前のページでは、東大二次試験全般に関わる話をしました。
最後に、教科別に東大の問題を攻略するための方法を伝授していきたいと思います。
あくまで、私が東大型の問題を解く中であみだした方法でもあるので、皆さんに必ずしも当てはまる内容かはわかりません。
しかし、少しでも参考になるところがありましたら、模試等で実践してみてくださいね!
東大入試:教科別の対策法
東大入試対策:国語
まずは、国語についてです。
国語は、二次試験で一番最初の試験です。とても緊張します。
そんな国語の心得をお伝えしたいきます。
時間配分に気をつける
国語は150分という膨大な時間を与えられますが、意外と短いものです。
特に私は国語が苦手だったこともあり、問題1つあたりの解答時間がとても長かったからですが…
東大の国語は、短く簡潔に答える必要があるために、解答要素の吟味に結構手こずります。
そのためあまり意味がないと思われがちですが、時間配分に気をつけましょう。
私の場合、
第3問:漢文(20)→第2問:古文(25)→第1問:評論文(60)→第4問:随筆(35)→見直し
という時間配分でした。
とにかく第1問の最後の120字の問題に時間をかけたかったため、第1問はかなり多めに時間をとっています。
時間が余れば見直しです。
見直しについては後述します。
説明問題はわかりやすく、くまなく書く
評論などでよく見かける「〜とはどういうことか」という問題形式の話です。
よくご存知かもしれませんが、この手の問題は本文の内容をそのまま書いても点になりません。
自分なりに本文の趣旨を咀嚼して、わかりやすく書かねばなりません。
このように説明問題では、抜き出しはNGです。
次にたとえ本文の内容をきちんと理解し、わかりやすく書いたとしても、要素が足りなければそれほど高得点は望めません。
きちんとその問題に対し、解答要素を網羅できているかをきちんと確認しましょう。
そのような意味で「くまなく」書くということはとても大切です。
補うべきものは必ず補う
東大の問題では、「本文中にはないけど、この流れだったらこんな要素は必要だよね」といった解答要素が時々あります。
特に第4問でありがちです。
必要だと感じたものは、本文にはなくても補うことが必要です。
では、どのようにして補うべきものが必要だと判断するのでしょうか?
もちろん内容理解できていて、きちんと補うものについて確信を持って補うのがベストです。
しかし、東大が選んだ文章です。なかなか理解するには力がいります。
そんな時は、解答に解答要素があるか確認してみてください。
もし、解答欄が余ったり、内容が薄い時は補うべき要素が他にあるサインです。
むやみに補うものを選んではいけませんが、きちんと本文の趣旨に基づいて補うのであれば問題ありません。
10分は時間を残し、見直しをする
見直しは国語においても大切です。
では、何を見直すべきなのでしょうか?
さすがにもう一度本文を読んで、解答を直す時間はありません。
ここでの見直しは、自分の解答に誤字・脱字がないかや日本語がおかしくないかを確認する見直しです。
誤字・脱字は当然減点の対象になりますし、そんなところでの減点はもったいなすぎますよね。
また、解答を書いてる時には特に気になりませんが、結構日本語がおかしくなっていることがあります。
これについても、要素を満たしていても減点の対象です。
自分の読解力以外のところで減点されるのは、あってはならないことです。
それを防ぐためにも、さらっと自分の解答を読んで、凡ミスがないか確認しましょう!
東大入試対策:数学
次は、1日目の最後の教科の数学の心得です。
これまでに説明してきたことと同じものがあるかもしれませんが、そこはご容赦ください。
今からすることが何かを答案にピシャっと書く
これは、答案の読みやすさの問題ですが、とても大切です。
要するに解答の方針を書けということです。
書かないと、採点官が何をしている理解できず、減点されてします。
逆に何もわからなくても有望な方針だけでも書いておけば、加点の可能性があります。
解答の方針は、解答を書き始める前の冒頭にでかでかと掲げておきましょう!
それだけで、採点官からの印象はグッとあがります。
採点者にわかりやすく書き、図は必須
自分の答案に、点数をつけてくれるのは採点者です。
あなたが完璧だと思っても、他の人からすれば「見づらい」とか「どこに何が書いてあるかわからない」とかいう事態は起こりえます。
採点官は、膨大の答案用紙を短期間で採点しなければならないのです。
見づらい答案用紙は、その時点で0点がつけたくなるほど苦痛に違いありません。
内容以前の問題で、マイナスイメージを採点官に持たれるのは不利ですよね?
なので、くどいくらい言いますが、字は濃く、はっきりと、誰が見てもわかるように書かねばなりません。
また、図が書くべき問題については図は絶対に書いてください。
さすがに図だけ書くと加点ということはないと思いますが、ないことによる減点はありえます。
さらに図を書くだけでは不十分です。
図についても字と同様に、大きく、濃く、はっきりと書かねばなりません。
よく申し訳程度に、とても小さな図を書く人がいます。
これは、採点官にはむしろマイナスイメージです。
図を書く時は、きちんと大きくのびのびと書くようにしてください。
まず問題を俯瞰する
これは、試験中に落ち着くための最大の戦術です。
試験が始まったら、正直に第1問から解き始める人はいませんか?
確かに、東大の数学では第1問がいわゆる準備運動的な役割を果たしていることが多いのは確かです。
でも、誰が第1問から始めろといったでしょうか…?
年によっては第1問が難しいということもあります。
そんな時に第1問に取り組みますか?他の大問は軽々と解けるかもしれないのに…
また、人によって単元の得意や苦手がありますよね。
整数が得意な人、確率が得意な人、色々な人がいると思います。
その得意・不得意によってまずはじめに解く始める問題を検討すれば良いのです。
大問の順番など関係ありません。ただ、「この問題なら自分は解けそうだ」という問題からまず手をつけます。
そうして、大問1つを解き切ることができれば、かなり落ち着くことができます。20点はもぎ取ったと。
とにかく解けそうなものから解き始めるのが大切です。
解けそうな見込みさえあれば、25分以上かけても別に構いません。
4完する必要などなく、取れるところできちんと得点できれば、十分受かります。
そのためにも、試験が始まったらまず4つの大問全てを眺めて、いけそうな問題から取り組んでくださいね。
設問文はよーく読む
当たり前ですが、数学は問題文に解くための全ての道具が揃っています。
それを全て解答の要素として使わないと、答えまでたどり着くことができません。
そんな解答に必要な要素を見逃さないためにも、設問文はよーくよく読んでください。
条件をもれなく言い換えているか確認する
これは、上で説明したことと同じです。
問題中にある条件を全て言い換えないと、答えにたどり着けません。
問題を解き終わったら、設問文をよく読んで、条件をちゃんと言い換えているか確認してください。
特に変域の言及し忘れによる、最終的な答えが違うミスはよく起こるので、それを防ぐためにも確認をしましょう!
自分が考えたこと、思ったこと(計算過程)は落書きでも良いから残す
これは、2ページでも言及しました。
本当に何にもわからなければ、考えたことをとにかく答案に残してください。
空白は絶対にいけませんよ!
bestな方針を見定める
これも2ページ目で言及してしまいました。
解答にたどり着く見込みのない答案(方針)には、点がつきにくいです。
答案を書き始める前に、「もっとスマートな解答はないか」を検討しましょう。
書き始めてからだと、消すのも面倒ですし、何よりも時間がもったいないです。
東大入試対策:社会
次は、2日目の最初の教科の社会です。
心得の前に先ほども書きましたが、社会の時間配分について確認しましょう。
社会は全部で150分の試験で、どちらの教科に何分かけてもOKな試験です。
個人的な意見ですが、世界史は問題に慣れていれば記述量は多いものの、そんなに時間のかからない教科だと思います。
私は地理・世界史選択で、まず世界史65分、次に地理を80分、見直しに5分という風に決めていました。
自分の選択科目に関わらず、自分なりにどの順番でどれくらいの時間で解くかを決めておきましょう。
まずは社会全般の心得からです。
指定語句への下線は絶対に忘れない
当たり前ですが、とってもとっても大切です。
私はずっと、「指定語句の下線を忘れたら、その問題は0点だと思った方が良い」と言われてきました。
それくらい重要です。
予備校は、模試などでは指定語句の下線は減点で済んでいると思います。
しかし、本番は採点基準がわからない以上、最悪のケースとして0点を想定しておく方が良いと思います。
だって、採点官は何千枚の答案用紙を見るわけです。
わざわざ指定語句に下線を引いていない答案など、採点するでしょうか…?
「やったー、採点しなくて済むラッキー」という扱いされても文句は言えませんよね。
それを防ぐために、指定語句への下線は絶対に忘れないでください!
これも自分の知識以外の部分で減点されるという、もったいなさすぎるミスの1つです。
次に世界史の心得です。
大論述ははじめと結びを強く、インパクトを
東大の世界史には、多くの場合600字で論述させる大論述と呼ばれている記述式の問題が第1問に待ち構えています。
この大論述に関しても、様々は憶測がなされています。
「採点官は文章の流れをざっと見ているだけだから、文章的におかしくなければ問題ない」という人もいれば、
「指定語句をいかに正確に使えているかだけを見ている」と模試のような採点方式だと主張する人もいます。
いずれにしても、私から言えることといえば一番初めと終わりにインパクトを持たせるということです。
これは採点官に「この人は良い論述を書く人だ」と思わせる術でもあります。
普通の文章でも、起承転結の起と結は一番読み手が注目するので、力を入れる部分だと思います。・
世界史の論述もそれと同じで、特に大論述は1つの世界史のストーリーを600字で紡ぎ出す試験です。
一番初めは対象範囲のそれまでの背景を手短に述べます。
例えば、「○世紀までは、〇〇という事情から〇〇という勢力が優勢であった」みたいな導入です。
これをすることで、読み手の採点官はスムーズに自分が書いたの論述の世界に入っていけます。
そして一番最後は対象範囲の終わり頃はどうなっていったかを書いて文章を締めます。
例えば「しかし、○世紀の終わりには、〇〇のため〇〇という勢力が力を持ち始め、もとあった〇〇は次第に衰退していった」といった締めです。
これで、1つの物語を自分で始めて自分で締めることができ、採点官は気持ちよく文章を読み終わることができますね。
このように意識して論述を書いてみると、とても読みやすい、良い論述になっていきます。
大論述のイントロやアウトロに迷っていた人は、是非実践してみてください。
歴史誤認は必ず避ける
歴史誤認とは、年号のミス・統治国のミス・人物のミスなど、とにかく歴史的事実とは反することを指します。
歴史的な事実を書く際に、年号のミスや人物のミスは絶対に避けてください。
絶対にそれを書かねばならない一問一答や中論述は別として、大論述であれば遠回しに表現、あるいは全く書かないことによってこのミスは避けることをオススメします。
もちろん受験勉強の段階で、きちんと暗記するというのが理想ですが、忘れるということも多々あります。
そんな時には、無理をして書こうとしてはいけません。
大論述では、自分に構成やストーリーの中身は全て任されています。
あなたが今書こうとしている歴史誤認は、書けば絶対に間違い扱いで減点です。
ですが、それが採点要素でない限り、書かなければ周りの受験生よりも不利な状況にはなりません。
したがって、歴史的事実をミスするのは絶対にいいことではないので、あやふやな知識は書かない方が良いと思います。
最後に地理の心得です。
1問で粘らないこと
暗記教科でもあり考える教科でもあるので、ついつい地理は1問あたりに時間をかけがちになります。
中には全然わからない、なんていう問題もしばしば見受けられます。
個人的な意見ですが、地理は75分で解き切ることはできないと思っています。
必要な知識量も多い上に、思考力を問う問題が多いからです。
自分の知らないことを要求してくる問題はためらわず飛ばすことが大切です。
その問題以外に解けるはずだった問題があったのに、時間切れで解けなかったなんていうことがないために、です。
地理は案外時間との闘いの教科です。
難しい問題も多いので、1問で粘って時間をロスしてしまわないように注意しましょう。
東大入試対策:英語
最後に、二次試験最後の教科である英語です。
時間配分に十分配慮すること
東大の英語は、時間がキツキツです。
きちんとこの大問をこの時間で解く、ということを決めていないと時間が絶対に足りません。
我流で構わないので、時間配分はきちんと明確に決めておいてください。
まずは、各大問の出題内容を簡単に確認をしておきましょう。
1A・・・文章要約、1B・・・段落整序
2AB・・・英作文
3ABC・・・リスニング
4A・・・文法・語法問題、4B・・・和訳
5・・・読解問題
これを押さえた上で、私の場合は次のように時間配分を決めていました。
1A(10)→2AB(20)→4B(10)→3ABC(30)→4A(5~10)→5(25~30)→1B(0~10)
リスニングが定刻から始まるので、それまでに簡単に済ませることができる問題をやっておきます。
そしてリスニングが終わったら、重たそうな問題をこなしていくというように順序立てて解いていきます。
あと最後に、英語を時間内に解き終わるために細かいところにこだわらないことも大切です。
本当に時間がいっぱいいっぱいなので、駆け足で問題を解くことが必要です。
リスニング5分前は、リスニングの問題文を読む
これはすでに実践をしている人が多いのではないでしょうか?
リスニングは英語の試験全体の4分の1を占める、唯一の点取り問題です。
このリスニングで、確実に30点をもぎ取ることが合格に大きく近づくための大きな一歩です。
そのためにも事前に問題を読んでおくことがマストです。
いかに中途半端なところであっても、40分経過した段階で第3問に移りましょう。
事前に問題を読むことで、どんな文章か流れそうかを事前に予測してリスニングを聞くことができます。
これをやる場合とやらない場合とでは、正答率が全く違ってくるので絶対にやってください!
問題が例年通りとも限らないので型のハマりすぎにも注意
英語は毎年同じ問題が出ているように見えて、実は少しずつ変わっています。
例えば、英作文はこれまではイラストの説明や思ったことを書く問題でしたが、昨年度はこのような問題でした。
「あなたがいま試験を受けているキャンパスについて、気づいたことを1つ選んで説明せよ。」
これまで自分が解いたこともない問題に本試験で遭遇するのは、本当にびっくりします。
私自身もかなりびっくりして、ヘナチョコな英作文しか書けなかったことを覚えています。
ここで手が動かなくなってしまわないようにするために、東大の問題は昨年度と同じであるとは限らないだと思っておいたほうが良いです。
このような意味で、型のははまりすぎには注意です。
東大入試の対策法まとめ
いかがでしたでしょうか?
東大の入試は、全国の強者が一挙に集合して得点を競う、まさに戦場です。
その戦場において少しでも有利に戦って欲しいと今回記事にしました。
私が、入試を受ける上で掲げていたスローガンを最後に述べて終わりにしたいと思います。
「落ちても来年清々しく浪人できるよう、今年度の本試で絶対に後悔のないように!」
皆さんの実力が入試で遺憾無く発揮されますことを、祈っています。
入試まで残り少ない時間を体調に気をつけて、有意義に過ごしてください!