はじめに:直角二等辺三角形について
二等辺三角形については色々な性質があり、すでに以下の記事で説明をしています。
その中でも特に、三角形を直角二等辺三角形という二等辺三角形があります。
この直角二等辺三角形という図形には、普通の二等辺三角形のもつ性質の他に、特別な性質があります。
今回はそれを確認するとともに、直角二等辺三角形でありがちの問題も解いてみましょう。
ぜひ、最後まで読んでいってくださいね。
目次
直角二等辺三角形とは?(定義)
まずは、直角二等辺三角形とは何かを確認していきましょう。
直角二等辺三角形の定義は、2つあります。
- 二等辺三角形の持つ特徴に加え、直角三角形の持つ特徴を併せ持つ図形
- 3つの角のうち2つの角がそれぞれ\(45°\)である二等辺三角形
1つ目はイメージがしにくいので、2つ目の定義に従って、説明していきます。
すると、直角二等辺三角形は
「3つの角が、\(45°\)、\(45°\)、\(90°\)である三角形」
だとわかります。
図でいうと、下のような図形です。
直角二等辺三角形、または3つの角が\(45°\)、\(45°\)、\(90°\)である三角形といわれたら、上のような三角形をイメージできるとgoodです。
では、この直角二等辺三角形にはどのような性質があるのでしょうか?次では具体的にこれらの性質をみていくことにしましょう!
直角二等辺三角形の性質:辺の長さの比(公式)
まず、直角二等辺三角形に特有の辺の比についてみていきましょう。
直角二等辺三角形の辺の比は、以下のようになります。
直角二等辺三角形の辺の比は\(\style{ color:red; }{ 1:1:\sqrt{ 2 } }\)になります。
この辺の比を覚えておくことで、底辺から斜辺の長さを求めたり、またその逆のことができます。
この章の最後の例題で確認してみてください。
もちろん、三平方の定理でもこの比は出せますが、覚えておくのが無難です。
ちなみに、三平方の定理についての記事はこちらです。
この\(1:1:\sqrt{ 2 }\)の直角二等辺三角形と、\(1:2:\sqrt{ 3 }\)の直角三角形は有名ですので、辺の比をしっかりと覚えておきましょう!
最後に直角二等辺三角形の辺の比を使った、例題を解いてみましょう。
例題
次の三角形\(\triangle ABC\)は、\(AB=AC\)、\(\angle ABC=45°\)、\(AB=4\)の三角形である。
この三角形の斜辺\(BC\)の長さを求めよ。
例題の解答・解説
まずは、問題文中に与えられた条件を整理していきます。
\(AB=AC\)という条件から、三角形\(\triangle ABC\)は頂点が\(A\)の二等辺三角形であるということがわかります。
次に、この二等辺三角形の底辺の1つである\(\angle ABC\)が\(45°\)であるといっています。
よって、同じく底辺である\(\angle ACB\)も\(45°\)になります。
残りの頂点\(\angle BAC\)の角は\(90°\)であることがわかり、この三角形が次に直角二等辺三角形であることもわかりました。
よって、辺の比は\(AB:AC:BC=1:1:\sqrt{ 2 }\)であることがわかります。
\(AB=4\)という条件も使うと、求める\(BC\)の長さは、\[\style{ color:red; }{ 4\sqrt{ 2 } }\]と求めることができます。
以上が直角二等辺三角形の辺の比についてでした。次は、面積についてです。しっかりついて来てくださいね。
直角二等辺三角形の面積の求め方
直覚二等辺三角形には、面積にも一応公式のようなものがあります。
もちろん、普通の三角形のように\(\displaystyle \frac{ 1 }{ 2 }×\)(底辺)\(×\)(高さ)でも求められるのですが、公式化しておくといちいち計算しなくて済みます。
下の図のような、直角二等辺三角形を考えます。
図からもわかると思いますが、底辺の長さも高さも\(a\)ですね。
ここでは\(\sqrt{ 2 }a\)は関係ありません。
よって、求める面積は\[\style{ color:red; }{ \displaystyle \frac{ 1 }{ 2 }a^2 }\]になります。
とてもシンプルですよね。
では、例題をやってみましょう。
例題
次の三角形\(ABC\)は、\(AB=AC\)、\(\angle ABC=45°\)、\(BC=4\sqrt{ 2 }\)の三角形である。
この三角形\(ABC\)の面積を求めよ。
問題1の解答・解説
実は、先ほどの例題の三角形と同じ三角形です。
なので、\(BC\)を斜辺とする直角二等辺三角形です。
\(AB:AC:BC=1:1:\sqrt{ 2 }\)を使って、\(AB=AC=4\)がわかります。
よって、先ほどの面積の公式\(\displaystyle \frac{ 1 }{ 2 }a^2\)を使って、\[\displaystyle \frac{ 1 }{ 2 }×4^2=\style{ color:red; }{ 8 }\]が求める面積になります。
この公式を必ずしも使う必要はありませんが、覚えておくと便利ですよ!
直角二等辺三角形の練習問題
ここの練習問題では、直角二等辺三角形を使った証明問題を解いてみましょう。
問題1
図のように、直角二等辺三角形\(\triangle ACE\)の頂点\(A\)を通る直線\(m\)に頂点\(C\)、\(E\)から垂線\(CB\)、\(ED\)をひく。
このとき、\(\triangle ABC ≡ \triangle EDA\)であることを証明せよ。
問題1の解答・解説
この問題は、中学数学では定番かつ応用の証明問題です。
問題集を解いていたら、一度は目にするような問題ではないでしょうか?
今回は、この問題の証明をやっていきます。
直角三角形\(ABC\)と\(EDA\)において、仮定より\[\angle ABC=\angle EDA=90°・・・ア\]であること。
\(\triangle ACE\)が直角二等辺三角形だから\[AC=EA・・・イ\]であることはすぐにわかると思います。
あと1つ、等しいものを見つけないと合同条件が使えないのですが、それはどこでしょうか?
残りの辺の長さが等しいことを証明するのは、厳しそうですね。
しかし、角度も一目見ただけでは等しいことがわかりません。
さて、どうしましょうか?
このような迷路に入りそうになったときに助けてくれるのが、
「とりあえず、角度に○×を設定し、色々な角度を○と×で表してみる」
という方法です。
この方法により、多くの問題は突破することができますよ。
今回はとりあえず、\[\angle BAC=○,\angle DAE=×\]と置いてみます。
ここから最終的に、\(\angle BAC=\angle DEA=○\)か\(\angle DAE=\angle BCA=×\)であることを示せばよいということになります。
なぜこのような方法を取るのかということについて説明します。
この方法の背景には、
合同を証明する三角形は問題になっている以上、合同でないはずがない
という考えがあります。
合同を証明する問題で、合同ではありませんでした、なんていう答えはあり得ませんからね笑
なので、どこの角がそれぞれ等しいかを逆算して、○や×を設定しています。
やみくもに設定しているわけではなく、うまく証明の材料になりそうだという所に設定するように意識しています。
では、関係しそうな角を○や×で表していきましょう。
まず、点\(A\)に注目すると、○と\(90°\)と×が一直線上に並んでいます。
よって、\(○+90°+×=180°\)なので\[○+×=90°・・・①\]
また、三角形の内角の和は\(180°\)なので、\(\angle ACB=180°-90°-○\)
よって、\[\angle ACB=90°-○・・・②\]
①より、\(\angle DAE=×=90°-○・・・①’\)
①’、②より
\(\angle ACB=\angle DAE=90°-○\)
よって、\[\angle ACB=\angle DAE(=×)・・・ウ\]
ア〜ウより、直角三角形の斜辺と1つの角がそれぞれ等しいので、
\(\style{ color:red; }{ \triangle ABC ≡ \triangle EDA }\)である。
合同条件が怪しいと思った人は、三角形の合同についての記事がありますので、そちらをみてください。
まとめ:直角二等辺三角形をマスターしよう!
いかがでしたか?
最後の証明問題は、少し難しかったでしょうか。
証明問題などからお分かりの通り、直角二等辺三角形はとにかく使い勝手がよく、頻繁に出題される図形です。
今一度、直角二等辺三角形の特徴を復習し、色々な問題にも対応できるだけの力をつけていってください!