はじめに
みなさんは「共通テスト利用入試」をご存知でしょうか。
共通テストの点数だけで大学の合否が決まるこの入試方式は、私大対策にあまり時間を割いていられない、難関国立大志望の受験生に特に有用です。
共通テスト利用入試を活用しない手はありません!
そこで今回は、東大をはじめとする難関国立大を第一志望とする受験生向けに、共通テスト利用入試の基本情報から具体的な出願パターンの例まで解説します。
目次
共通テスト利用入試の基本情報
共通テスト利用入試の仕組み
みなさんの多くは大学受験と聞くと、試験会場に向かい、大学・学部ごとの試験を受ける形式を思い浮かべるかもしれません。
しかし共通テスト利用入試では、こうした個別の試験は行われません。
受験した共通テストの点数だけで合否が決まるのです。
このような形式をとる共通テスト利用入試ですが、全ての大学で実施されているわけではありません。
例えば、早稲田の文系学部の一部やMARCHの各学部、理科大の各学部などは共通テスト利用入試を実施していますが、慶應や上智は共通テストのみでの入学者選抜を行なっていません。
難関国立大志望の人は、滑り止めとして早慶上理やMARCHを意識していると思うので、共通テスト利用入試を行っている大学を把握しておくと良いでしょう。
共通テスト利用入試に必要な教科数
共通テスト利用入試で要求される教科は、大学・学部ごとに異なります。
受験する大学が、どういった配点・教科で共通テスト利用入試を行なっているのか、しっかりと調べておくことが大切です。
具体例として、早稲田の政治経済学部が要求する教科について紹介します。
早稲田の政治経済学部では、5教科6科目、800点満点で計算されます。
点数の内訳は、国数英各200点、任意の社会科目100点、理科基礎2つまたは理科1つで100点となっています。
社会が1科目だけで、理科基礎か理科かの選択もできるので、文理を問わず出願できるようになっていますね。
早稲田は基本的に、共通テストを5教科で受験する人を前提とした設定になっていますが、MARCHや理科大では科目数が少ない方式となっているものが多いです。
そのため、私立大が第一志望の人など、多様な受験生が出願できますよ。
共通テスト利用入試の出願時期
共通テスト利用入試の出願時期も、大学・学部によって異なってきます。
一般的には、共通テスト後に自己採点の点数を踏まえて出願できるタイプと、共通テストより前に出願しなければならないタイプに大別されます。
早稲田は共通テスト後に出願できるようになっているので、共通テストの点数を把握した上で出願するかどうか決められます。
ですから、書類作成や受験料の無駄を減らせると同時に共通テストの得点に応じた柔軟な受験戦略の再設計が可能になりますよ。
一方、MARCHや理科大の多くの学部は、共通テストより前に出願の締め切りが設けられています。
共通テストの結果を予測しながら出願先を考えると良いですね。
ただし後期入試など例外もありますので、詳しくは各大学のHPをご覧ください。
共通テスト利用入試を受ける利点
滑り止め校の一般入試を受ける必要がなくなる
難関国立大志望者の多くが滑り止め校として私大を受験しますよね。
大学受験本番の雰囲気を体験し、緊張に慣れておくという意味では滑り止め校の一般入試を受験するのは有益です。
しかし、あまりに受験する大学の数が多いと第一志望校の対策に支障が出てしまいます。
そこで、滑り止め校を共通テスト利用入試で抑えることにより、滑り止め校の一般入試受験の負担を軽減することができるのです。
一般入試を受験する負担が軽減されるのはありがたいですね。
精神的に楽になる
共通テスト利用入試の合格発表は、比較的早めに設けられていることが多いです。
国立大の2次試験より前に合否が出る場合がほとんどなので、合格を確保できれば、楽な気持ちで国立大の2次試験に臨むことができますよ。
本番当日のメンタルが合否に影響を与えることは言うまでもありません。事前に合格を把握できることは大きな利点と言えます。
また、共通テストはマーク式なので、受験後にマークミスの不安が付き纏うことがあります。
そんな状態に陥っても、共通テスト利用入試で想定通りの結果が帰ってくれば、自己採点の正確性がある程度保証されます。
不安が払拭され、第一志望校のための勉強に集中できるようになりますよ。
共通テスト利用入試に向けた勉強のコツ
高2の間に国数英の基礎を固める
高2までに国数英をある程度完成させることがもっとも大切です。
なぜなら高3では、数3や理社を全範囲終わらせなければならない上、国数英に関しても国立大の2次試験に対応できるように、洗練させる必要がでてくるからです。
高3に上がってからは、共通テストに絞った勉強を行えるほど時間がありません。
ですから、高2までに共通テストで戦えるくらいには国数英を仕上げておくべきです。
高3になってからは国立大2次試験の勉強との兼ね合いを意識する
高3以降も共通テストの勉強を続けるべきですが、第一志望校である国立大2次試験の対策にも時間をかけなくてはなりません。
第一志望校の対策を主軸にしつつ、感覚を忘れない程度に共通テストの勉強も行うとよいでしょう。
共通テストやセンター試験の過去問を夏までに十分解いた状態にし、秋以降は第一志望校の過去問対策にたっぷり時間をかけるのがおすすめです。
理系にとっての社会や、文系にとっての理科は対策不足になりやすいので、例えば共通テストの2ヶ月前からは重点的に勉強するなど、しっかりと計画を立てましょう。
また、共通テスト対策と国立大の2次試験対策は、互いに独立したものではなく、相互に連関しながら総合的な学力を向上させます。
ですから、両者で選択科目が揃うようにするするのも重要です。
共通テスト利用入試を活用した実際の受験スケジュール
ここでは、共通テスト利用入試を活用した実際の受験スケジュールの一例を文理に分けて紹介します。
是非参考にしてみてくださいね。
難関国立大志望の文系の場合
まず、共通テストでしっかり点数をとります。
早稲田の共通テスト利用入試のボーダーは高くて約93%程度なので、得点率の目標を93%以上にするのがおすすめです。
共通テストで点数を稼いだら、早稲田の政治経済学部に出願し合格を確保しましょう。
次に入試本番の雰囲気に触れるためにも、慶應の経済学部のA方式(数学利用型)などの私大を1、2個受けます。
最後に国立大の2次試験に臨み、合格を目指します。
筆者も概ね上記のようなスケジュールで戦略を立て、国立大の2次試験では力を出し切ることができました。
難関国立大志望の理系の場合
早慶の理系学部は、残念ながら共通テスト利用入試を実施していません。
ですからあらかじめ理科大に出願しておき、共通テストで思うように得点できたら理系と親和性の高い早稲田の政治経済学部などに出願するのがおすすめです。
また、志望学部に応じて、早慶を1つか2つずつ一般入試で抑えるとよいでしょう。
最後に国立大の2次試験に余裕を持って臨みましょう。
おわりに
以上、難関国立大志望者向けに共通テスト利用入試について概説してきました。
もちろん勉強法などは一例であり、状況に応じて柔軟かつ堅実に勉強することが大学受験成功への最短経路である、ということは最後に強調しておきます。
皆さんが受験を有利にすすめ、合格発表日を良い日として迎えることができるように、そして少しでもこの記事が皆さんに貢献できるように、願っています。