小論文模試全国1位の東大生菅沼が教える小論文対策

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はじめに

AO入試や、後期試験で出題されることが多くなった「小論文」。解答用紙を埋めることができても、自分の解答に自信を持てない人が多いのではないでしょうか。今回は、小論文模試で全国1位をとった現役大学生の菅沼哲也君に、まわりに差をつけるための秘伝の小論文対策を教えてもらいました。

小論文の2大形式! テーマ型・課題文型の徹底解説

テーマ型

テーマ型小論文では与えられたテーマに対して、自分の意見を述べるという問題形式です。与えられるテーマは漠然としたものが多く、例えば「読書について」「志望動機について」「私のこれからの大学生活について」等と設問に具体性がないのが一般的です。

間違えはない? テーマ型小論文

 具体性に欠けるテーマであるために、何を書いても間違いにはならず、一見得点しやすいように思えるテーマ型小論文なのですが、実は、意外に「差」がつきやすい問題なのです!

 課せられるテーマが漠然としているだけにそれに引っ張られて、問題提起も漠然としてしまうと得点は伸びません。論理破綻もなく、間違っているわけではない文章を書いたとしても、ありきたりで、曖昧な自己主張になってしまうからです。

問題を「絞る」

 つまり、テーマ型小論文の問題のポイントは「絞る」こと。そうしなければ、差がつかず大ダメージを受けます。設問が漠然としているということは、逆に考えれば、いかに回答者が広いテーマの中から問題提起をしっかりと行い、自分の得意な方向へ持っていくのかが問われているのです。

たとえば「読書」であれば、単に「読書とはなにか」や「読書の利点」などについて書いても、定義が甘かったり、読書の利点についてありきたりのことしか書けない、といったことになってしまいます。

自分のフィールドを作り、戦う

 テーマを「絞る」ということは、自分のフィールドを作り、そこで戦うということです。つまり、先ほどの「読書」をテーマとした問題であれば、「読書と『本を読む』の違いは何か?」「インターネットを利用すれば情報がすぐに手に入る現代において読書は必要なのか?」など与えられたテーマに自分で「具体性」を吹き込んで、いかに『自分色』の強いオリジナルな問題提起ができるかがポイントになります。

そうして新しい切り口から答えを紡ぎだすことが、自分のフィールドで戦うということなのです。そんな自分だけの答えこそが、採点官が求める面白い答案なのです!

課題文型

書きやすい? 課題型小論文

 課題文型小論文はテーマ型小論文と比べて比較的書きやすいと思われがちです。この形式の問題では、課題文を読み、著者の主張を理解して、まず、その要約を書き、次にその考えに対する自分の意見を述べるという一般的な書き方が定まっており、問題として単純な構造だからです。

しかし、本当に書きやすいかどうかは、課題文の内容や主題に大きく左右されます。つまり、課題文が難解、または自分が普段考えたこともないテーマだった場合、問題の難易度はとたんに上がり、書きにくくなるのです。

ポイントは課題文の理解

 だからこそ、しっかりと著者の主張を理解しておく必要があります。

① 課題文のテーマは何か

② そのテーマに対して著者が提起している問題は何か

③ 結論として何を主張しようとしているのか

④ 著者は自分の主張をどうやって根拠づけたのか

以上、4つの問いを常に念頭に置きながら課題文を読むと、理解の助けになります。

主張の整理と自分の意見

 課題文を読む際には、各段落で一番重要だと思う一文に線を引きましょう。そうしておくと、のちに課題文の論理の流れが整理しやすくなります。あとは、その論理展開に従って、要約文を書くだけです。

また、自分の意見を言う時には、要約で示した著者の主張のどこに賛成・反対していて、なぜ賛成・反対しているのかその理由と、ではどうすればいいのかを順に説明して、自分の意見を論理的に採点官に伝えましょう。

徹底検証! 小論文対策の『定理』

小論文の答え

正解がないとよく言われる小論文ですが、結局は入学試験ですから、「答え」というものはあるのだと僕は思います。

その「答え」は数学みたいに決まったものでは無いのですが、例えば「教育」というテーマで、あなたが「小学校からの英語教育」について論じるとしましょう。もし、単に英語教育の内容を書いても、それは答えではありません。「小学校からの英語教育の利害」についての考察が無ければいけませんし、それが良いもの・悪いものであれ「では、どうすればいいのか」についての発展的な論述が無ければ正解の小論文とは言いがたいのです。

どんなテーマについてでも、論理展開をして、自分の考察・意見を述べなければ答えとは言えません。

良い小論文はジェットコースター

小論文は数学などの一般の入試テストとは違って、採点にはどうしても採点官の主観が入ってしまうものです。だから、採点官に「ジェットコースターに乗ったような気分にさせる」小論文を書いていかに楽しんでもらうかが勝負の分かれ目です。

そのために、まずは主張を明確にして「ジェットコースターに乗って、シートベルト装着」。次に様々な角度からの根拠を示して「ジェットコースターを高く上らせて」どんな根拠付けをするのかドキドキさせる。そして最後にもう一度、「加速し、急降下する」ように結論を主張して納得させるのです!

 くれぐれも、主張が曖昧で「シートベルトの締めが甘かったり」、長い前置きで結論を出し惜しみして「いつまでもジェットコースターが急降下」しない文を書いてはいけません。そんなジェットコースターに乗っては採点官も不安でしょう?

小論文実践練習の3か条

1)時間を計る

いうまでもなく試験では時間が限られています! だらだらと自分の意見を書いても意味がありません。限られた時間の中で思考を整理して、ひとつの論理的な意見を完成させる力が求められます。時間を計らない小論文なんてただの日記。言語道断です! 常に試験を意識して書きましょう。目安は1時間30分で800~1,000字です。

2)自分の文章を熟読する

時間をかけるべきは文章を書く時間ではなく、その復習です。採点してもらった原稿を繰り返し読みましょう! 褒められたところは自分でも褒めてみる、そして注意されたところも自分で読んでみて批判してみる。

そして、褒められた理由は問題提起の視点が面白いからなのか、表現の仕方が良かったからなのか、また批判される理由は論理破綻があったからなのか、論理展開の無い長々とした文章を書いたからなのか、客観的に文章を見つめてみましょう。

3)忘れないうちにもう一本

反省したら、ポイントを意識しつつもう一本書いてみましょう! ここで何もせずに放っておくと、自分の反省点はすぐに忘れてしまいます。どれだけ疲れていても、頑張ってもう一本書いてみましょう!

秘伝! 裏テク集

小論文で、より高得点を取るための裏テクニックを伝授します。これをマスターすれば、レベルアップ間違いなし!

一、効率よいインプットの秘訣。

 小論文の勉強で基礎となるのは、言うまでもなく活字を読むことです。読めば読むほど、自分の知識も広がり、より深い内容の小論文を書くことができるようになります。

でも受験科目は小論文だけではなく、他の科目の勉強もあるため、効率よく読みたいところですよね。

そこで、効率よいインプットの秘訣をお教えします。まず、読書の時には一冊の本のその全てを読む必要はありません! かっこいいと思ったところや使えそうなところ、そしてまとめの部分だけを読むのがコツです。かっこいい一文や、まとめの文を自分がいざ文章を書くときに引用できれば「本を読んでますアピール」になります。

また、「読書は必ずしも読『書』にあらず」です。読書の材料はもちろん本以外にも色々あります。オススメなのは国語の読解問題で出る論述型の問題文や新聞の社説です。それぞれ文章がコンパクトにまとまっており、かつしっかりと完結する文になっているので、論述の際の材料収集にはもってこいです。

二、「型」ではない「型」

 小論文における、「よく決まった型」とは「まず一般論を書き、逆説でそれを否定して、その後に自分の主張を紹介して、最後に結論を出す」という形です。この主張の形はシンプルで書きやすいので多用されがちです。

しかし、この決まった形を意識しすぎると、自分の考えが書きにくくなり、『ユニークな小論文』にはなりません。つまり、型を崩してはだめだ、という気持ちが先行してしまい、結果、自分の考えがはっきりしない文章になってしまうのです。

ですから、決まった型に固執しすぎることなく、まずは自分の考えを出し、その考えに至るまでの論理過程を反映した「新しい型」を考えましょう。効果的な主張のためには、

・問いに答える。

・次に、その答えの根拠を示す。

・最後に、具体例を挙る

・もし時間が余っていたら、もう一つ根拠を挙げて、実例をだして…

というように書く順番をあらかじめ決めておくことも大切です。決して、型を作ってから意見を考える、なんてしてはいけませんよ!

三、採点官に「ムフッ」と思わせる方法

 受験する大学についてしっかり調べておくとお得なことがあるかもしれません。どこの大学でも流行っているスローガンのような文句が必ずあるんです。たとえば「タフな東大生」「実学の精神を実践する」「早稲田からWASEDAへ」「勇気ある知識人」等があります。

たとえば「教育」がテーマの問題が出題されたときに、自分の考えを述べた後に、最後に「教育の目標は知識を次世代につなげる人の育成だ」といった普通の結論を書いておいて、「つまり、『勇気ある知識人』の育成である」なんてダメ押しの文句を書けば採点官にうまくアピールできますよ!

これで君も小論文マスターだ!!

ライター紹介

菅沼哲也 (20)

大学:東京大学 文科2類

出身高校:青島第二中高校(中国・山東省青島)

小学5年生から高校3年生までの8年間を中国で過ごす。中国では、地域最難関進学校一般入試(中国の最難関高校受験制度)に合格。帰国後、代々木ゼミナール全国小論文大会全国1位と3位を受賞。持ち前の小論文力を活かし、帰国子女枠にて東京大学文科2類合格。