はじめに
大学に入学すると、学費や生活費、交際費などでとても多くのお金がかかります。そのため、奨学金を活用する人も多いはず。
しかし、奨学金という言葉は聞いたことがあっても、奨学金が実際どのようなものなのかを知っている人は少ないのではないでしょうか?
みなさんが正しく奨学金を活用して、大学生活を十分に謳歌できるよう、今回は奨学金の基礎知識をご紹介します。
目次
奨学金とは?
奨学金とは金銭的・経済的な理由で大学に行くことが困難な学生に、金銭を給付・貸与する仕組みです。
奨学金という制度が作られた第一の目的は、全ての学生がある水準まで、平等に学業に専念でき、最短修業年数で卒業できるように支えることです。
大学の入学金や施設費、そして授業料がますます高騰する今、奨学金は多くの学生にとってなくてはならない制度になっています。
奨学金の種類
奨学金には、国や都道府県・市区町村などの公的機関が行う奨学金と、大学や企業などの民間団体が行う奨学金があり、またそれぞれ給付型・無利子貸与型・有利子貸与型の3種類に分かれています。
給付型とは、返済が不要の奨学金、貸与型は卒業後に返済が必要な奨学金のことです。できれば給付型の奨学金を望むところでしょう。
しかし、日本の奨学金の多くは貸与型の奨学金となっているのが現状です。だからこそ最大限に奨学金を利用するためには多くの情報を知っておくことが大切です。
では、どのような奨学金があるのか実際に見ていきましょう。
日本学生支援機構による奨学金
最も代表的なのが日本学生支援機構の奨学金です。これは日本最大規模を誇る貸与型奨学金制度で、ほぼ全ての大学・短大で申し込むことができます。
この奨学金には無利子貸与型の「第一種奨学金」と有利子貸与型の「第二種奨学金」の2種類がありますが、「第一種奨学金」の採用条件は厳しくなっています。
この奨学金には、大学入学後だけでなく高校在学時に予約して採用を受けることができる制度もあります。
地方自治体による奨学金
都道府県・市区町村が行っている奨学金制度です。
各自治体によって、様々な方式が採用されているので、パソコンを使って自分の居住地の奨学金制度を「○○県 奨学金」などのワードで一度検索してみましょう。
例えば、富山県・神奈川県・大分県では、自治体の約半数に給付型奨学金制度があります。
民間団体による奨学金
①②で紹介した公的な奨学金は、返還義務のある貸与型が多いのに対して、民間の奨学金は給付型が多いのが特徴です。
もちろん、採用審査は厳しく、高校での高い学業成績や、対象となる大学が限られているなどハードルは決して低くありません。
また、それぞれの奨学金で募集期間が異なるので、申請の締切にも注意が必要です。
学校による独自の奨学金
大学によっては、その大学独自の奨学金制度があります。その多くは比較的授業料が高額である私立大学で行われています。
種類は様々で、給付型・貸与型に加えて、学費を軽減してくれる減免型奨学金、さらには入試で好成績を取った生徒や在学中の成績上位者、スポーツ・文化活動で活躍した生徒などに奨学金が送られる特待生制度などがあります。
各大学のホームページなどで、入学者が受けられる大学の奨学金一覧をみることができるので参照してみましょう。
奨学金制度を利用する大学生の収入・支出とは?
奨学金を利用する学生が実際どのような収入と支出で大学生活を送っているのでしょうか。ここで、あまり知ることのできない大学生の金銭事情を見てみましょう。
今回は、有利子貸与型奨学金を利用する一人暮らしの東京大学2年Mくんと、給付型奨学金を利用する実家暮らしの慶應義塾大学4年Nさんに話を聞きました。
CASE1:有利子貸与型奨学金を利用する一人暮らしの東京大学2年Mくん
- 収入:奨学金(貸与)5万、仕送り8万、アルバイト代7万
- 支出:学費4.5万、家賃・光熱費8万、食費3万、娯楽費(他)4.5万
奨学金で学費を補えることで助かっているのはもちろん、自分で稼いだアルバイト代を心置きなく自分の趣味や交際費に充てられるので余裕をもって大学生活を楽しむことができています。
一方で、大学卒業後に返済の必要があるということを意識して、貴重な奨学金を無駄なものに使わないよう気をつけています。
地方から上京してきて、お金のかかる一人暮らしをさせてもらっているので、奨学金を借りることで親の負担を少しでも軽減させられればと思っています。
CASE2:給付型奨学金を利用する実家暮らしの慶應義塾大学4年Nさん
- 収入:奨学金(貸与→給付)10万、アルバイト代5万
- 支出:学費8万、食費3万、交通費3万、娯楽費(他)2.5万
私は、成績上位者が利用できる給付奨学金を利用しています。また、海外留学費を支援してくれる給付奨学金も利用しました。返済義務がないので、積極的に利用して充実した学生生活を送っています。
一方で、採用されるための条件は貸与型よりも厳しいものばかりです。
継続して利用するために、大学に入ってからもしっかり単位を取り、かつ高い成績を取り続ける必要があります。
皆さんも早いうちに自分で情報を集め、募集要項の基準を満たせるようにしましょう。
奨学金との付き合い方
奨学金を申し込むタイミングを調べよう!
奨学金の多くはあまり大々的に告知されません。ましてや給付型奨学金はその存在さえ知らない人がほとんどです。
そのため、奨学金についての情報は、自分で調べることが必須になります。前述の奨学金の種類を参考に、まずはネットで調べてみましょう。
そして気になる奨学金を見つけたら、必ずチェックしなくてはならないポイントが2つあります。それは、申請期日と申請条件です。
まず申請期日ですが、早いものだと、入学前から申請をしないといけない奨学金があるので、注意が必要です。
入学金の援助を受けることのできる日本学生支援機構の『入学特別増額貸与奨学金』は入学前の申込が必須です。
また、申請条件に高校3年生限定や19歳未満限定など、学生や年齢が含まれている奨学金も数多くあります。
自分が該当するタイミングを逃すと、その奨学金には二度と申請できません。申請期日と申請条件はしっかりと調べておきましょう。
貸与型奨学金は卒業後に返還する必要がある!
貸与型奨学金を借りた皆さんが忘れてはいけないこと、それは「大学卒業後に、きちんと返済しなければならない」ということです。
当然の話のように思えますが、近年奨学金を返済しない学生がいることが問題になっています。返済額・返済期間を事前に調べ、計画的に借りなければなりません。
皆さんが返済した分がまた、新たな奨学金として次世代の学生に充てられているのです。
万が一、奨学金の返済が難しくなった場合は、返済期間の延長などを申し込める場合もあります。
親御さんとも相談しながら、しっかりとした返済計画を立てた上で、計画的に利用するようにしましょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
早いうちに奨学金について調べておいて損はありません。
奨学金を調べることが、自分の将来をみつめる良いチャンスになるかもしれませんね。