はじめに
2025年度入試から公民科目が再編され、「政治・経済」を選択する方々は「公共」という科目も必須科目となったことをご存知でしょうか。
ご存知でも、学校で必修科目である関係で「公共」は習っているが、今後どのように勉強すればいいのか、入試でどのように使われるのかわからない方も多いと思います。
本記事では、「政治・経済」選択者・選択予定者のために、「政治・経済」だけでなく「公共」の概要や入試について徹底的に解説しますよ!
目次
新科目「公共」とは?
【新科目「公共」の概要①】現代の社会を生きるうえで必須の「常識」を学べる科目
文部科学省は、現代社会の加速的な変化に対応できるように、思想・法・政治・経済などを学ぶことを求めています。
実際に文部科学省が発表した学習指導要領には以下の文章が目標として載っていますよ。
参照:文部科学省 高等学校学習指導要領(平成30年告示) 公民編
思想の分野では、西洋や日本の過去の思想、そして現代の思想を学び、「倫理」の一部の範囲を学べます。
法の分野では、法律の大まかな区分や一部の法律について扱っており、「政治・経済」の一部の範囲を学べます。
最近、若者の間で誤って契約するなどが問題になっていることから、「消費」「契約」に関する内容も組み込まれているんですよ!
政治の分野では、国会や内閣、司法制度、地方自治、さらに国際政治まで幅広く解説しており、「政治・経済」の一部の範囲を学べます。
経済の分野では、経済・財政の仕組みだけでなく、労働者の権利や国際経済まで幅広く解説しており、「政治・経済」の一部の範囲を学べます。
「政治・経済」を選択することを検討している人は、まずはこの「教科の理念」を認識しておきましょう!
【新科目「公共」の概要②】「公共」=旧課程の「現代社会」ではなく、「公共」特有の分野も存在
「公共」は、「政治・経済」の前段階の必修科目として設置されているため、旧課程の同位置の科目「現代社会」と完全に同一の科目として認識されますが、それは誤りです。
「現代社会」は、「倫理」と「政治・経済」の最重要部分をかいつまんでいるだけで、この科目特有の分野はほとんど存在しないんですよ。
注意点は、「公共」は「現代社会」とは違い、決して「倫理と政治・経済の簡単verで対策は必要ない」という認識をしてはいけない点です。
上記に挙げた内容だけだと、「公共」の対策はしないでいいと思われますが、「公共」には旧課程の「現代社会」「政治・経済」では大きく扱っていなかった分野が、時代のニーズに合わせて載っているんですよ!
例えば、金融はその具体例です。
今までは金融教育は日本では行われてこなかったのですが、キャッシュレス決済などが一般化する中で、カリキュラムに新たに導入されました。
日本銀行など国の金融機関や政策・システムを学ぶだけでなく、「お金」そのものの定義や、最近話題の「投資」についても学ぶことができるんですよ!
先ほども述べた「法」についても、今までも「現代社会」や「政治・経済」の教科書には載っていましたが、新課程から大きく扱われることになりました。
大学の法学部のように、憲法などを入念に学ぶわけではなく、法の枠組みや、現代社会を生きるうえで必要な法知識を学ぶんですよ!
「公共」では、高校生でも必ずする「消費」「契約」について扱われ、契約する上で知っておくべきことを大きく扱っています。
このように、単語をただ暗記するだけでなく、普段から我々自身にも関係する身近な問題に触れるようにすることが「公共」という科目の大きな目的となっているといえます。
「公共」は、旧課程の「現代社会」よりも「探究」「主体的な学習」を求めているため、みなさんは大学入試のためにも、主体的に課題を考察する必要があります。
「新しい科目だけどそこまで気にしないで大丈夫だ」と高を括ることなく、普段から現代社会の課題に目を向けるべきですよ。
公共と政治・経済は入試でどう使うの?
【公共と政治・経済の入試情報①】共通テストでの「公共」利用
「公共」は共通テストの科目として採用されています。
旧課程の時代は、共通テストの公民科目は、「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」と、新課程の「公共」にあたる「現代社会」は単独の科目で存在しました。
しかし、新課程では、「公共」は単独の科目として存在せず、「公共、倫理」「公共、政治・経済」の2科目に再編されるんですよ。
先ほど記載をしましたが、「公共」は2022年度以降の教育カリキュラム上、必修科目であるため、「政治・経済」選択者も必ず学習する必要があり、大学入試でも要求されます。
実際、共通テストでは100点満点のうち、25点分が「公共」分野、75点分が「政治・経済」分野に充てられています。
大学入試センターが発表している試作問題を実際に見てみると、最新テーマを、文章だけでなく表やグラフなども読み取り・思考しながら考察していく必要のある問題が散見されます。
単に知識を答える問題ではないのが特徴ですよ。
【公共と政治・経済の入試情報②】二次試験での「公共」利用
一方、二次試験の情報は2024年5月現在、使用する大学と使用しない大学でわかれています。
実際、早稲田大学はそもそも「公共」を出題せず、「政治・経済」のみ出題することをすでに公表していますが、明治大学は「公共」を出題すると公表しています。
以下の表は、2024年5月時点で「公共」を出題すると公表している大学と、出題しないと公表している有名私立大学の一覧です。ご自分でも情報を調べながら、ぜひ参考にしてくださいね!
【公共と政治・経済の入試情報③】「公民科目」を使える大学を要チェック!
近年、「政治・経済」で受験できる大学学部は、国公立大学・私立大学ともに大きく減少しており、そもそも公民科目が使えない大学学部も多く存在しています。
国公立大学では、二次試験に社会科目がない大学がほとんどないため、基本的には使用する機会すらないんですよ……。
実際に、東京大学では使用できず、一橋大学では、以前は使用することができましたが、2022年度から使用できなくなってしまいました。
私立大学では、早稲田大学では2023年度から教育学部で使用できなくなった影響で、現在は法学部と商学部でしか使用することができず、慶應義塾大学では全く使用できないです。
以下の表は、「政治・経済」を使用できる有名私立大学をまとめたものです。こちらもご自分でも調べたうえで、是非参考にしてくださいね!
なお、学部で学べる学問の関係上、商学部・経営学部・経済学部で使える傾向が多いですよ。
おわりに
本記事では、「公共」という新科目と「政治・経済」の概要及び入試での活用について徹底解説しました。
入試で使うのかも含めて、学校の授業などを受けながら、本記事も参考にして適切な科目選択に活用してくださいね。