現役慶應生が説く現代文読解に役立つ!国語力アップにオススメの新書・小説11選!

はじめに

皆さん、現代文の対策はお進みでしょうか? 

英語や数学と比べ、何をすれば良いかわからない…という方も多いのではないでしょうか。

現代文は、演習を多く積んでもなかなか成績に反映されにくい科目です。
努力が実を結ばないと虚しくなり、現代文対策が結果的に薄いまま入試本番を迎えがち。

いくら勉強しても結果が出ずに悩んでいる方は、いっそのこと他科目の勉強の「息抜き」がてら文章に触れてみるのはどうでしょうか?

「本嫌いだし、現代文の授業でもないのに、本なんか読みたくない……。」
「本っていっても、ラノベとか漫画しか読まない……。」

そんな人でも大丈夫!
思わず読み進めてしまうような、高校生だからこそ共感できる本をセレクトしました。

現代文入試対策としての読書の利点・欠点

入試対策としての読書の利点

入試対策としての読書の利点は主に2つ。

ひとつは、活字に慣れておくことで、現代文はもちろん他科目の問題文を素早く読み解いたり、記述解答を構成するさいに役立つ点。

もうひとつは、哲学など学術的な思想が下地になっている現代文の題材は多く、それらを理解する一助になる事前知識を読書によって得ることができる点です。

入試対策としての読書の欠点

入試対策としての読書の欠点は、読書だけでは現代文の勉強は完結しない点です。

入試問題としての現代文で問われる力は「文章構造の把握力」に加えて「簡潔かつ過不足ない記述解答の作成力」であり、後者は問題演習をしないと普通身につきません。

あくまで息抜きついでに活字に慣れましょう。

おすすめ新書・小説の紹介

『哲学用語図鑑』(田中正人・著/プレジデント社)

本書はわかりやすいイラストとともに、評論文にも登場するような哲学用語をほとんどカバーしています。
図鑑を眺めるような感覚で、気楽に知識を身につけていくことが可能です。

入試で扱う現代文の文章は、字面を追うだけでは満足に理解できないことが多いです。
というのも、それらは哲学をはじめとする学術的な思想を暗に前提しているから。

しかし、事前知識を入れておこうと、いきなり名だたる哲学書と対峙しても多くの人は挫折します。
そこで、本書で効率良く教養を深めていくことをお勧めします!

『一九八四年』(ジョージ・オーウェル・著/高橋和久・訳/ハヤカワepi文庫)

政府への礼賛を強要する思想統制など管理社会の実態を描いた小説。
SFでありながら奇想天外な展開ではなく、退廃的な雰囲気を描くことで恐怖を醸している点が白眉です。

本書は、トランプ大統領の就任以後、米国で売り上げを伸ばしているそうです。

小説内の政権のあり方がトランプ政権を彷彿とさせるそう。

その真偽はともかく、全体主義国家のあり方を考えるなど学術的な価値も高いうえ、タイムリーなテーマなので、直接的にではないにしろ時事対策にもつながります。
国家体制に関わる評論文がセンター試験で出題されてもおかしくありませんよ。

『教養としての大学受験国語』 (石原千秋・著/ちくま新書)

「現代文の解き方」を解説する受験参考書は巷に溢れていますが、本書はそこから一歩引いた、文章の読み方に焦点をあてるもので、受験生以外も対象としています。

「本書は単なる読書から入試で文章を読み解くのに接続するポイントがまとまっています。

現代文に不安を抱えている、のんびり読書を楽しむ心の余裕もない、とにかく得点がアップする対策法を教えてくれ、とお考えの方にとって役に立ちます。

やや回り道ですが、あなたの現代文の読み方が変わると思います。
筆者も高校2年生の頃に読んで衝撃を受けた、おすすめの一冊です。

『成熟と喪失 “母”の崩壊』(江藤淳・著/講談社文芸文庫)

安岡章太郎の『海辺の光景』や、遠藤周作の『沈黙』などの戦後日本を舞台とした小説を素材とした文芸論。
近代文学の最たるテーマでもある「近代化とはどういう過程か」について考えます。

内容紹介の項目でも記したように、センター小説のほとんどを占める近代日本文学において、もっとも重視されたテーマといっても過言ではない「近代化」について家族という観点から深い知見を得ることができます。

個々の小説に手を出してもきりがない一方、本書はある程度包括的に小説分野を対策することが可能でしょう。

現代文の参考書を探す際、書店の受験参考書コーナーに向かうのが普通だと思います。

しかし、今回紹介した『高校生のための評論文キーワード100』や『教養としての大学受験国語』のように、新書コーナーに思わぬ掘り出し物が隠れていることもあるのです。

次に、受験を離れてリラックスできるようなオススメの小説を紹介しましょう。

『陰翳礼讃』(谷崎潤一郎・著/中公文庫)

日本の「美」を陰翳(陰影)という概念で捉え、その美を侵食する西洋の美と対照した小説家としても有名な谷崎潤一郎による随筆。

現代文では、西洋・日本を対比させて論じる文章が頻出です。その中でもよく取り上げられるテーマが、日本の「美」や「美意識」について。
1933年に発売された本書は現代でもデザイナーや建築士に読まれており、日本における美のバイブルとも言えます。

また、随筆は作者の価値観が強く表れるため、初めてだと面食らうかもしれません。
市販の問題集の随筆収録数は少ないですが、本書を読むことで良い対策になります。

『ケータイ化する日本語―モバイル時代の“感じる”“伝える”“考える”』(佐藤健二・著/大修館書店)

携帯電話の普及の中で、言葉の力が弱まり、他者との繋がりが薄れつつある情報化社会の現代において、「言葉」とは何か、情報通信機器の変遷を追いながら問いかけた評論です。

本書が書かれたのは2012年ですが、さらにスマートフォンの普及が進んだ今日では、SNSなどの使用により他者との直接的な繋がりがより希薄になってきています。

本書では、そのような情報化社会の問題の核心をついており、みなさんにとって情報通信機器や「言葉」との関わり方を見直す良い機会になるのではないでしょうか。

また、情報メディア論は入試でも頻出のテーマです。

『早稲女、女、男』(柚木麻子・著/祥伝社文庫)

登場人物は在籍大学の異なる6人の女子大生。
物語は、それぞれの登場人物の名前を小題にとったオムニバス形式で展開していきます。

女の子たちがそれぞれに抱える葛藤と恋。
嫉妬だってするし、妬ましくも、うらやましくも思う。

女子の胸の内をある意味で分かりやすく、可愛いところも、醜いところも隠さずにぶちまけた一冊です。

友達の間で回し読みして、どの登場人物が好きか、語り合ってもいいかもしれません。
楽しく読んでもらえることを期待します!

『桐島、部活辞めるってよ』(朝井リョウ・著/集英社文庫)

舞台はとある田舎の普通の高校。

バレー部のエースの退部という一つの出来事が、平凡な高校生たちの日常に波紋を引き起こしていきます。

直木賞作家朝井リョウのデビュー作であり大学一年時に執筆されたためか、キャラクター設定やそのキャラクターの独白に共感できます。
それ故にか、時にビクッとするぐらい胸に刺さるものがあります。

キャラクターの名前を題したオムニバス形式であり、短編のように読むことも可能です。
通学のスキマ時間、胸が痛いぐらいのリアリティーと共感がページをめくるスピードを加速させること間違いなし!

『一瞬の風になれ』(佐藤多佳子・著/講談社文庫)

中学までずっとサッカー一筋。

そんな主人公が親友のぽろっとした一言をきっかけに、陸上の世界に飛び込んでいきます。

優秀な兄の陰、天才的才能を持つ親友。

サッカーでも陸上でも、あまりに身近なところに、越えられない壁が立ちふさがっている主人公。
疾走感。部活に恋愛、そして友情。

まっすぐに前へ前へと進もうとする主人公たちの姿に、あなたもきっと何かに一生懸命になりたくなる!

『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信・著/新潮文庫)

本嫌いでいつも途中で投げ出してしまう人。
ぜひ、この本を読んでみてください。

ミステリーの名手、米澤穂信の名短編集。帯に書かれた言葉は、最後の一行ですべてがひっくり返ります。

最後の一行。

それを読んだ瞬間に物語のすべてがひっくり返り、恐怖と驚愕があなたを包みます。
怖いのに、一度読みだしたら続きが気になってページをめくる手が止まりません

私の本嫌いの友人にこの本を貸したとき、彼女は通学電車の中で読みはじめ、途中で降りる駅についてしまったものの、続きが気になりすぎてダッシュで自宅まで帰って続きを読んだそうです。

そんな読書体験を一度してみてください。
きっと本を読むことが楽しくなるはずですから。

『コンビニたそがれ堂』(村山早紀・著/ポプラ文庫ピュアフル)

大事な探し物がある人だけがたどり着ける、不思議なコンビニたそがれ堂。

終始語り掛けるような優しい文体に、ほっと肩の力が抜け、こわばっていた心がほどけます。
こんなにも言葉というのは暖かく、慈愛に満ちているものなのだと感じさせてくれる一冊。

受験に向けて成績が伸びずナーバスになっているとき。友人と喧嘩したとき。
部活の結果が思うようにならなくてイライラしているとき。

この本を手に取ってみてください。

1話50ページほどの短編が、あなたの心を和らげて、忘れていた大切なことを教えてくれますよ

最後に

いかがでしたか。
本はとても素敵なものです。

行ったことのない国や世界にだって行ける。
実年齢より幼い人にも、実年齢より大人な人にもなれる。
あらゆる人の、あらゆる視点から世界を見ることが出来る。

そんな国語の先生みたいな立派な理由はちょっと横に置いといて。

なぜ私が本を読むことが大好きなのかを一言でいうと……。
ただ、面白いからです。

今回の私の記事が、読書がこんなにも面白いことを高校生の皆さんに知ってもらうきっかけになれば、と思います。
最後に私が大好きな「空の中(有川浩)」の巻末、新井素子さんの解説から言葉をお借りして皆さんに一言。

「読め。面白いから。」

皆さんが素敵な読書体験が出来ることを祈っています。

ABOUTこの記事をかいた人

慶應義塾大学商学部2年。 「なんで文学部に行かなかったの?」とよく聞かれる文学オタク。 最近は大学の文学の授業にどっぷりとハマり、文学部のゼミに行くかどうかを真剣に思案中。