お金の動きから社会問題にアプローチしたい
―中学生なのに世の中お金が大切ってだいぶ達観していたんですね。その考えが今の進路(杜田さんは法学部で政治について扱うコースに進学)にも影響を与えているのでしょうか。
私が政治分野のなかでも興味があるのは「世の中のお金の動き」ではあります。先ほど言ったように、世の中けっきょくお金が大切というのは外部講師を東京から呼べるかどうかの問題に直面した際に感じていました。環境問題や国際問題などの社会問題を見てみても、実現したい理想はあるのに現実世界ではそれが実現できていないってことが多いように思ったんですよね。それってどうしてかというと助けて欲しい人にはお金がないのに別に助けて欲しくない人にお金があるからだなって。けっきょくお金を必要なところにまわすインセンティブが今の仕組みにはないことに気づいたんです。
お金にまつわるということで、はじめは進むべき進路は経済学かもしれないって思っていたんです。ただ、私のしたいことは純粋な経済学の目的からは外れていて、お金の動きをコントロールすることができれば社会的に望ましい方向に人々の欲望を向けられるようにしたいと思ったんですよ。例えば困っている子どもがいれば助けなくてはいけないけれど、いまは助けることにインセンティブが働かないから手が差し伸ばされる機会が少ないのかなって。だったら、手を差し伸べて子どもを助けることをお得にできれば解決すると思ったんです。
―社会問題になぜ関心を持つようになったのですか。
そんなに明確なきっかけがあるわけではありませんが、学校の授業を通して社会問題について知っていくうちに、自分は幸せな思いをしていても、それが手に入らない人がいるんだって気づいて、その状況が気持ち悪く感じたんです。
ただ、今では中学生の頃ほど純粋ではなくなってきた感じはあります。中学生の頃に持っていた使命感が、勉強するにつれて視野が広がっていくことへの個人的な喜びにだんだん変わってきているような気もします。
今まで進路に迷ったことがなかった!?
―東京大学文科一類に入学して、進学選択で法学部に進学することを決めるまでに、進路について迷ったり悩んだりしたことはあったのですか。
あー、それほどありませんでしたね。どうしても今決めなくてはいけないというポイントの前で決めてきたのであまり悩んだという感覚がないのかもしれません。締切のまえに余裕をもって決めるか、締切自体を先延ばしにするような選択肢をとってきたのだと思います。大学受験のときも母から国公立に4年間通うだけの学費しか貯めていないと言われ、私立の選択肢がはじめからなかったんです。それに、もともと大学からは実家を出ようというのは決めていました。ひとりで暮らしていけるような生活スキルを身につけるためにも大学生のうちに実家から出ておきたかったんです。
となったときに、東京大学に通い日本で1番と言えるくらい頭が良い人たちと4年間過ごすか東京外国語大学でフランス語を極めるのか、もしくは必ず1年間留学にいける秋田の国際教育大学に進学してグローバル人材を目指すのかという3つの選択肢が私にはありました。
幸い受験の日程がそれぞれ異なっていたため、受かったところに神様が行けと言っているのだろうと考えすべて出願しました。ひとつに絞る必要がなかったのであまり悩まなかったのだと思います。
―実家を出ることに対して抵抗感や不安はなかったのですか。
そういうのはあまりなくて。私の両親がともに大学に通うタイミングで実家を出ていて、小さい頃からその話を聞いていたので、大学に行ったら実家を出るのが当たり前だと思っていました。だから、怖いと感じることはなく、なんとかなるだろうと考えていましたね。
最後に
―最後に高校生に向けてメッセージをお願いします。
いま私が今後のキャリアについて人生で初めて悩んでいる時期でもあるのであまり偉そうなことは言えないかもしれないのですが…。
自分の決定から1番影響を被るのって自分自身だと思うんですよ。とすると自分の人生についての選択であれば決める正当性が1番あるのは自分自身だから、きちんと自分で選択して欲しいです。きっと「なるべく後悔しないように選択してほしい」って言われてもむずかしいと思うので、後悔しても実のある後悔ができるようになって欲しいと思っています。
仮に最終的には間違った選択肢であっても、ちゃんと理由をもって選択した後悔であって欲しくて、というのは後悔するときに「あのとき私はこう思っていたけれど、その理由付けのあそこが間違っていたんだな」って考えることができれば次に生かせると思うんです。
1度頭を整理して言語化した言葉は振り返るときに役に立ったり、自分がもうやめたいと思ったときに一歩踏み出す原動力になったりすることもあるので、ぜひ言語化しながら進んで欲しいと思います。
―お忙しい中、貴重なお話ありがとうございました。
大学での勉強での話を生き生きと話している姿が印象的でした。
皆さんも大学に入学したら、ぜひ興味のあることを突き詰めてみてください!!
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