大学とは違う選択肢! お給料をもらいながら学位が取得できる「大学校」って?

はじめに

大学に進学する上で気になる、学費。大学に通うには通常「入学金」「授業料」といった学費が必要になります。

しかし、省庁が運営しているいくつかの「大学校」では、身分が「国家公務員」となり、学生として勉強をしながら給料が支給されるという特徴があります。

今回は、お給料をもらいながら学位を取得できる大学校を中心に、学位の取得できる大学校を紹介します。

【お給料をもらいながら学位を取得】大学校とは?

【大学校の特徴】大学校と大学との違い

大学は、文部科学省が管轄している学術研究および教育の最高機関で、学校教育法に基づいて設置される施設です。

一方で大学校は、省庁などの行政機関が、幹部養成や専門の技術・知識の研修のために設置した施設のことを言います。

大学校は大学ではないため、基本的に学位を取得することはできませんが、その課程が大学と同じレベルであることが文部科学省に認定された大学校であれば、学位の取得をすることができます。

現在、防衛大学校、防衛医科大学校、海上保安大学校、気象大学校、国立看護大学校、水産大学校、職業能力開発総合大学校の7つの大学校では学位を取得することが可能です。

学位が授与されない大学校でも、修業年限や教育内容も大学とほぼ同じで、大学卒業者と同様の資格・受験資格が与えられる大学校もあります。

【大学校の特徴】大学校では給料が支給される

大学校名 給料
防衛大学校 約11万円
防衛医科大学校 約11万円
海上保安大学校 約14万円
気象大学校 約15万円
航空保安大学校 約14万円

防衛大学校、防衛医科大学校、海上保安大学校、気象大学校は、入学者の身分が「学生」ではなく「国家公務員」となるため、アルバイトはできませんが、学費が無料になるだけでなく、月に約11〜15万円の給料が支給されます。

また、卒業後勤務年限が9年を満たないで離職する場合は、卒業までの経費を償還しなければなりません。

給料と学位がもらえる大学校

【給料と学位がもらえる大学校】①防衛大学校

pc_main1

所管は防衛省です。民主主義時代の新たな士官学校として、自衛隊の幹部自衛官を養成する教育・訓練施設として誕生しました。

英語教育、情報処理、日本語表現能力のほか、憲法、歴史、政治学などの人社系科目、数学、物理、化学などの理工系科目といった教養科目を学びながら、防衛学や戦史、国防論、戦略論など、一般大学では見られない、防衛大学校ならではの教育科目を勉強することができます。

全員運動部に所属して、体力の向上を目指すことを重視している学校でもあります。各学年ごとに体力の目標値が設定されており、目標に到達しない学生については、特別プログラムが用意されています。

また、国際化にも力を入れていて、海外の士官学校との交流や、留学制度が充実しています。

学生数は約2000人で、全員が学校の寮で共同生活をすることと制服着用が義務付けられています。
受験資格は高卒(見込含)21歳未満の人で、学力試験,口述試験及び身体検査が課されます。

防衛大学校HP

【給料と学位がもらえる大学校】②防衛医科大学校

National_Defense_Medical_College

所管は防衛省で、キャンパスは埼玉県所沢市です。

医師である幹部自衛官の養成や、自衛隊の医官(旧軍の軍医に相当)の教育訓練を目的に開設されました。
医学科、看護学科、医学研究科(大学院相当)があります。

一般大学と同様の医学教育に加え、将来幹部自衛官となるための基礎的な教育訓練を受け、国際貢献や災害派遣、感染症、テロ対策など防衛医学を学びます。
卒業後の活躍の場は多岐にわたり、病院勤務以外にも国際緊急援助活動や部隊勤務といった幅広いフィールドが用意されています。

学生数は約800人で、全員が学校の寮で共同生活をすることと、制服着用が義務付けられています。

受験資格は高卒(見込含)21歳未満の人で、入試科目は国語、数学、理科、外国語、小論文、口述試験、身体検査があります。

防衛医科大学校HP

【給料と学位がもらえる大学校】③海上保安大学校

01_front-gate
所管は国土交通省で、キャンパスは広島県呉市にあります。日本国海上保安庁の幹部職員の養成を目的に設置されました。

学生は4年間で、海上保安行政を遂行するために必要な知識・技能を修得します。

授業は、行政法、国際法、刑法などの法律関係や海上保安行政関係の学問を中心に行われ、航海や情報通信といった海事系の知識も習得します。

上級生になると警察学や安全学、犯罪論や救助工学などの勉強をし、海上の安全を守ることに必要とされる専門知識を深めます。大学院に相当する過程はありません。

学生数は約200人で、全員が学校の寮で共同生活をすることと、制服着用が義務付けられています。

受験資格は21歳未満で、身長や体重に関しても制限がありますが、年によって基準が変化する可能性もあるので早めに確認することをおすすめします。

入試では数学、理科、外国語、小論文、基礎能力試験(公務員として働くための基礎的な能力をみる)、面接、体力検査、身体検査が課されます。

海上保安大学校HP

【給料と学位がもらえる大学校】④気象大学校

080215014
所管は気象庁で、キャンパスは千葉県柏市にあります。気象庁の幹部職員の養成を目的に設置されました。

気象業務に関する技術開発や企画・指導を行うことのできる人材を目指し、気象業務の基盤となる地球科学、基礎学術、一般教養や、防災行政などの科目を勉強することができます。

原則は学校の寮に入りますが、希望すれば自宅から通学することもできます。

また給料をもらえる大学校のうち唯一制服がなく、自由度の高い学校とも言えます。

受験資格は高校を卒業してから2年以内の人で、入試では基礎能力試験、数学、物理、英語、小論文、面接、身体検査が課されます。

気象大学校HP

学位は与えられないが給料が支給されるその他の大学校

上記以外にも、身分が国家公務員となり給料が支給される省庁大学校に航空保安大学校(国土交通省)がありますが、こちらは修業年限が2年で、学位は与えられません。

給料はもらえないが学位を取得できる大学校

上記の大学校のように、学費が無料でお給料がもらえる、などのシステムはありませんが、学位を取得できる大学校は他にも3つあります。その場合、身分は「国家公務員」ではなく「学生」であり、学費が必要です。

【給料はもらえないが学位を取得できる大学校】①国立看護大学校

所管は国立国際医療研究センター(厚生労働省の国立研究開発法人)で、キャンパスは東京都清瀬市です。看護学科、看護学研究科(大学院相当)があります。 国の政策医療を担う人材、国立高度専門医療研究センターにおける将来の幹部看護職員を育成します。

国立看護学校HP

【給料はもらえないが学位を取得できる大学校】②水産大学校

所管は水産研究・教育機構(農林水産省の国立研究開発法人)で、キャンパスは山口県下関市です。水産界で活躍する人材を育てる高等教育機関で、海洋の資源管理と利用、環境保全を柱に、学科の専門と水産業全般の知識や技術を学びます。5つの専門学科と上級の専攻科、研究科(大学院相当)があります。

水産大学校HP

【給料はもらえないが学位を取得できる大学校】③職業能力開発総合大学校

所管は厚生労働省で、キャンパスは各地方の主要都市に置かれ、現在は10箇所にあります。生産現場で活躍する高度技能者の養成を目的としており、膨大な実習量と小人数教育が特徴です。また日本で唯一、生産技術の学士の学位が取得できる学校です。

職業能力開発総合大学校HP

おわりに

いかがでしたか?

国家公務員としての志と責任感を強く持っている人のみが入学できる省庁大学校。

省庁大学校は、決まった配属先に卒業後、勤務することを前提とした教育がされていますので、単純に学位取得や給料だけを目的として入学する学校ではありません。一般の大学とは違って無断で休んだりすることはできない厳しい側面もあります。




皆さんの意見を聞かせてください!
合格サプリWEBに関するアンケート




ABOUTこの記事をかいた人

東京藝術大学で、美術と社会の関わりについて勉強しています。編集部ではデザインを担当しています。賢いメンバーに囲まれて右往左往しつつ、楽しく活動しています。