はじめに
グローバル化が進む現在、「国際」あるいは「国際教養」といった言葉を冠した国際関係の学部・学科の人気が急上昇しています。
国際関係と聞いてみなさんは何を思い浮かべますか?
スケールが大きすぎて、おそらく学んでいる内容がイメージしづらいのではないでしょうか。
今回はそんな国際関係の学部についてご紹介します!
目次
国際関係の学部で学べること
国際関係の学部といっても学ぶことは一括りではありません。
政治、経済、地理、言語、歴史、文化などさまざまな学問領域にまたがっているんです。
国際政治学一つをとってみても、その中に国際行政学、地域研究、外交史などなどかなり分かれます。
国際関係学というのは、非常に大きな学問領域なのです。
すべてに共通して言えるのは、国際社会が抱える諸問題を理解し、よりよい国際社会のあり方を考える学問であるということでしょう。
国際関係の学部での主な学問分野の概要
幅広い国際系学部の主な研究分野の概要を紹介します!
学問1:国際法学
国家間の問題を解決するためのルールとなる国際法について研究する領域です。
国際法に照らした領土・領海・領空をはじめとする各国の法的立場や、国家間の条約や協定について学びます。
近年、自衛権にまつわる問題や中国船籍の領海侵入や捕鯨問題などの議論が日本で高まっていますが、このような問題を扱うのも国際法学です。
その他、犯罪者が国を超えて移動し逮捕された際の引き渡しルールや、その他の国家間の法的手続きのあり方を学ぶのもこの領域です。
学問2:国際文化学
国際社会で起こる課題を、文化の視点からとらえて解決策を探る学問です。
国や地域ごとに異なる文化について比較研究します。
言葉をはじめ、人々の生活習慣や行動、食生活など、その国や民族の文化は人々の意識に深く根付いています。
そのため、国境を越えて人が触れ合おうとする時、文化の違いは大きな障壁となりがちです。
そうした違いを理解して互いの文化を受け入れやすくし、国を越えて人と人とを結びつけるのがこの学問の目的です。
学問3:国際社会学
世界を変えていくのは「国家」という枠組みを超えた「個人」であるという視点から国際関係について考えていきます。
国境を越えて活動するNGO(非政府組織)や市民運動などがこれに当たります。
他にも国際移動(いわゆる移民)、エスニシティ・民族、文化、開発、ジェンダー、環境など多方面に渡ります。
その中で、国際社会学は特に国家を超えるヒト・モノ・カネ・情報の動き・関係・つながりを重視する学問です。
国際政治経済学
世界の国々の政治や経済を中心に学びます。
現在、世界は政治の面では「核保有国」と「非核国」、経済の面では「先進国」と「開発途上国」に分化されていますが、そうした状況が生み出す国際問題とその解決策などが研究対象となります。
また、国同士が積極的に協力しあうことで実現する安全保障、食糧や資源などの相互援助、国際協力の要である国際連合についても学びます。
このような研究を通して「世界平和とは何か」を考えるのが国際政治経済学の目的です。
国際関係の学部の特徴(英語教育・留学など)
授業が全て英語で行われる大学も
国際関係の学部で学んだ知識を実社会で活かすためには、語学の知識も必要です。
そのため、英語で自分の意見を主張できる人材を育成する体制を整えている大学が多いことも、国際関係学部・学科の特徴です。
大学によっては、英語で行う授業を多く設けています。
例えば、国際教養大学、早稲田大学・国際教養学部、上智大学・国際教養学部、法政大学・グローバル教養学部などでは全ての授業が英語で行われています。
英語「を」学ぶのではなく英語「で」学ぶことで、日本にいながらも海外大学にいるような雰囲気を味わうことでしょう。
興味のある方はネットで公開されている大学のシラバスを見てください。なんと、授業名や解説から全て英語な大学も!
さすが国際教養学部というだけあって、英語に力が入れていることがわかりますね。
留学が必須の大学も
国際関係を学びたいと考えているのであれば、海外留学を希望している方も多いでしょう。
実際、国際関係の学部に進学した人は留学することが多いです。
大学によっては国際関係の学部は、海外への留学を義務づけているところも少なからずあります。
期間は1年間、1〜2学期間とさまざまで、内容も専門科目、フィールドワーク、語学研修と多様です。
しかしながら、留学必須の大学は当然、学費が格段に高くなるので注意が必要です。
国際教養大学や早稲田大学の国際教養学部で日本語が母国語の生徒は留学が必須となっています。
早稲田大学では多くの生徒が2年生で留学をするので、ゼミが始まるのは春からではなく3年の秋からなんだとか。
留学先はアメリカやカナダなど様々です。
国際関係の学部・学科に向いてるのはどんな人?
国際関係の学問を研究するためには、比較的大きな問題に関する総合的な力を身につけ、さまざまな情報を集めて分析する力が求められます。
しかし、最初からそうした能力が不可欠なわけではありません。
世界に目を向けてさまざまな国際問題を解決したいと思う人、将来は海外で仕事をしたいと考えている人、また、純粋に文化や制度の違う国について知りたいと思う人など、国際的な関心が強い人であれば大丈夫です。
国際関係の学部・学科の卒業生の主な就職先
業種はサービス分野や銀行、商社などさまざまですが、世界展開している企業が目立ちます。
例をあげると、運輸・旅行業、輸出入商社、外資系企業、ホテルなどです。
海外に進出している、もしくは今後、進出する可能性がある企業にとって、国際関係の研究を通して身につけた広い視野と国際感覚は需要の高い人材といえるでしょう。
他にも国際関係学の専門性を活かして、外交官や国連などで活躍する国家公務員、また新聞記者などマスコミ関係に進む人もいます。
大学院に進んでさらに研究を深める人もいるようです。
新しい学部なだけあって、自分たちで学部のカラーを作り出していくという喜びを学部生は味わっているようですね。
国際関係の学部のある主な大学一覧
国立大学の国際関係の学部
私立大学の国際関係の学部
- 早稲田大学・国際教養学部
- 上智大学・国際教養学部
- 法政大学・グローバル教養学部
- 明治大学・国際日本学部
- 青山学院大学・国際政治経済学部
- 学習院大学・国際社会科学部
- 同志社大学・グローバル地域文化学部
- 立命館大学・国際関係学部
- 関西学院大学・国際学部
- 近畿大学・国際学部
- 中京大学・国際教養学部
おわりに
いかがだったでしょうか。
国際関係の学部の中には、対象をアジアに絞るなど、専攻する地域を限定している場合もあります。
大学によって性格が異なる国際関係学部は、漠然と志望しているとミスマッチを起こしかねないのでよく調べる必要があります。
自分はニュースなどで報じられている国際問題の何に興味があるのか、どの問題解決に貢献したいかなどをよく考えて、学部・学科を選びましょう。