はじめに
以前に比べ、学校の授業でスピーキング練習を行う機会が増加していますが、多くの高校入試、大学入試ではスピーキング試験はなく、リーディング試験、リスニング試験だけが行われています。
そのため、学校でのスピーキング練習に意義を見出せず、代わりにリーディングやリスニングの勉強をしたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、スピーキング練習が受験英語の成績向上にもたらす効果についてまとめました。
受験英語対策にスピーキング練習をどのように活用すればいいのかが分かりますよ。
目次
スピーキング練習でできること
【スピーキング練習でできること】①基本的な英単語・英文法の確認
スピーキングと聞くと、ただ英会話力をトレーニングしているだけかのように感じるかもしれません。
しかし、実際には英語表現の多くは、スピーキングで使用する語彙・文法で構成されているため、スピーキング練習は英語力全体の向上に直結します。
例として、一見スピーキング能力と関係なさそうなリーディング能力について考えてみましょう。
実は、スピーキングで使用する基礎的な英語表現の理解が進むと、リーディングで意識しなければならないことが減り、リーディングスピードが向上します。
というのも、スピーキングに比べて単語レベルや文法レベルが高いように感じるリーディングであっても、その文章の多くは基礎的な単語や文法で構成されているからです。
単語でいうと、英語表現で使われる英単語のうち約80%は、中学レベルの英単語です。
文法についても、時制、接続詞、関係詞、前置詞など英語の基礎的用法のほとんどは、中学で習うものですよね。
スピーキングをすることで、これらの基礎事項の確認ができます。
さらに、スピーキングを通じて、実践的に英文法を活用すれば、感覚的に文法事項を理解できるようになります。
感覚的に英語を理解できるようになると、英語理解にかかる時間が短縮でき、よりネイティブ感覚に近づけますよ。
また、スピーキングで苦手とする表現を分析することで自分の苦手な文法事項を把握できるようになります。
例えば、上手く英語を話せないという経験をしたことがある人は、上手く話せない原因を考えたことはありますか?
スピーキングで上手く表現できない原因は、「スピーキング練習の時間が不足していること」、あるいは「文法事項の理解が足りていないこと」にあると言われています。
それもそのはず。文法事項あるいは単語に不安がある場合、流暢にスピーキングはできませんよね。
スピーキング練習をすることで、自分の苦手な文法事項を把握することができるというメリットもあるんですよ。
【スピーキング練習でできること】②英語に対する反射力の習得
英語に対する反射力はスピーキング練習によって鍛えられます。
スピーキング練習が英語力向上につながる仕組みについて気になりませんか?
スピーキング練習を反復すると、受動単語が能動単語へと変化します。
と、いきなり言われてもそもそも受動単語と能動単語とは何か、よく分からない人も多いですよね。
受動単語とは、読んだり聞いたりすれば理解できる単語のことです。
一方、能動単語とは、話したり書いたりする事ができる単語のことです。
実は、この能動単語が増加するにつれて、英語の4技能が相乗的に向上します。
能動単語は受動単語に比べて圧倒的に少ない時間で理解できるため、英語の処理能力が伸びます。
スピーキング練習により今までは受動単語であった英単語を能動単語にすることで、スピーキング以外の英語力も向上するという仕組みなんですね。
スピーキング練習が受験英語対策に効果的な3つの理由
【スピーキング練習が効果的な理由】①リスニング能力が向上するから
英語試験の中でも、特にリスニングに対して苦手意識を持つ人は多いですよね。
リスニングの難しい点は、英語特有のイントネーションやアクセント、リズムなどにあると言われています。
自ら発音することで、英語特有の要素に慣れる事ができるので、スピーキング練習は要素をトレーニングするのに効果的です。
そもそもスピーキングにおいては、単語の発音以上にイントネーションやアクセント、リズムを正確に再現することが要求されますよね。
自ら発音できない文章はリスニングできないため、発音する機会を増やすことは、リスニング対策に有効だと言えます。
間違った発音、アクセントで理解していた単語をいきなりリスニングの際に理解するのはほぼ不可能ですよね。
しかし、スピーキング練習を繰り返していけば、正しい発音、アクセントを習得し、リスニングで理解できる英語表現や英単語を増やすことができます。
また、英会話では、通常のリスニングよりも高度な集中力を要するため、自然とリスニング能力が向上します。
英会話においては、単語の省略、発音の省略が増加するため、高度な英語力が必要ですよね。
英会話の際には、瞬時に返答を用意しなければいけないことから、リスニングの処理能力が
向上すると言われているんですよ。
【スピーキング練習が効果的な理由】②ライティングのスピード・正確性が向上するから
大学入試の二次試験や、TOFEL、IELSを受験する人はライティングの勉強をしますよね。
ライティングはスピーキングと並んで、日本人が苦手とする分野であると言われています。
これはスピーキングがライティングの基礎になっているからです。
ライティングでは、正確に文章を記述することが要求されますが、スピーキングでは、単語のスペルは要求されないですよね。
また、ライティングでは、正確な文法が要求されますが、スピーキングでは、多少の文法ミスは許容されますよね。
スピーキング能力とライティング能力には相関があるため、ライティングの基礎となるスピーキング練習をすれば、ライティングのスピードが向上します。
さらに、スピーキングの練習をすると、難しい概念、事象を上手に簡単な表現で言い換える技術が身につきます。
特に日本人は、日本語特有の難しい表現に慣れてしまっているので、言い換える練習が必要です。
よくライティングの失敗例として、日本語の文章から機械的に英訳したものが紹介されていますよね。
そもそも英語と日本語には同じような表現があるとは限らないため、英語独特の表現を覚える方が効率的です。
英語独特の表現や言い回しを理解すれば、英文全体の質が向上しますよ。
さらに、スピーキングに慣れていると、ライティングした文章の違和感に気付きやすくなります。
というのも、スピーキング練習を繰り返すにつれて、聞き覚えのない表現や、以前間違えた表現、伝わらなかった表現に対して敏感になるからです。
自分で書いた英文の間違いに気づけるようになったら、ライティングの精度が格段に向上しますよね。
【スピーキング練習が効果的な理由】③英語のモチベーション維持につながるから
皆さんは「自分もネイティブスピーカーみたいに英語を話したい!」と思ったことはありませんか?
スピーキング能力が向上すると、より流暢に話せるようになりたいというモチベーションが湧き、英語を勉強するインセンティブが働きます。
スピーキング練習をこなすと、話せるようになる小さな達成感を味わう事ができます。
また、リーディングの勉強などとは異なり、スピーキングの勉強は多くの仲間と行うことが多いですよね。
自分よりスピーキングが上手な人と会話することで、英語の勉強の刺激を感じられます。
なぜ刺激が大切かというと、継続的な刺激は英語勉強のモチベーションを保つのに効果的だからです。
ちなみに、英語を勉強している時に、「この英語の文章って本当に伝わるのかな」と疑問に思ったことはありませんか?
リーディング勉強だけをしていると陥りがちな、このような疑問はスピーキング練習を繰り返していくことで解消されていきます。
リアルタイムで自分の英語が相手に伝わるかを検証していくのがスピーキング練習なので、常に伝わる「生の英語」を学習することができますよね。
生の英語を実感すれば、リーディングの勉強などに対しても意義を見出しやすくなります。
スピーキングの勉強をすることでスピーキングのみならず、英語の勉強全体に対するモチベーションを保てますよ。
おわりに
いかがだったでしょうか。
貴重なスピーキング練習を最大限に活かして、自身の英語力を磨いてみてくださいね。