はじめに
2024年春から、お茶の水女子大学(以下お茶大)に女子大としては2番目となる工学系の「共創工学部」が設立されることを知っていますか?
ここでは新学部に配属予定の教授の授業を多く履修している理学部情報科学科の学生が既存の学科との比較も含めて「共創工学部」について解説いたします。
社会で求められる力を学生時代から養いたい人、建築・環境工学に興味がある人、もしくは、文化にデータサイエンスの側面からアプローチしたい人に特におすすめの学部になっています。
目次
【お茶大文理融合型の新設学部】共創工学部の特徴
共創工学部では何が学べる?
まず、お茶大の共創工学部では何が学べるのでしょうか。
共創工学部には、「人間環境工学科」と「文化情報工学科」の2学科が開設される予定です。
共通して学べることとして、共創工学部の理念を紹介すると、「工学と人文学・社会科学を協働させ新たな技術や文化すなわちモノやコトを考案・創造することを目的とする新しいコンセプトの工学部」ということです。
(参照:https://www.ocha.ac.jp/news/20220228.html )
工学部というと機械工学部や工学部化学科のように「モノ」を作るイメージが強いと思いますが、共創工学部では技術だけでなく体験や情報も作り出すというのが新しいですね!
次に、共創工学部で共通の科目について紹介します。
実際に学生を社会に送り出すことを意識していそうな、就職に強いカリキュラムであることがわかりますね。
【お茶大文理融合型の新設学部】各学科で学べること・既存のお茶大の学科との違い
次に共創工学部の2学科、人間環境工学科と文化情報工学科で学べることを、既存のお茶大の学科と比較して紹介します。
まず「自然科学を基礎とし社会と対話しながら新しい技術を実装・普及する」を掲げている人間環境工学科です。(参照:https://www.ocha.ac.jp/news/20220228.html)
この学科は、令和5年度で募集終了の生活科学部の人間・環境科学科をパワーアップさせた学科だと考えられます。
というのも、人間環境工学科に配属される教授の、元々のお茶大での所属を調べてみたところ、既存の人間・環境科学科の教授を中心にして構成されていることがわかったからです。
こちらのパンフレットに載っている教授について調査いたしました。
以下が割合です。
- 生活科学部人間・環境科学科 8名
- 文理融合AI・データサイエンスセンター 2名
- 理学部生物学科 1名
- 理学部情報科学科 1名
既存の人間・環境科学科は、人間工学、建築、環境といったワードをテーマに研究を進める理系学科で、人間工学、水環境工学、環境材料物性、建築意匠論、建築施設計画、環境評価学、環境心理学などを扱っていました。
新設の共創工学部の人間環境工学科でも一級建築士受験資格などを取得できます。
学科名に建築という名前が入っていなくても資格を取得できるので、高校生のみなさんは学科名だけで判断しないようにするといいですね。
次に文化情報工学科です。こちらは、「データサイエンスの手法を活用し、人文学・社会科学と工学を協働させて新しい文化や価値を創り出す」を掲げている学科になります。(参照:https://www.ocha.ac.jp/news/20220228.html)
こちらはお茶大としては完全に新しい学科として扱って良いと思います。データサイエンスを用いて文化についての研究を進めていくことを主軸としている学科は今までになかったと言えるでしょう。
こちらも、文化情報工学科に配属される教授の元々のお茶大での所属を調べてみました。
人文・言語とデータサイエンス関連出身の教授で構成されていることがわかり、人文の学びをデータサイエンスに拡張していくイメージの学科と捉えて良いでしょう。
- 文理融合AI・データサイエンスセンター 3名
- 文教育学部人文科学科 3名
- 理学部情報科学科 2名
- 文教育学部言語文化学科 2名
ここで、文化情報工学科の具体的な研究室を2つ紹介します。どちらの先生の授業も必修授業として受けたことがありますが、非常に面白い内容を取り扱っていました。
1つ目は、マルチメディア、コンピュータビジョンを主とする研究室です。
この研究室は2023年度までは情報科学科の研究室でしたが、今後は2学科にまたがる研究室になります。
研究内容としては、幅広い分野・産業のデータを分析しその情報を可視化することで世の中に役立てます。
過去にはクレカの不正が行われる時間の可視化を行ったり、音響処理や画像処理を用いて音楽や絵画の特徴を把握したりなどが挙げられます。
競技かるたの練習システムや、ゲームなどに用いる合成音声のツールなど、自分の趣味などに結び付けた研究をする人も多い印象です。
2つ目は、テキストアナリティクス、情報学フロンティア、統計学を主とする研究室です。
文学作品のテキストデータに、データサイエンスを用いることで、文体の個性や特徴の出現傾向を分析するなどをしています。
私が受けた授業では、建物の寸法データから建てられた時代を推定するという分析を行いましたよ。
【お茶大文理融合型の新設学部】共創工学部の入試
共創工学部で必要な入試科目
次に、受験科目から分かる2学科の特徴を読み取っていきます。
共通テストでの共創工学部で必要な入試科目は以下です。
(令和6年度入学者選抜要項より)
二次試験での共創工学部で必要な入試科目は以下です。
(令和6年度入学者選抜要項より)
受験科目を見てみると、人間環境工学科は理系学科、文化情報工学科は文理融合学科といえそうです。
人間環境工学科の二次試験の科目は数学・理科・外国語であり、ごく一般的な理系学科の受験科目になっています。
一方、文化情報工学科の二次試験の科目は、国語・数学から1つ+外国語となっており、文理融合学科に多い受験科目と言えるでしょう。
お茶大で他に文理問わず受けられる学部
文化情報工学科は、二次試験を国語と数学から選択して受験することができますが、お茶大には他にも二次試験で国語と数学を選択できる学科が複数存在します。
- 生活科学部人間生活学科
- 生活科学部心理学科
- 文教育学部人文科学科
- 文教育学部人間社会科学科
- 文教育学部芸術・表現行動学科
- ※舞踊または音楽の実技検査も有
学科名だけだとどの科目で受験できるかわからないものばかりですね。
少しでも興味を持った学科は受験科目までしっかり確認するようにしましょう!
おわりに
最後に、共創工学部着任予定の伊藤貴之先生にこの学部におすすめな人を聞いてみました。
この学部を目指す方に、メッセージはありますか?
お茶大の「共創工学部」について理解を深められたでしょうか?
新設の学部はどれも最新の学びができて魅力的です。ぜひいろんな大学の学科を確認して、ぴったりな学部・学科選びに役立ててください!