角の二等分線は、中学で習う単元です。よく作図問題とかで見かけますね。
しかし、最も有名なものは「角の二等分線の定理」と呼ばれるものです。
そこで今回は、まず角の二等分線の基礎知識を確認し、次に基礎を確認する問題、応用の問題を扱います。
ぜひ最後まで読んで、中学内容の角の二等分線についてマスターしてください!
角の二等分線とは?
まずは角の二等分線とは何かについて確認していきます。
角の二等分線とは「角を2つに等しく分ける線」のことです。そのままですね笑
次は図で確認しておきましょう。
簡単ですよね?
とにかく角の二等分線は「ある角を均等に分ける直線」と覚えておきましょう。
角の二等分線の定理
では、次に角の二等分線にどのような性質があるのかについて説明していきます。
一番有名なものは以下のようなものです。
例えば、\(AB:AC=3:2\)であったとしたら、\(BD:CD\)も同様に\(3:2\)になるという定理です。
とても綺麗な定理ですよね。でも、この定理はなぜ成り立つのでしょうか?
次は、この証明を説明していきましょう。
角の二等分線の定理の証明
では、証明に入ります。
まず先ほどの\(\triangle ABC\)において、点\(C\)を通り、辺\(AB\)と平行な直線を引き、その直線と半直線\(AD\)の交点を\(E\)とします。
証明の進め方としては、まず最初に相似の証明をしていきます。
三角形の相似については以下の記事をご参照ください。
次に、角度の等しいところに着目して、二等辺三角形を発見できれば証明が完成します。
(証明)
\(\triangle ABD\)と\(\triangle ECD\)において
\(AB /\!/ EC\)より、平行線の錯角は等しいので、
\(\angle BAD=\angle CED・・・①\)
\(\angle ABD=\angle ECD・・・②\)
対頂角は等しいので、\[\angle ADB=\angle EDC・・・③\]
①、②、③より、3つの角がそれぞれ等しいので\[\triangle ABD \sim(相似) \triangle ECD\]
よって、\(AB:EC=BD:CD・・・④\)となります。
ここで、半直線\(AD\)は\(\angle A\)を二等分しているので、\[\angle BAD=\angle CED=\angle EAC\]
ゆえに\(\angle CED=\angle EAC\)となり、\(\triangle ACE\)に着目すると、二等辺三角形であることがわかります。
よって、\(AC=EC・・・⑤\)
④、⑤より、\(\style{ color:red; }{ AB:AC=BD:CD }\)であることが示された。
(証明終了)
この証明自体を覚える必要はありません。
「へぇー、そうなんだ!」くらいで結構です。
とにかくきちんと\(AB:AC=BD:CD\)を覚えていれば問題ありません。
角の二等分線の練習問題
それでは、角の二等分線の練習問題を解いてみましょう。
基本的には定理の確認になっているので、きちんと定着しているか確認してみてください!
問題1
下の図の\(\triangle ABC\)において、\(BD\)と\(CD\)の長さをそれぞれ求めよ。
問題1の解答・解説
まさに角の二等分線の定理を使う問題です。
今回は線分\(AD\)が二等分線ですね。
よって、\(AB:AC=BD:CD\)が成り立ちます。
問題の図から\(AB=9\)と\(AC=7\)、\(BC=10\)であることがわかっています。
ここから\(BD:CD=9:7\)であることもわかります。
また\(BC=BD+CD\)であることを用いると、\(BD=\displaystyle \frac{ 9 }{ 16 }BC\)、\(CD=\displaystyle \frac{ 7 }{ 16 }BC\)と表すことができます。
よって、\(BD\)と\(CD\)の長さは\(\style{ color:red; }{ BD=\displaystyle \frac{ 45 }{ 8 } }\)、\(\style{ color:red; }{ BD=\displaystyle \frac{ 35 }{ 8 } }\)となります。
問題2
下の図は\(BA=BC\)の二等辺三角形\(ABC\)で、\(\angle BAC\)の二等分線と\(BC\)との交点を\(D\)とする。
\(\angle B=50°\)のとき、次の各問いに答えよ。
(1)\(\angle ACD\)の大きさを求めよ。
(2)\(\angle ADB\)の大きさを求めよ。
問題2の解答・解説
まず押さえておくべきことは、\(\triangle ABC\)が\(BA=BC\)の二等辺三角形であることです。
ここから、\(\angle BAC=\angle BCA\)であることがわかります。
二等辺三角形の1つの底角は、三角形の内角の和\(180°\)から頂角の角度を引いて、\(2\)で割ればよかったのでしたね。
この説明がわからなかった人はこちらの記事を参考にしてみてください。
よって、\(\angle BAC=\angle BCA=\displaystyle \frac{ 180°-50° }{ 2 }=65°\)になりますね。
まずは\(\angle ACD=\angle BCA\)より、\(\style{ color:red; }{ \angle ACD=65° }\)であることがわかりました。
次に\(\angle ADB\)の角度を求めていきます。
そのためには、\(\triangle ABD\)に注目して\(\angle BAD\)の角度を求めます。
これは先ほど出した\(\angle BAC=65°\)を\(2\)で割れば良いですね。
(\(\angle BAD=\angle CAD\)だからですよ。)
よって、\(\angle BAD=32.5°\)になります。
ゆえに\(\style{ color:red; }{ \angle ADB }=180°-50°-32.5°=\style{ color:red; }{ 97.5° }\)が答えになります。
問題3
下の図の\(\triangle ABC\)において、\(\angle A\)の二等分線と\(BC\)の交点を\(D\)
\(\angle B\)の二等分線と\(AD\)との交点を\(E\)とおく。
\(AE : ED\)を求めなさい。
問題3の解答・解説
最後の問題は少しめんどくさい問題をチョイスしました。
角の二等分線の定理を2回使用しなければならないからです。
しかし、やることは全く今までと変わりません。
まずは\(BD:CD\)を出して、\(BD\)の長さを求めます。
角の二等分線の定理より[BD:CD=AB:AC=9:6=3:2\]
よって、\(BD=\displaystyle \frac{ 3 }{ 5 }BC=6\)
次に、\(BE\)が\(\angle B\)の二等分線になっていることから、\[BA:BD=AE:ED\]
\(BA=9\)、\(BD=6\)より\[\style{ color:red; }{ AE:ED=9:6=3:2 }\]になります。
角の二等分線は奥の深い単元
いかがでしたか?
この記事では、角の二等分線の基礎をあつかってきましたが、実は角の二等分線はとても奥深いもので、(主に高校生向けではありますが)たくさんの応用の公式があります。
今回紹介しきれなかったもので、とても便利な公式もありますので、もし興味がある人は調べてみてください。
まだ基礎がしっかりしていないという人は、まずはこの記事に書いてあることをきちんと理解して習得するようにしましょう!
きっと、十分な力がつくはずですよ!!