はじめに
そもそも、国公立大学の後期日程入試とは、どのようなものなのかを整理しましょう。
試験が行われるのは、前期日程は2月中旬で、後期日程は3月中旬。
しかし、出願のタイミングは前期と同じ、共通テストのすぐ後です。
国公立に行きたい人にとっては後期が最後のチャンスとなるので、倍率が高くなりがちという特徴があります。
後期では、前期と違い、学力試験ではなく小論文や面接が課されることもめずらしくありません。
前期の国公立対策に重点を置いてきた人にとっては慣れない形式ですが、怖がりすぎずにきちんと対策をすれば、十分に闘えます。
今回は、そんな後期日程の小論文に焦点を当てて解説していきます!
目次
小論文対策(後期日程)のポイント
ポイント①:添削者の存在が重要
後期は、前期に比べて受験者数が少ないため、赤本などの参考書を見ても模範解答が載っていないことが多いです。
答案用紙の使い方なども大学によって異なるため、信頼できる存在に確認することが重要です。
頼る相手は、学校や塾の先生がいいでしょう。
私は、卒業後も高校に通い、高校の国語の先生に小論文の添削をしていただきました。
長く関わりのある先生に頼めば、進路に関わるさまざまな相談に乗ってもらえる場合もあります。
早めの時期からあらかじめ先生に協力をお願いしておくことが大切ですね。
ポイント②:「批判的視点」を忘れずに
小論文には、大きく二つのタイプがあります。
一つは、評論文を読んでそれに対する意見を述べるタイプ。もう一つは、数行のテーマに対して意見や長所・短所を述べるタイプです。
どちらのタイプだとしても、一般論を述べていては高得点は見込めません。
そこで重要なのが、「批判的視点」です。
「批判的視点」とは、一般論から一歩進んだ独自性のある視点のことです。
独自の視点をもった小論文を書ければ、採点官である大学の先生の目を引く答案を書くことができますよね。
どんなテーマだとしても、「正しい」「間違い」の二元論で語れるものはないはずです。
ある視点から見れば「正しい」と言えても、別の視点から見れば「間違い」になるのではないか? と考えてみましょう。
筆者の意見や一般論に対して反論すれば、独自性のある小論文が書けるはずですよ。
ここで重要なのは、自分とは違う立場の人を忘れないということです。
私たちの目に触れる範囲の人々は、社会全体のうちほんの一部分です。
同じ日本でも、既存の社会構造に困り感を覚えている人、権利を十分に保証されていない人がいるはずですよね。
そうした人に対しての寛容さと配慮を欠かした小論文は、論理的、独創的であっても倫理的に認められません。
後期日程の小論文を受験した体験談
時期別の対策と反省点
ここからは、私の受験経験を踏まえ、時期別の小論文対策と反省点をお伝えしていきます。
<共通テスト直後>
前期日程で受験する第一志望や私立大学の出願で頭がいっぱいだったため、後期日程のことまで頭が回らず、出願をためらっていました。
とはいえ、出願しなければ受験資格すら得られないため、選択肢を広げるために出願しておくことにしました。
この時点では、まだ後期日程の試験内容の確認すらしていませんでした。
今考えると、忙しくても時間を見つけて新聞を読んだりニュースを見たりするなど、浅く広く知識を広げておくべきだったと思います。
<前期日程直後>
心身ともに疲弊していたうえ、入試結果が返ってきたり高校の卒業の準備をしたりとバタバタしました。
受かると思っていた大学に落ちるなど、不測の事態が起こることもあるので、生活には余裕をもたせておいた方がよさそうです。
私は、第一志望の国公立大学、もしくは受かった私立大学に進学する予定だったため、この時点では後期の受験はほとんど考えていませんでした。
さまざまな可能性を考慮して、後期日程の受験も視野に入れていれば、その後の見通しが立てやすかっただろうなと反省しています。
<3月以降>
ここまで後期日程の対策を一切してこなかったため、受かる自信がなく、後期を受験する決意はあまりありませんでした。
しかし、せっかく出願したのだから受けようと思い、学校の先生に添削をお願いすることにしました。
赤本に載っていた3年分の過去問を3〜4日に1回のペースで解き、先生に添削していただきました。
それにより、大学の求める学生像や問われがちな内容をおさえることができたため、非常に有益だったと思います。
過去問を解く以外の時間は自由に過ごしていました。
小論文の対策はいつから、どうやってするのが一番いい?
対策の時期
小論文形式なら、本格的な対策は前期日程の後(2月下旬〜3月頭)が妥当でしょう。
小論文は大学によって傾向が違うため、私大で小論文の受験を経験しているかどうかは、後期を受験するうえであまり関係がありません。
重要なのは、詰め込み型の勉強で身につけた小論文のテクニックや定石ではなく、独自性のある視点とそれを論理的に表現する力です。
こうしたポイントをおさえた学習ができれば、2〜3週間の対策でも十分に間に合うはずです。
ただし、原稿用紙の使い方には一定のルールがあるので、あらかじめ確認しておくことが大切ですよ。
一つ注意すべきなのは、後期の対策は、前期の合否発表後では遅いということです。
前期の合否が出るのは3月初旬であることが多く、約1週間後には後期の試験が迫っているため、そこから対策を始めるのは厳しいです。
前期の合否が分からない状態で後期の対策を始めることになるので、なかなか身が入らない場合もあるかもしれません。
ですが、前期日程後はほとんどの入試が終わっている時期ですから、後期の勉強に力をそそげるはずです。
もう一踏ん張り努力することで、合格がぐっと近づいてきますよ。
対策の量と内容
過去問は3〜5年を目標に解くのがよいでしょう。
後期日程は受験者数が少なく、十分な数の過去問が公開されていないことも多いです。
問題の傾向が数年単位で変わっている場合もあり、あまりさかのぼりすぎても効果的ではないかもしれません。
むやみにたくさん解くのではなく、一つ一つの小論文を丁寧に解くように意識するのが重要です。
また、絶対にやってほしいのが、頻出テーマについて調べるということです。
たとえば、私の受験した大学では、過去問を見たところ、過去3年とも「女性と仕事」「子ども」「平等」などが主なテーマとなっていました。
そこで、インターネットで関連記事を読むとともに、「フレックスタイム制」や「メリトクラシー」など、頻出テーマから派生した関連用語をおさえました。
また、現代社会の問題点や、常識とされていることへの疑問を自分なりにメモにまとめました。
受験当日は、このメモと過去問の添削済み答案を持っていき、試験時間まで思考を深めました。
このように、大学の特色に合わせた対策をすることで、自信をもって試験に挑むことができますよ。
おわりに
後期日程の受験は、孤独な闘いになることもあります。
受験を終えている人も多い中で試験にのぞむのは、精神的にも体力的にも消耗しますよね。
しかし、家族や先生、友達の存在を支えにして、あと数週間だけ踏ん張れば、良い結果が待っているかもしれません。
「間に合わない」「倍率が高いから無理」とあきらめてしまうのはもったいないです!
小論文では、量より質を意識した対策が有効です。
前期日程に受験に向けた勉強は、後期日程でも決して無駄にはなりません。
進学先の選択肢を広げるためにも、自信がなくてもやれるだけ挑戦してみるのはどうでしょうか。