はじめに
平安時代の歌物語である「伊勢物語」をご存じですか?
この記事では、大学受験の古文の問題として出題されがちな「伊勢物語」の第五段『関守』と第六段『芥川』について、登場する古典常識と和歌を含めた本文の解説をしていきます。
結ばれることが許されない家柄の男女が駆け落ちする平安ラブストーリーを一緒に読み解いていきませんか。
目次
「関守」に関する古典常識
築地
泥土を固めて築いた塀のこと。
大雨などで崩れることもあったといいます。
本文中に登場する築地は子どもが蹴って壊れています。
関守
関所を守る役人のこと。
男女の仲を妨げるもののたとえとなることが多いです。
伊勢物語『関守』
『関守』の流れ
昔、男がいた。
東の京の五条あたりに住む女のもとに、こっそりと通っていた。
人目を忍ぶところなので、門から入ることができず、子どもたちが踏んで開けた築地の崩れから通っていた。
この館は人の出入りが多くは無いが、男がたびたび通ってきたので、主人が聞きつけて、その通い路に毎晩番人を置いて守らせたので、男は行っても女に会えないで帰った。
さて歌を詠んだ。
(和歌)人知れずこっそり通っている私の通い路を守る関守めは、夜ごと夜ごとに、少しでも眠ってくれたらよいのに。
と詠んだので、女はとても心を痛めた。
なので、主人は男が通うのを許したのだった。
この館の主人は『西の対』でも登場した高子の叔母だといわれています
これは、ある男が二条の后のもとに忍んで参上していたのを、世間で噂になったので、后の兄たちが守らせなさったという話だ。
『芥川』に関する古典常識
神
雷のことをあらわすこともあります。
女御
「女御」は天皇の妻のこと。(序列は皇后・中宮より低く、更衣より上)
下﨟
身分が低いこと。
伊勢物語『芥川』
『芥川』の流れ
昔、男がいた。
手に入りそうもなかった女に何年も求婚し続けてきたのだが、やっとのことで盗み出して、たいへん暗い中を逃げてきた。
この女は『関守』にも登場している藤原高子です。 彼女は天皇に嫁ぐことが運命づけられています。
芥川という河のあたりを女を連れて走っていったところ、草の上に露が降りているのを、「あれは何なの」と男にたずねた。
芥川については ・淀川上流とする説 ・宮中のゴミを流す川とする説 ・架空の川とする説 など諸説があります。
男はまだまだ逃げないといけないし、夜も更けてきたので、そこが鬼のいる所とも知らないで、雷までひどく鳴り雨もざあざあ降っていたので、みすぼらしい蔵の奥に女を押し入れた。
男は弓とやなぐいを背負って戸口で見張りしていた。
「早く夜が明ければいいのに」と思いながら見張っていたところ、鬼がすばやく女を一口で食ってしまった。
後で種明かしをされますが、この「鬼」は高子の兄だといわれています。 「一口で食う」というのは高子を連れて帰ったことを表しています。
女が「ああっ!」と叫んだのだが、雷が鳴る騒がしさで、男は聞き取ることができなかった。
だんだん夜が明けてきたので、見ると、昨夜連れてきた女の姿が無い。
男は地団駄を踏んで泣き悲しんだがどうしようもない。
(和歌)あれは真珠かしら、何かしら、と彼女がたずねたとき、これは露ですと答えて、私もその露のように消えてしまっていたらよかったのに(生きているからこんなつらい目にあうのだ)
この話は二条の后藤原高子が、いとこの女御の御もとにお仕えするようにして暮らしていらっしゃったのを、容貌がとてもすばらしくいらっしゃったので、男が魅せられて盗んで背負って逃げ出したのを、御兄である堀川大臣藤原基経殿と、国経の大納言が、その頃はまだ地位も低くいらして、内裏へ参上なさる折に、たいそう泣く人がいるのを聞きつけて、引きとめて取り戻されたのだった。
それを、こんなふうに鬼が食ったとして言い伝えているのだ。
高子がまだたいそう若く、清和天皇のもとに入内する前のことであったとかいうことだ。
おわりに
いかがでしたか?
この記事では『関守』と『芥川』の解説をしました。
雰囲気を掴みとって、古文の勉強に活かしてみてください!






























