医師のキャリアパス【医学生の生活とキャリア編】―医学部受験面接対策―

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この記事は 2016年07月16日に更新されました。

医学部ライターの なかたつ です。

面接面接に関しての意識はできていますか?面接の心構え、考え方、タブー、参考書などは以前合格サプリでも紹介いたしました。

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そこで、「医師のキャリアに関して知っておく必要がある」というお話をしました。医師のキャリアパス(=目指す職業につくまでにどういう経験を積むかという順序のこと)について知ることは、自分の将来について適切に考える機会になるからです。

そしてそれは自然と面接対策にもなります。何事も始めるときには、将来どのような人間になりたいのかを考えることはとても大切なことなのです。

今回から数回に分けて、医師のキャリアについてご紹介していきます。

医学生の間で一人前になれると思うな!医学部の6年間

さて、第1回の今日は、医学生の生活とキャリアと題して、医学部入学後6年間の生活を記していきます。みなさんは医学生というとどんなイメージを持っているでしょうか?

医師の卵で、医療従事者としての倫理観を持ち、しっかり勉強もしているというイメージでしょうか。

しかし6年間で医学の知識が十分に身についている…というわけではないのだということを、ご存知でしたでしょうか?

実は、医学部を卒業すればすぐに開業できるようになる……わけでは、ないのです!

では、どんな学生生活を過ごすのか、見ていくことにしましょう。

今回はかなり詳細に書いておりますが(医学生ですら知らないことも多いです)、ここまで覚えている必要はありません。

覚えておいてほしいことは、最後のまとめに書いておきますが、要は「医学生の間で一人前になれると思うな」ということです。

医学部では基本的にはカリキュラムがどこでもほぼ統一されています(文部科学省が出している「医学教区コア・カリキュラム」に基づいて、どの大学もカリキュラムを組み立てる必要があるからです。)

ただし、私立と国立、単科医科大学と総合大学では若干差があるかもしれません。しかし最終的にはほぼ同じことを学んでいます。

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【1年生】一般教養(教養教育)を、他学部生と一緒に受講する

1年生では、医学専門教育はまだほぼ始まりません。唯一医学専門教育で座学としてあるのは私の在籍する三重大学では「細胞生物学」という、細胞に関して学ぶ学問で、実習としては大学や地域の病院・保健所・養護施設見学、地域調査などが専門教育として用意されています。

しかしそれがメインというよりは、他学部生とともに受講する教養教育がメインで、語学・歴史・政治・経済・文学・哲学・工学・理学・化学・物理学・生物学などの基礎を学んでいきます。

したがって、みなさんが思うような医学生、というところからはまだまだ遠く、1年生が終わっても医学の知識があるとは言えない状況、といってもいいと思います。

しかしながら、この1年間で1科目しかなかった「細胞生物学」は、医学を学ぶ上での一番初めの学問ともいえるもので、これがわからないと後々苦労していき、理論を理解することなく、疾患名と治療法をただ単純暗記しているだけの医師になってしまいます。

受験時に生物を選択しなかった生徒が大半ですが、そういう人たち(ライターである私も含めて)は結構苦労します。しかしそれは生物選択者も同じで、物理の勉強も医学には必要ですから、彼らも苦労するのです。

【2・3年生】専門教育が始まるが、基礎医学からスタートする

医学といえば、皆さんは「外科、内科、産婦人科、総合診療科…」といった臨床医学なんてものをイメージすると思います。

まあその通りなのですが、それらは人体の正常構造と機能、生体防御の機構、社会と医学の関係、などの基礎となる部分がしっかりと理解できているからこそ、勉強できるようになるのであり、語れるようになるのです。

したがって、専門教育の初期過程では、基礎医学といわれる学問を勉強していきます。

そしてこの基礎医学は、1年生の時に唯一あった細胞生物学からすでに始まっており、これを理解していないと臨床医学につながらないどころか、2年生で勉強する基礎医学からさっそく躓くことにもなる可能性があります。

というのも、細胞を生命の組織の最小単位という見方をすれば、これが理解できないとどんどん大きく視野を広げていくのは難しい、ともいえるでしょう。

2年生では、免疫学、生化学、組織学、解剖学、微生物学、病理学、生理学、分子病態学、薬理学、医動物学を学習します。

これらは自学自習が基本であり、教科書は1科目600ページほどあります。勉強をするだけではなく、後々覚えていて(というより理解していて)、将来につなげられるような勉強をしなければいけません。

さらに、解剖学・組織学では御献体(=医学の発展のために、自らの肉体を解剖用に死後提供されたもの)から学ぶこともあります。

なかなかハードな日々ではありますが、ここをおろそかにしては将来臨床医学で理論をわからずにただ疾患名と治療法を暗記するだけになってしまうのですから大変です。

それぞれの学問について簡単に解説しましょう。

  • 免疫学は、ウイルス、細菌からの感染に対し私たちの体はどう反応するのかを細胞、組織レベルから勉強します。
  • 生化学は、私たちが取り入れた食物をどのようにエネルギーに変えるか、あるいは貯蔵するか、また貯蔵した物質をどうエネルギーに変換するのかを勉強します。(臨床につなげるならば、糖尿病がわかりやすいと思います。)
  • 組織学は、各臓器の組織標本を実際に見てみる実習もあれば、座学で各組織の働き、構造(シグナルの伝達、筋肉の収縮など)を勉強する機会もあります。
  • 解剖学は、みなさんがイメージする通り、各臓器の位置、働き、発生の機序を学ぶ学問で、実習もあります。
  • 微生物学は、臨床では感染症につながる分野ですが、どこの科に行っても感染症とは常に隣り合わせですから、かなり重要な分野ですし、研究でもウイルスベクターを含む重要な分野がはいっています。
  • 生理学も、各臓器の機能を勉強します。ホルモンの働きなんかを勉強することもあります。
  • 病理学は、今までの基礎医学の総合といってもいいもので、今までは正常構造を勉強してきたわけですが、その知識をもとにして病態について考えていくものです。炎症、腫瘍、疾患、ショックについても勉強します。
  • 分子病態学は、多岐に広がる分野ですが、ここではがんについて勉強していきます。
  • 医動物学は、寄生虫について勉強します。マラリアなんかについても学べます。
  • 薬理学は、薬剤の効くメカニズムを勉強することができます。

さらに、医師は人体だけではなく、社会についても目を向けなければいけません。

医師法に従って医療行為を行うことはもちろん、たとえば感染症を患った患者が来院した場合、どのウイルスが原因ならば保健所に届けなければならないか、など制度面に関しても知っておく必要があります。

公衆衛生に関する知識も必要です。また、統計に関する知識も持っておくべきでしょう。さらに、死と隣り合わせの学問ですから、患者さんが亡くなった時に書く死体検案書も書けるようにします。

これらは衛生学・公衆衛生学・法医学といった分野で勉強します。

ここまで出わかるように、ようやく専門教育が本格化しますが、まだまだ土台を作るための勉強であり、ある程度わかっても患者さんを直接診断するのはまだ難しいかもしれません。そのトレーニングは、基礎医学終了後積んでいくことになります。

次ページ:3年生から始める臨床医学とは?

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