はじめに
全国の多くの大学が大学生協に加盟しており、入学する際、大学生協に加入する人は多いでしょう。
本記事では、生協の多様な事業の中でも大学生協保険にフォーカスし、生協のない大学との比較や現役大学生の声も交えて解説していきます。
バタバタと忙しくなりがちな入学準備の時期の前に、手続きについて知っておきましょう!
目次
大学生協保険の基本情報
大学生協保険とは
大学生協保険とはその名の通り、大学生協、正式名称「大学生活協同組合」の組合員が利用できる保険のことです。
「株式会社 大学生協保険サービス」が取扱い代理店として運用しています。
中心となる制度は「学生総合共済」です。
これは1981年、学生が困ったときにお見舞金を送ることを目的にスタートした制度で、2024年3月時点で全国約77万人が加入しています。
この「学生総合共済」に、賠償責任保険や就学費用保障保険なども組み合わせて加入できます。
他にも海外留学や、国内外それぞれの旅行保険もありますよ。
さらにバイクや自動車の保険もあるようです。
自賠責保険(正式には「自動車損害賠償責任保険」)は車やバイクを運転する際に必ず加入しなければならない強制保険ですが、その不足分を大学生協の任意保険でカバーできます。
特に自動車保険には1日単位で加入できるものがあるので、自分の車の使い方に合わせて柔軟に利用できますね。
保障内容
ここからは、大学生協で加入できる主要な3つの保険商品の保障内容を見ていきます。
CO・OP学生総合共済 G1200コース
学生本人のケガや病気にそなえる保険です。
学生の入院・通院や手術に対し、学内外・国内外問わず24時間365日保障してくれます。
年間掛金は14400円で、1日あたり約40円となります。
学生賠償責任保険 19H,19HK
「一人暮らし特約」なし型とあり型があります。
一人暮らし特約なし型は、年間の保険料1800円で日常生活、正課の講義、インターンシップ中の賠償事故を保障してくれる保険です。
特約あり型の場合、上記に加え家財保障や修理費用保障など、住まいに関する保障も含まれます。
中でも特徴的なものが「父母駆けつけ費用保障」でしょう。
ケガや病気による3日以上の入院や、事故で生死が確認できない場合、親族が駆けつけるために支出した交通費・宿泊費を保障するそうです。
特約あり型の年間の保険料は8500円となっており、充実した保障の分、特約なし型とは大きな差があります。
就学費用保障保険(総合生活保険) 19W
扶養者の病気やケガ等で学生が扶養されなくなった場合の学資費用をサポートしてくれる保険です。
学生総合共済ではまかなえない、もしもの場合の費用に備えられます。
というのも、学生総合共済では、扶養者が病死した場合50万円の共済金が支払われますが、卒業までの授業料には全く足りません。
就学費用保障にもあわせて加入しておくことで、授業料や教材費は保険金でまかなえるので、家計の不安が和らげられるでしょう。
年間保険料は、2610円/1口です。
1口あたり年間25万円を限度に卒業予定年まで保障されるので、国公立大学は2,3口、私立大学は4,5口が目安となっています。
加入から満期まで(入学と同時に加入の場合)
まずは進学予定・在学中の大学生協の共済カウンターへ問い合わせ、必要書類を取り寄せます。
あるいは、入学書類と一緒に送られてくることが多いので、問い合わせをしなくとも簡単に申し込むことができます。
次にWebシステムまたは申込書で加入申込みをします。
1〜2か月後、「共済証書・保険加入者証」 が扶養者住所(指定送付先住所)宛に送付されるようです。
それからは毎年9~10月に「生命保険料控除証明書」 が、毎年12~1月に「学生総合共済・保険 次年度掛金・保険料口座振替のご案内」 が扶養者住所(指定送付先住所)宛に送付されます。
翌年の3月26日、次年度の掛金・保険料を口座振替します。
卒業予定年には、卒業の3か月前に満期手続きの案内が送付され、手続きを無事に済ませれば満期となります。
実際に利用するには
共済金の請求
「共済マイページ」から、病気や事故について連絡します。
手続きはWeb上ですが、事前に書類を手元に用意しておく必要があります。
手続きでは必要事項を記入し、書類をアップロードする、という手順からなるためです。
次に、共済カウンターや共済センターで請求に必要な書類を受け取り、さらに必要書類をそろえて郵送します。
書類審査の結果、規約に沿うと判断されれば共済金が支払われます。
保険金の請求
事故が発生した際、速やかに電話やインターネットで連絡します。
24時間365日対応しているので、ためらわずすぐに連絡した方がよいでしょう。
連絡が遅れると保険金が減額される場合があるので注意しましょう。
次に引受保険会社から必要書類を受け取り、求められた書類をそろえて提出します。
審査に通れば、保険金が支払われます。
注意事項
充実した保険といえど、何があっても保障してくれる訳ではありません。
以下のように、保障対象外の条件があるので注意が必要です。
- (学生総合共済の場合)被共済者が発行日の前日以前ですでにり患していた病気を原因として、新規系欲の発行日から発行日を含んで1年以内に入院・手術を開始したとき
- 入浴中の溺水(水を吸引したことによる窒息)
- 誤嚥による肺炎
- 地震、噴火、津波による損害
- (就学費用保障保険の場合)保障開始前にすでに負担していた学資費用
また、学生賠償責任保険においては、次のような場合には保険金が削減されてしまいます。
- 職業を変更したことを、保険会社に通知していなかった
- 事故発生時、保険会社から求められた書類を遅滞や不足なく提出できなかった
保険金に関する会社の判断について、異議申立てもできるようですが、納得いかない判断をされないよう規約をよく読んでおきましょう。
番外編:生協がない大学は?
①インターカレッジコープを利用する
インターカレッジコープは、生協のない大学の学生が利用できる、全国5箇所に設置された生協です。
宮城県・東京都・愛知県・大阪府・熊本県にあり、その都府県内の大学への通学や在住している学生が加入できます。
加入率は明らかになっていませんが、例えば東京都内であれば国際基督教大学、上智大学、デジタルハリウッド大学、明治大学、立教大学など、有名な大学を含む多くの大学が加入対象となっています。
②地域の生協(コープ)を利用する
大学生協と地域の生協の「学生総合共済」は、同じ保険商品です。
そのため、通っている大学がインカレコープの対象校でもない場合、大学生協を介さず、CO・OP共済の他の保険商品と同様に申込みをします。
おわりに
大学生協保険の基本情報を解説しました。
全ての大学に生協がある訳ではなくとも、情報収集は念入りにしておいて損はありません。
もしもの場合に、そして入学前の慌ただしさに備えて、ぜひ保険について知っておきましょう!