はじめに
こんにちは、ライターのましゅーです。
古典文法チェック&演習シリーズ、今回は推定の助動詞「なり・めり」を取り上げます。
助動詞「なり」の意味は推定・伝聞、助動詞「めり」の意味は推定・婉曲です。
推定の助動詞「なり・めり」の活用
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
---|---|---|---|---|---|---|
なり | – | (なり) | なり | なる | なれ | – |
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
---|---|---|---|---|---|---|
めり | – | (めり) | めり | める | めれ | – |
活用はラ変型になります。
「なり」は「鳴り」が語源で音からの推定、「めり」は「見+あり」が語源で、目で見たものからの推定という違いがあるので、穴埋めなどではしっかりと区別しましょう!
推定の助動詞「なり」意味・訳し方・接続
助動詞 | 文法的意味 | 訳し方 | 接続 |
---|---|---|---|
なり | 推定・伝聞 | 推定:〜ようだ 伝聞:〜そうだ、〜という |
終止形に接続します。ただしラ変型の活用語の際には連体形に接続します。 |
推定
「笛をいとをかしく吹き澄まして、過ぎぬなり」(更級日記 大納言殿の姫君)
(「笛をたいそう見事に清らかに吹いて、過ぎていったようだ」)
男もすなる日記といふものを、(土佐日記 一二・二一)
(男も書くという日記というものを、)
伝聞
また聞けば、侍従の大納言の御むすめ亡くなりたまひぬなり。(更級日記・梅の立枝)
(また噂に聞いたところ、侍従の大納言のご息女がお亡くなりになったそうだ。)
推定の助動詞「めり」意味・訳し方・接続
助動詞 | 文法的意味 | 訳し方 | 接続 |
---|---|---|---|
めり | 推定・婉曲 | 推定:〜ようだ、〜と見える 婉曲:〜ようだ |
終止形に接続します。ただしラ変型の活用語の際には連体形に接続します。 |
推定
すだれを少し上げて、花奉るめり。(源氏物語・若紫)
(すだれを少し上げて、花をお供えしているようだ。)
婉曲
今様は、むげにいやしくこそなりゆくめれ。(徒然草・二二)
(今の世の様子は、ひどく下品になってゆくようだ。)
≪1≫次の文章中の助動詞「なり」の意味を答えなさい。
(1)男もすなる日記といふものを、
(2)女もしてみんとてするなり。
(土佐日記・十二月二十一日)
(1)伝聞終止形に接続しているので、伝聞・推定の助動詞「なり」と判断できます。
推定「〜ようだ」だと意味がとれなくなるので、伝聞だと判断できます。
訳:男も書くという日記というものを、
(2)断定
連体形に接続しているので、断定の助動詞「なり」と判断できます。
ちなみに(1)(2)は一連の文章で、伝聞・推定の「なり」と断定の「なり」の識別によく用いられる文章なので覚えておくと便利です。
訳:女の私も書いてみようといって書くのである。
≪2≫( )内の助動詞「めり」を適切な形に活用し、意味を答えなさい。
(1)あはれにいひ語らひて泣く( めり )ど、涙落つとも見えず。(大鏡・序)
(2)このごろ上手にす( めり )千枝・常則などを召して、作り絵仕うまつらせばや。(源氏物語・須磨)
(1)めれ・推定已然形に接続する接続助詞「ど」に接続しているので、已然形となります。
意味としては、実際に目で見て判断しているので推定です。
訳:しみじみと語って泣くようであるけれども、涙が零れているようにも見えない。
(2)める・婉曲
体言に接続しているので、連体形となります。
意味としては実際に見ているわけではないので婉曲になります。
訳:近頃絵が上手だとかいう千枝・常則などを呼んで、絵作りさせたいものだ。
おわりに
いかがでしたか?
マイナーな助動詞ではありますが、押さえておくと他の受験生と差がつきやすいものでもあります。
しっかり押さえて本番に臨みましょう!