近代ヨーロッパ政治思想の特徴・覚え方を徹底解説!【世界史文化史】

はじめに:近代ヨーロッパ政治思想の特徴・覚え方を徹底解説!

近代ヨーロッパ政治思想は、内容が難しくて覚えるのが大変ですね。

そこでこの記事では、覚えるのが大変な近代ヨーロッパ政治思想を攻略するために、その特徴と覚え方を徹底的に解説します。

近代ヨーロッパ政治思想が次のテストの範囲に入っている人は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

この記事の内容を詳しく知りたい方は、以下の参考書を読んでみてください。

  • 神余秀樹『タテヨコ総整理 世界史×文化史集中講義12』旺文社、2012年。

近代ヨーロッパ政治思想の特徴・覚え方

具体的な特徴の説明に入る前に、文化史の覚え方について1つ注意点を挙げておきます。

それは、「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。

暗記項目が多い試験の直前になると、一夜漬けで乗り切ろうとする人がいますが、一晩で覚えられる内容なんてたかが知れています。

一気に全部覚えようとするよりは、分野ごとに覚える内容を分けて、少しずつ覚えていく方が効果的です。

この記事で紹介する覚え方のテクニックを使いながら、地道にコツコツ学習を続けてくださいね。

近代ヨーロッパ政治思想の特徴・覚え方①:王権神授説

ボーダン

16世紀、フランスはイギリスなどと同じく宗教戦争によって混乱の最中にありました。

この国家の混乱を鎮めるため、国家主権の確立を訴えたのがボーダンです。

ボーダンが訴えた国家主権とは、「国王の権力は教皇などの任命によって生じるわけではなく、神によって予め授けられている」という主張でした。

中世において教皇は国王をも超える絶対的な権力者でしたが、ボーダンはその関係性を逆転させ、国家の神的な絶対性を説きました。

国家の絶対性を保証することで、国家への叛逆を押さえ込もうとしたわけですね。

ボシュエ

ボーダンが主張した国家主権の考えは、その特徴から「王権神授説」と呼ばれるようになっていきます。

この王権神授説を世界史に適応したのがボシュエです。

ボシュエは、世界史とは神の力を授けられた国王が、形を変えながら国土を治めていくプロセスであると説きました。

政治理論である王権神授説を、世界の成り立ちにまで拡張させたわけです。

またボシュエは、フランス独自のカトリック教会として「ガリガン教会」という組織の設立を推進しました。

この動き自体を覚える必要はありませんが、ガリガン教会の設立はイギリスで国教会が確立される動きと連動していますので、「国々が独自の教会を作る時代だったのだ」ということを覚えておいてください。

覚え方

ボーダンとボシュエは、王権神授説を唱えた人物として押さえておきましょう。

「ぼ『おう(王)』だん・ぼ『おう(王)』しゅえ」という語呂合わせを作ると、ボーダン・ボシュエと王権神授説との繋がりを簡単に覚えられますよ。

最初に考え方を提唱したのがボーダンで、王権神授説の考え方を世界史に拡張させたのがボシュエです。この順番は名前の順番(ボーダン→ボシュエ)を意識すると自然に覚えられます。

近代ヨーロッパ政治思想の特徴・覚え方②:自然法

グロティウス

17世紀初頭。当時の覇権国家だったオランダは積極的に国外へ進出して海上貿易を行い、現在の国際社会の礎を築きました。

国際的な貿易をトラブルなく成立させるためには、国家の隔たりを越えて成立する普遍的な法律が必要でした。

その普遍的な法律を「自然法」として作ったのが、「自然法の父」と呼ばれているグロティウスです。

グロティウスが作った「自然法」とは、全ての人間が生まれながらに持っている権利(自然権)を普遍的・恒久的に保障する法律でした。

この自然法は、現在でもヨーロッパの法律の基礎となっています。

また、17世紀初頭に起こった三十年戦争の惨劇を目の当たりにしたグロティウスは、戦時法の必要性を痛感し、『戦争と平和の法』という国際法に基づいた著作を発表しました。

そのため、グロティウスは「国際法の父」とも呼ばれています。

覚え方

グロティウスに関連して覚えるべきは、自然法と国際法の父であるということです。

自然法に関しては、「グロ(ティウス)→グロい→ありのまま→自然」と連想すると自然に頭に入ります。

国際法の方は、「グロ(ティウス)→グローバル→国際的」と考えると自然に覚えられますね。

近代ヨーロッパ政治思想の特徴・覚え方③:社会契約説

ホッブズ

17世紀初頭、ドイツでは三十年戦争が勃発し、「危機の17世紀」と呼ばれる時代が到来していました。

この混迷の時代に、国家秩序と権力の正当性を回復するための政治理論を作った人物がいました。その人物こそがホッブズです。

ホッブズは、人間の自然状態(本来的・ありのままの状態)は「万人の万人に対する闘争」であると考えていました。

そのため、人間の自然権(生まれながらに持っている権利)は、国家君主との契約によって保障されなければならないとホッブズは主張しました。

「社会」的な「契約」が必要と考える理論なので、ホッブズの政治理論を「社会契約説」と言うわけです。

この社会契約説を、ホッブズは『リヴァイアサン』という著作で発表しました。

リヴァイアサンとは『旧約聖書』に登場する海上の怪物のことで、人間の自然権を保障できる国家権力の強大さを表しています。それにしても、かっこいい名前ですね……。

ロック

ホッブズが提唱した社会契約説に「抵抗権(革命権)」を付与したのが、イギリスの政治思想家・ジョン=ロックです。

人間の自然権が契約によって成立しているのなら、その契約が違反されることもある。契約が違反された場合は、契約を解除する権利がなければならない。

従って、自然権を侵害する国家権力に対して、人民は抵抗する(革命を起こす)権利がある。これが、ロックの提唱した「抵抗権(革命権)」です。

ロックは『統治二論』という著作で抵抗権(革命権)の正当性を訴え、当時のイギリスで勃発していた名誉革命(専制政治を行ったジェームズ2世を非暴力的に打倒する運動)を思想的に擁護しました。

ロックの抵抗権(革命権)に関する思想は国境を越えて支持され、18世紀のアメリカ独立戦争にも繋がっていくことになります。

覚え方

ホッブズについては「万人の万人に対する闘争」と『リヴァイアサン』を、ロックについては「抵抗権(革命権)」と『統治二論』を覚えておきましょう。

ホッブズは、「ヒップホップおばあさん」という語呂合わせを作ると、「万人の万人に対する闘争」と『リヴァイアサン』の両方を「ばあ」の音から連想できるようになります。

ロックについては、音楽のロックを連想して、大きな力に抵抗している様子を想像すると「抵抗権(革命権)」について覚えやすくなります。

『統治二論』は、「ニロ↑ンのロ↑ック」と考えると自然に覚えられますよ。「ロ」にアクセントを置くのがポイントです。

おわりに:近代ヨーロッパ政治思想の特徴・覚え方のまとめ

いかがでしたか?

この記事では、近代ヨーロッパ政治思想の特徴・覚え方について徹底的に解説しました。

文化史を覚えるときに重要なのは、前にも言ったように「いきなり全て覚えようとせず、分野別に少しずつ覚える」ということです。

急がば回れの気持ちで、ゆっくり少しずつ覚えるようにしてくださいね。

それでは!

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