、さらに高校理科で学んだ内容を融合した勉強が増えていきます。

例えば、筆者が大学で受けた授業の中には、有機化合物であるタンパク質やDNAが、体内でどのような有機化学反応を起こすのかを学ぶ「生物有機化学」という授業がありました。

筆者が受けたのは、生物×有機化学の授業でしたが、他にも様々な融合のパターンがあります。

なぜ生物を勉強するのか?

【生物を勉強する意味】①生きていく上での素養が身につく

生物を一通り学ぶことで、人の体の仕組み、生物の進化、人と他の動植物の関わり、環境・生態系……など、幅広い内容の一般知識が身につきます。

生物を専攻しようと考えている人はもちろん、そうでない人も、生物をしっかり勉強することで、得た知識は、必ず普段の生活で活かせるはずです。

特に、体の臓器の働きや免疫システムなど、人の体の仕組みについては、どんな人も無縁ではいられません。

生物を学ぶことで、生きていく上で切っても切れない病気医療に関わる基礎知識が身につくのは言うまでもありませんね。

他にも、生態系や環境問題など、生物の内容が現代社会で重要なトピックの背景知識につながることは多いでしょう。

また、知識は、出回っている情報の信憑性を考える判断材料になります。

例えば、コロナウイルスのmRNAワクチン接種についても当初、様々な意見、議論がありましたよね。

噂レベルの情報や科学的根拠のない宣伝に惑わされずに、自分はどうしたら良いのか考えるためにも、高校で学ぶ知識は役立つはずです。

【生物を勉強する意味】②専門用語や話題の研究テーマが理解できる

生物、特に医療に関わる話は、よくニュースや情報誌で紹介され、話題となっています。

みなさんは「iPS細胞」やコロナウイルス感染の検査に用いられる「PCR検査」、「遺伝子組み換え食品」などの言葉の意味を知っていますか?

これらの言葉は、実はすべて高校生物で学ぶ内容です。

生物を学ぶことで、ちょっとした専門単語の意味がわかるようになるのも面白い点ではないでしょうか。

このように、生物はとても生活に身近な科目であり、普段、ニュースを聞いているだけでも、少しずつ復習ができます。

他の理系科目に比べて、教科書や資料集を読んで、独学で勉強しやすいのも生物の良さです。

テレビや書籍から情報を得て気になったトピックだけでも、資料集や教科書で調べてみてください。

【生物を勉強する意味】③膨大な知識を系統立てて覚える練習になる

高校生物の勉強において、暗記がとても多いのは事実です。暗記にうんざりだという人もいるかと思います。

生物に限らず、人に何かを伝える時、物や方法自体に名前を付けないと、うまく説明できませんよね。

生物においても、体の部位や細胞の一つ一つを区別して理解するためには名前を覚えなければ始まりません。

単に丸暗記するのではなく、情報を整理しながら覚えてみましょう。暗記は内容を理解するための手段の一つに過ぎません。

歴史を勉強する際に、単語や人物名だけをただ暗記するのではなく、ストーリーと一緒に覚えるのが良いというアドバイスがありますよね。

生物でも同じように、内容の全体像を最初に掴んでから、細かい暗記をするのがおすすめです。

例えば、免疫の分野で、白血球やB細胞といった免疫細胞の名前と働きを、いきなり一つずつ覚えようとすると大変です。

免疫には自然免疫と適応免疫の2種類のシステムがあり、それぞれの流れと、働く免疫細胞が違うことをまず理解します。それから、自然免疫を担うのが白血球や樹状細胞、適応免疫を担うのがB細胞やT細胞……という具合に覚えてみてください。

勉強を進める中で、内容に興味を持てれば、暗記がだんだん苦でなくなるはずです。

【生物を勉強する意味】④実験考察問題で読解力・文章力が鍛えられる

一見、生物と文章力は無関係に思われがちですが、実は、実験考察問題を数多くこなすことで、読解力・思考力記述力を身につけられます。

意外と知られていませんが、高校の定期テスト対策では、暗記が勉強の中心になりがちであるのに対し、入試問題は大きく傾向が異なります。

共通テストを含め、入試問題は、単純な生物の暗記問題は少なく、ほとんどが実験思考問題です。

二次試験の実験考察問題は、時に数ページにわたる実験の説明文から、実験の意図や結果を読み取って考察し、解答を数百字程度でまとめることが多くあります。

複雑な実験手順を正しく理解するには、相応の読解力、思考力が必要です。さらに、自分の考えを定められた字数内でわかりやすく説明する記述力も同時に求められます。

入試問題に取り組むことで、文章読解力や記述力が自然と鍛えられるのです。

また、問題を解いて様々な実験内容や手順を読む中で、生物の研究では、どのような実験が行われているのかを、少しずつ知ることもできるのも面白い点です。

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2022.03.20

おわりに

いかがだったでしょうか。
生物がただの暗記科目ではなく奥が深い科目と気付いてもらえると嬉しいです。

ご紹介したように、高校生物の内容は、身近な話題にたくさん取り上げられているため、気になったものからぜひ調べてみてください。




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