はじめに
突然ですが、皆さんは現代文が得意ですか?
一言に現代文といっても、その扱う範囲は幅広く、評論、随筆、小説など、それぞれ異なる特徴を持っています。
しかし、いずれの形式でも、現代文では根拠を論理的に見つけることで必ず正答に辿り着けます。
受験の頻出分野に関連する本を隙間時間に読むことで、根拠を見つけるコツが感覚的に分かるようになり、どんな問題にも対応できる現代文の実力が身につきます。
今回は、日々読むことで現代文の成績の大幅アップが狙える、おすすめの本6選をお届けします!
目次
評論の読解に役立つ本
評論特有の単語に苦手意識がある人におすすめ! 『高校生のための評論キーワード100』
皆さんは、評論を読んでいるとき、使われている単語の意味が分からずに戸惑った経験はありませんか?
評論では馴染みのない言い回しが使われることも多く、難しい単語も知っていることが前提で注がついていないこともしばしば。
単語の意味が分からなければ、文章全体の内容を正確にとらえることが難しくなってしまいますし、単語の曖昧な理解が評論への苦手意識を引き起こしている場合もあります。
そこで、評論特有の単語に苦手意識がある方におすすめしたいのがこの本です。
「コンテクスト」「イデオロギー」など、聞いたことはあっても定義を説明することは難しいような、評論で頻出の単語が網羅されています。
一つの単語につき、見開き1ページで分かりやすい説明がついており、隙間時間にペラペラと読むのに最適です。
単語の思想的背景や、その単語が使われがちな文脈も載っているので、読むだけで評論問題を解くための実力がついていきます。
目次から知らない単語の検索をすることも可能なので、評論を読むときにはぜひ手元に置いておきたい一冊です。
新書サイズでコンパクトにまとまっているので、電車などで立ち読みするのにも最適です。
語彙力の大幅アップを狙いたい人におすすめ! 『日本語チェック2000辞典』
評論独特の単語に限らず、語彙力を大幅に増強させたい方にはこちらの本がおすすめです。
五十音順に熟語や成句、故事成語、ことわざ、コロケーション(語と語の慣習的な繋がりかた)などが載っており、それぞれに詳細な解説がついています。
覚えやすい例文や言葉の成り立ちの解説が示されており、辞書のように使えるほか、ページ上部の単語テストで効率的な自習をすることもできます。
収録語数の多さの割に、持ち運びの負担にならないサイズなのもうれしいポイントです。
大人なら知っておきたい単語が網羅されており、受験以降の生活にも役立つ情報がまとめられているので、国語がある程度得意な方にもおすすめです。
頻出分野の知識を固めたい人におすすめ! 『認知バイアス 心に潜むふしぎな働き』
入試において、「認知バイアス」は頻出の分野です。
認知バイアスとは、人間の思考の偏りのこと。
評論は一般論を否定する形で書かれることが多く、その一般論には人間のバイアスが反映されていることもしばしばあります。
ですから、認知バイアスを知っておくことで評論を読み解きやすくなるのです。
評論だけではなく、小論文を書く際にでも認知バイアスの考え方は援用しやすいので、読んでおいて損はない一冊です。
また、認知バイアスは私たち自身の心に関する身近なことでもありますし、この本は入門的な新書なので、予備知識がない状態で読んでも理解しやすいです。
高校生のうちに、興味のある分野の新書を一冊でも読んでおくことは非常に重要です。
入門的な新書は、その分野の代表的な研究や立場を網羅して示してくれます。
心理学など、高校では専門的に学ばない分野は特に、新書で学問のイメージを掴み、自分の興味を深めておくことが大切です。
小説・随筆の読解に役立つ本
登場人物の心情理解が苦手な人におすすめ! 夏目漱石『こころ』
いわずと知れた名著の『こころ』は、高校2年生の国語の教科書にも載っています。
授業で扱う学校がほとんどですが、通読していない人もいるかもしれませんね。
しかし、大学入試は、高校の教科書に準拠して作られています。
すなわち、教科書に載っているということは、大学入試の基礎・基盤となる重要な本だということです。
誰もが知る近代文学の代表であり、解説も充実しているので、小説が苦手なら一番に手に取るべき教材といえるでしょう。
『こころ』には恋愛要素が含まれ、場面転換も分かりやすいため、飽きずに最後まで読み進められます。
小説の設問として狙われやすい「登場人物の心情」が丁寧に描かれており、通読すれば心情を直感的に理解できるようになっていきます。
複数の登場人物の複雑な心持ちが展開に大きな影響を与えているので、心情を丁寧に追いながら小説を読む重要性を実感できるでしょう。
大切なのは、教科書で扱う部分だけではなく、一冊を読み切ることです。
小説は、「出来事→登場人物の心境変化→登場人物の行動」という流れを繰り返すことが多いです。
小説を一冊分読み通すことで、そのサイクルに何度も触れることになり、意識せずとも流れを掴むことができるようになります。
歴史や宗教に興味のある人におすすめ! 遠藤周作『沈黙』
『沈黙』は、芥川賞受賞者である遠藤周作の小説です。
キリスト教が弾圧されていた時代の長崎が舞台で、布教のために日本にやってきた神父が主人公です。
宗教弾圧で苦しい目にあう中で、なぜ神は沈黙したままで自分たちを救ってくれないのかと疑念を抱いていくストーリーとなっています。
信仰を守ることが正しいのか、それとも苦しむ他者を救うために信仰を捨てることが正しいのかなど、単純な善悪や正義では語れない場面が多いことが特徴です。
この本を読む中で、救済の本質とは何なのかを深く考えさせられるでしょう。
登場人物は、私たちとは全く違った立場の人間ではありますが、丁寧な心理描写で深く感情移入でき、哲学的な思考力が身についていきます。
また、キリスト教や日本での宗教弾圧などを扱っている小説なので、日本史や世界史を学んでいる人にもおすすめです。
宗教には馴染みのない人もいるかもしれませんが、宗教の話題は国語だけではなく歴史でも頻出ですよね。
この小説を通して、当時の詳細な時代背景を知ることで、歴史への理解も深まるはずです。
深い哲学的思考を身につけたい人におすすめ! 鷲田清一『じぶん・この不思議な存在』
皆さんの中には、随筆文に苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。
随筆を読むときには、筆者独自の感情を細やかに追っていく必要があります。
その際、色々なものの捉え方を知っていることが強みになります。
この本の中では、「自分とは何か」など、一言では答えられないような問いがいくつも扱われるため、読んでいく中で内省的な考え方が培われます。
受験期という時期だからこそ、不安定な自分のアイデンティティを見つめ直すのにも役立つ一冊です。
また、筆者の鷲田清一氏の名前を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
鷲田氏の文章は難易度が高く、内容も哲学的なので、論理を正確に捉えるためには確かな読解力が必要で、高校の教科書や入試で頻出です。
国語にある程度自信がついた段階で読むと、より身につきやすくなりますよ。
おわりに
現代文の実力は、一朝一夕で身につくものではありません。
勉強の成果が見えづらい上、その他の科目の勉強もある中で現代文だけに注力するのは難しい現実もあるでしょう。
そのため、実力アップには隙間時間での読書が重要です。
隙間時間に本を読むことを決めていれば、毎日わずかずつでも国語に触れる時間を作れます。
本ならどこまで読んだか、あとどのくらいで読み終わるかが一目で分かるため、モチベーションを保って勉強を続けることが可能です。
ぜひ毎日の読書を習慣にしてみてくださいね。