浪人を決断
―前期試験で東大は不合格だったものの、後期試験で別の大学に合格したということですが。現役志向だったのに進学しなかったのはなぜですか?
後期試験の受験会場で、そこで大学生活を過ごすことを想像したんです。そのときに、半年くらいで「なんで東大に行かなかったんだろう」って後悔するだろうなと思ってしまって。
―先生やご両親はどんな反応だったんですか?
高校に受験の報告をしに行ったら、先生が「佐原は東大に行くべきだよ」と言って、予備校のパンフレットを私に見せてその場で仮予約してしまったんです(笑)
―それはかなり強い後押しですね…
両親には、先生が予備校を紹介してくれたから行こうかなというような言い方をして、すごく怒られたんです。それなら後期で受かった大学に行けばいいじゃないって。そこでしっかり考えて、「東大に行きたいので予備校に行かせてください」って自分で頭を下げました。
それまでは、正直なところ迷いがあったので、自分で決断して宣言するっていう機会を作ってもらったのが良かったです。
―なるほど。「自分で決める」ということが佐原さんにとって大切だったんですね。そうして選んだ浪人時代はどうでしたか?
想像よりずっと楽しかったです。現役のとき模試の成績に毎回一喜一憂していたのと違って、浪人のときはその時々の成績で判断されないので、気持ちは楽でした。寮に住んでいて、息抜きで友だちと夜更かししたり、ダイエット!って言って縄跳びをしたりとか(笑)
―楽しそう、大学生活の先取りみたいですね。
予備校に入ったあとは自由に勉強できたせいか、成績も初めからけっこう良くて、1年楽しく勉強していました。私が今までに話した、浪人経験のある東大生は、浪人が楽しかったって言う人が多いような気がします。
―勉強では高校時代と何が違ったのか知りたいです。
せっかく1年間余分に勉強するなら、現役生にはないものを持って入れと予備校の先生は言っていました。数学では入試に出ないような証明をしてみたり、錯覚の絵を使った英作文で大喜利大会をしたり(笑)、 遊ぶように勉強することができました。
―勉強の楽しさって大事ですね!現役生が自分でそういう勉強をするのも良さそう。