はじめに:20世紀哲学に関する文化史の特徴・覚え方を徹底解説!
20世紀哲学に関する文化史は、内容が難しくて覚えるのが大変ですね。
そこでこの記事では、覚えるのが大変な20世紀哲学に関する文化史を攻略するために、その特徴と覚え方を徹底的に解説します。
20世紀哲学に関する文化史が次のテストの範囲に入っている人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
- 神余秀樹『タテヨコ総整理 世界史×文化史集中講義12』旺文社、2012年。
目次
20世紀哲学に関する文化史の特徴・覚え方
具体的な特徴の説明に入る前に、文化史の覚え方について1つ注意点を挙げておきます。
それは、「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。
暗記項目が多い試験の直前になると、一夜漬けで乗り切ろうとする人がいますが、一晩で覚えられる内容なんてたかが知れています。
一気に全部覚えようとするよりは、分野ごとに覚える内容を分けて、少しずつ覚えていく方が効果的です。
この記事で紹介する覚え方のテクニックを使いながら、地道にコツコツ学習を続けてくださいね。
20世紀哲学に関する文化史の特徴・覚え方①:唯物主義・功利主義
マルクス
以下の記事で紹介したように、19世紀の哲学はヘーゲルによって大成されました。
唯物論とは、その名の通り「この世に実在するのは事物だけである」という考え方です。従って唯物的弁証法とは、事物の発展は弁証法的に進んでいくとする考え方になります。
この唯物的弁証法を歴史観に当てはめた考え方が、唯物史観です。
唯物史観とは、人類の生産力の発展によって社会システムは進化し、歴史はこの進化の系譜であるとする考え方です。
唯物論も弁証法も唯物史観も頻出なので、ぜひ押さえておいてくださいね。
ベンサム
資本主義が台頭していた19世紀イギリスの発展を促したのが、ベンサムが唱えた功利主義です。
功利主義の基本理念に「最大多数の最大幸福」があります。
この主張は、「最も多数の人間が最も幸福になる状態が理想である」とする考え方で、質的な幸福が量的にわかりやすく表現されています。
功利主義は、定量的なデータを重視する資本主義にはうってつけの思想だったわけですね。
J・S・ミル
ベンサムと同様に、イギリスの功利主義を支えた思想家としてJ・S・ミルがいます。
功利主義に通じた学者を父に持つ彼は、若年期こそベンサムの資本主義的な功利主義に接近しましたが、その後は労働者や社会的弱者の立場に立って、社会主義的な功利主義を唱えるようになりました。
その中で彼は『経済原論』・『女性の隷従』・『自由論』などの著作を発表し、「イギリス社会主義の父」と呼ばれるまでになりました。
覚え方
マルクスについては有名なので問題ないでしょう。問題は功利主義の2人です。
ベンサムもミルも、功利主義であることだけ押さえておけば十分なので、人命をしっかり覚えましょう。
ベンサムについては、「サム」が “sum”(合計)という計算に関わる言葉であることから、幸福を計量可能な表現にする功利主義的発想の持ち主だと理解できます。
ミルについても、「見る」わけですから、やはり幸福を計量可能だと考える思想家だと考えられますね。
こじつけでも構わないので、とにかく忘れないように覚え方を工夫しましょう。
20世紀哲学に関する文化史の特徴・覚え方②:実存主義
20世紀には、人間の現実的なあり方を重要視する「実存主義」が流行しました。
ここでは、その実存主義を支えた4人の哲学者を紹介します。
ニーチェ
1人目は、おそらく日本一有名な哲学者・ニーチェです。
ニーチェは、「神は死んだ」という命題によって、人間の存在意義を神という超越者に求めない強さの重要性を主張し、神の不在を乗り越えた人間のあり方を「超人」と呼びました。
ニーチェの著作は『ツァラトゥストラはかく語りき』が有名ですが、個人的には『この人を見よ』や『善悪の彼岸』の方がオススメです。
少なくとも、『ツァラトゥストラ』よりはとっつきやすい作品になっているはずです。興味があればぜひ読んでみてくださいね。
キェルケゴール
そのニーチェに先立って実存主義思想の旗を揚げたのが、デンマーク出身の哲学者キェルケゴールです。
キェルケゴールは、ヘーゲルの思想を「あれも、これも」(弁証法)というキーワードで表現し、自分の思想を「あれか、これか」(選択の自由)と表現して、ヘーゲルを批判しました。
キェルケゴールはさらに、既存のキリスト教神学も否定し、神を否定する考え方は後のニーチェに引き継がれていきました。
代表作の『死に至る病』は有名な作品なので、ぜひ一読してみてくださいね。
ハイデガー
3人目は、ドイツの哲学者ハイデガーです。
ハイデガーは、青年期の主著『存在と時間』の中で、人間の日常的なあり方は人間の本来性を失っていると批判し、人間が自分の本来性を回復するためには自分の死を先回りして、その死を常に自覚して生きる必要があると主張しました。
ハイデガーが重要視したのは、今現実に生きている私たちの本来的なあり方なので、彼の思想は実存主義的思想として認識されています。
彼の主著『存在と時間』は非常に難解な著作なので、初見の人はまず『技術への問い』から挑戦してみましょう。
サルトル
4人目はサルトルです。日本で実存主義といえば、サルトルが一番有名かもしれません。
サルトルは、『嘔吐』という小説の中で、自らの存在の根源的な無意味さを悟って生きる青年の姿を描写し、実存主義の思想を世界に広めました。
実際、『嘔吐』を読むと、自らの存在が抱える「無」の重さをひしひしと感じることができます。
たとえ理解できずとも、『嘔吐』の主人公ロカンタンが抱える「無」の重みを実感するのはいい経験になりますので、ぜひ読んでみてくださいね。
覚え方
ニーチェは有名なので問題ないでしょう。キェルケゴールも、「キェ〜〜」となって狂乱している哲学者を想像すれば、「実存主義っぽいなあ」と感じられます。
問題はハイデガーとサルトルですが、彼らの思想についてはぜひ自分で調べて、思想の内容を少しでも理解するのがオススメです。
ハイデガーについては『存在と時間』、サルトルについては『嘔吐』で検索してみてくださいね。
20世紀哲学に関する文化史の特徴・覚え方③:構造主義
実存主義と同様、20世紀の思想界を席巻した哲学的立場として、構造主義が挙げられます。
ここでは、構造主義に基づいた思想を展開した重要な哲学者を2人紹介します。
ソシュール
構造主義の思想の基礎を築いたのが、スイスの言語学者ソシュールです。
ソシュールは、言語内・言語間に通底する構造に着目し、その構造から言語の仕組みを考察する近代言語学の枠組みを作りました。
構造に着目する思想は、第二次世界大戦後の構造主義思想へと継承されていくことになります。
レヴィ=ストロース
ソシュールに基礎付けられた構造主義の思想を人類学に応用したのが、レヴィ=ストロースです。
レヴィ=ストロースは、「未開人」とされてきたブラジルの先住民族の思想が、実は高度に洗練された思想であることを『悲しき熱帯』という記録にまとめて紹介しました。
『悲しき熱帯』はベストセラーになり、アフリカや南米諸国に対するヨーロッパ人の考え方は大きく転換しました。
覚え方
基本的に構造主義といえばソシュールかレヴィ=ストロースしか出てこないので、何度も声に出して覚えましょう。泥臭い正攻法が、一番の近道になることもあるのです。
泥臭い方法が嫌な人は、ソシュールとレヴィ=ストロースについて簡単に調べてみましょう。
「構造主義 ソシュール(レヴィ=ストロース)」と検索すると、わかりやすい情報がたくさん得られますよ。お試しあれ。
おわりに:20世紀哲学に関する文化史の特徴・覚え方のまとめ
いかがでしたか?
この記事では、20世紀哲学に関する文化史の特徴・覚え方について徹底的に解説しました。
文化史を覚えるときに重要なのは、前にも言ったように「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。
急がば回れの気持ちで、ゆっくり少しずつ覚えるようにしてくださいね。
それでは!