【古典文法】助動詞「なり・めり」

はじめに

こんにちは、ライターのましゅーです。

古典文法チェック&演習シリーズ、今回は推定の助動詞「なり・めり」を取り上げます。
助動詞「なり」の意味は推定・伝聞、助動詞「めり」の意味は推定・婉曲です。

助動詞「る・らる」について詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

【確認問題で覚える古典文法】助動詞「る・らる」の活用・文法的意味

2021.10.14

推定の助動詞「なり・めり」の活用

基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
なり (なり) なり なる なれ
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
めり (めり) めり める めれ

活用はラ変型になります。

伝聞推定の助動詞「なり」と推定の助動詞「めり」は似た訳し方をします。

「なり」は「鳴り」が語源で音からの推定、「めり」は「見+あり」が語源で、目で見たものからの推定という違いがあるので、穴埋めなどではしっかりと区別しましょう!

推定の助動詞「なり」意味・訳し方・接続

助動詞 文法的意味 訳し方 接続
なり 推定・伝聞 推定:〜ようだ
伝聞:〜そうだ、〜という
終止形に接続します。ただしラ変型の活用語の際には連体形に接続します。

推定

「笛をいとをかしく吹き澄まして、過ぎぬなり(更級日記 大納言殿の姫君)
(「笛をたいそう見事に清らかに吹いて、過ぎていったようだ」)

男もすなる日記といふものを、(土佐日記 一二・二一)
(男も書くという日記というものを、)

伝聞

また聞けば、侍従の大納言の御むすめ亡くなりたまひぬなり(更級日記・梅の立枝)
(また噂に聞いたところ、侍従の大納言のご息女がお亡くなりになったそうだ。)

推定の助動詞「めり」意味・訳し方・接続

助動詞 文法的意味 訳し方 接続
めり 推定・婉曲 推定:〜ようだ、〜と見える
婉曲:〜ようだ
終止形に接続します。ただしラ変型の活用語の際には連体形に接続します。

推定

すだれを少し上げて、花奉るめり(源氏物語・若紫)
(すだれを少し上げて、花をお供えしているようだ。)

婉曲

今様は、むげにいやしくこそなりゆくめれ(徒然草・二二)
(今の世の様子は、ひどく下品になってゆくようだ。)

≪1≫次の文章中の助動詞「なり」の意味を答えなさい。
(1)男もすなる日記といふものを、
(2)女もしてみんとてするなり
(土佐日記・十二月二十一日)

≪1≫の解答
(1)伝聞終止形に接続しているので、伝聞・推定の助動詞「なり」と判断できます。
推定「〜ようだ」だと意味がとれなくなるので、伝聞だと判断できます。
訳:男も書くという日記というものを、

(2)断定

連体形に接続しているので、断定の助動詞「なり」と判断できます。
ちなみに(1)(2)は一連の文章で、伝聞・推定の「なり」と断定の「なり」の識別によく用いられる文章なので覚えておくと便利です。
訳:女の私も書いてみようといって書くのである。

≪2≫( )内の助動詞「めり」を適切な形に活用し、意味を答えなさい。

(1)あはれにいひ語らひて泣く( めり )ど、涙落つとも見えず。(大鏡・序)
(2)このごろ上手にす( めり )千枝・常則などを召して、作り絵仕うまつらせばや。(源氏物語・須磨)

≪1≫の解答
(1)めれ・推定已然形に接続する接続助詞「ど」に接続しているので、已然形となります。

意味としては、実際に目で見て判断しているので推定です。

訳:しみじみと語って泣くようであるけれども、涙が零れているようにも見えない。

(2)める・婉曲

体言に接続しているので、連体形となります。

意味としては実際に見ているわけではないので婉曲になります。

訳:近頃絵が上手だとかいう千枝・常則などを呼んで、絵作りさせたいものだ。

助動詞「めり」の意味は厳密に区別できないこともありますが、婉曲の場合は実際に目で見た判断ではない場合が多いです。
係り結びの法則について詳しくまとめた記事も合わせてご覧ください。

【5分で確認】係り結びの法則の要点まとめ

2020.03.31

おわりに

いかがでしたか?

マイナーな助動詞ではありますが、押さえておくと他の受験生と差がつきやすいものでもあります。

しっかり押さえて本番に臨みましょう!




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