はじめに
地域枠推薦で三重大医学部に入った友達を6人持つライター、ざっきーです。
みなさん、「地域枠推薦」って知っていますか?
僻地の医者不足を解消するため、地方大学の医学部が設置している推薦入試のことです。
僻地…というとちょっと躊躇するかもしれませんが、山奥の過疎地域や人口数百人の離島のような極端なところでなくても大都市圏以外であれば設置しているところもあります。
もし、自分が将来働きたい地域の大学にこの推薦があれば狙い目かもしれません。
まずは、出願資格を確認してみましょう。
目次
出願資格
・将来,県が定める医療機関で一定期間(6〜9年間程度),医師の業務に従事する意思のある者
・合格した場合、確実に入学すること
一つ目の条件「大学のある都道府県の高校を卒業していること」は、医師不足がかなり深刻な地域では、ないことが多いです。
合格した場合に入学が必須なのは普通の推薦入試と変わりませんね。
つまり、「滑り止め」感覚で受けることはできないということです。
将来僻地で働く気があるのか、しっかり考えないといけません。
試験内容
試験内容の一例を見てみましょう。
調査書、一般独自試験(学力試験)、小論文、面接を行う(順天堂大学)
小論文、面接(筑波大学)
大学によって課される試験はバラバラですが、面接は基本的に必須。
調査書は考慮する大学としない大学がありますが、そもそも高校によって推薦できる人数が決まっていることが多く、推薦者として選ばれるためには調査書は結局大切になってきます。
地域枠推薦のメリット
条件により返還義務のない奨学金の貸与
奨学金(入学料・授業料相当額及び生活費に相当する額等)が在学期間中貸与される大学がほとんどです。
所定の課程を修了し医師免許取得後に6〜9年、各都道府県が指定する医療機関に勤務すれば、返還を免除されることになっています。
一例を見てみると、
貸与額:月額15万円
香川大学 地域医療推進枠地域医療推進枠
貸与額:月額12万円
と、だいたい1ヶ月12万円〜15万円程度が多いです。
ただし、これらの奨学金は医師免許取得後、指定医療期間で勤務しない場合は年利10%ほどで一括返還しなければなりません。
一般入試より合格難易度が低い
地域枠推薦は、基本的な学力を測る「センター試験」の点数や学力とはあまり関係のない「面接」によって合格者を決める大学がほとんどです。
難易度の高い二次試験は課されないことが多いので、「内申点をしっかりとって、基本的な学力をしっかりつけておけば」受かる可能性は大きいといえます。
また、出願資格が絞られているため、受験人数も少なく倍率が低いことも合格しやすい要因の一つです。
地域枠推薦のデメリット
過疎地域での勤務
先ほども述べた通り、6~9年医療過疎地域での勤務が義務付けられています。
その間は海外や国内への留学等のキャリアアップはできませんので、自然と同級生と差がついてしまいます。
医療過疎地域では医師不足が深刻なため、なかなか休みがもらえずに自分自身の生活は犠牲になってしまうことも。
ただし、指定された医療過疎地域での勤務期間が終われば好きな地域で勤務することができます。
奨学金を返還すれば医療過疎地域での勤務を断ることも可能ですが、周りからは冷たい目で見られる可能性があります。「地域医療」のための入試制度ですから、できる限り避けたほうが良いでしょう。
専門領域が限られる場合がある
地域枠推薦で入学した人は地域の総合医として、皮膚科、内科といったひとつの専門科に限らず、幅広い領域の疾患の診療を期待されています。
そのため、希望する専門領域の患者さんだけを診ることはできない場合があります。
また、外科や産婦人科といった不足しがちな専門科から選ぶ必要がある場合もあります。
おわりに
金銭負担や合格難易度を考えると魅力的な地域枠推薦ですが、将来は大都市に出たいという人や医師になった後も最先端医療を学んでいきたいという人には受けるべきではありません。
しかし、過疎地域での医療や自分の出身地で地域医療に貢献したいという人にはぴったりの入試制度です。
受験するか迷っている人は、自分の将来のキャリアについてしっかり考えてみると良いでしょう。