みなさんこんにちは!僕は沖縄出身東大生のぴぺりたと言います。
このコラムでは、センター英語で250点満点を獲得したぴぺりたが、洋楽で使われた歌詞を題材にしてみなさんの英語の学習をより楽しくすることを目的としています!
入学や進学をきっかけに
もう4月に入って2週間ほど経過しましたね。このコラムを読んでくれている高校生の皆さんもそれぞれ次のステージに上がり、新たな目標もできた頃だと思います。
例えばいま「英語を頑張りたいな」と思っているとしましょう。残念ですが、その気持ちはあと1週間から1ヶ月もすれば消え去ってしまいます。そして消えてしまったらなかなかやる気も出てきません。
しかし、いまからその目標に向かって何かを始めたとしましょう。幸せなことに、その努力は1ヶ月はおろか、半年、1年と続くものになります。
僕はいつも「思い立ったらその場で何か始めたい」と思って生きています。しかし中には忙しさを言い訳にあまり何もできないこともありますね。そうなってしまうと、なかなかその「思い立ったこと」を思い出して頑張り出すことはできません。
一方で、思い立ったらその足で本屋さんに向かって本を買ったり、友達に話してみたり、インターネットで調べたりしてみると、不思議なことに習慣になるまで継続することができるんです。
だから、いま湧いてきたやる気は、いま行動に移した方がいいんです!新学年になったときに始めたことを、次の学年に上がるまで続けたら、今の自分が想像できないほど大きな成長を遂げられます。始めるなら、今日からですよ。
そんなメッセーッジを書いたところで、早速楽しく英語を勉強していきましょう!
スケートの宇野選手で有名になったあの曲を紹介
Wiz Khalifaの『See You Again』ですね!「It’s been a long day~」と美しい声で始まるこの曲は、中高生からも人気なようです。
聞き覚えのあるパートが終わったら、ラップのパートが始まります。正直、英語が得意な僕でさえラップを聞き取って理解することはできません。使われている表現も受験勉強で習うような正統派なものではないものが多いので、今回は聞き覚えのあるパートを中心に説明したいと思います。
重要事項の理解度チェック
次の文章が理解できますか?「理解できるよ」という方は、これから僕がどんな文法事項を説明しようとしているのかも考えてみてください。
- What time is it now ?
- It is really hot today.
- It takes me 2 hours to get to the station.
- How is it going ?
これらに共通している点は何でしょうか?
「it」ですね!さらにいうと、「特に強い意味があるわけではないit」ということがわかるかと思います。文法書によっては意味を持たないとも書いてますね。
しかし、少し共通点を探ると、実は少しばかり意味があると理解することもできるんです。
例えば例文の1番は「時間」が関係した文。同様に、2番は「気温」3番も「時間」4番は「日々」とでも言えるでしょうか。
どれも確かに代名詞として何かをさしているitではありません。でも、おおよそ人を取り囲むものや状況であると考えることができます。中でも抽象的な存在について使われていることが多いですね。
しかし、日本語では「駅に着くまでに時間は私から2時間とります」という言い方をしませんね。この「it」は代名詞というわけでもないので、「それ」と訳すこともありません。そのため、和訳をする時に特に訳す必要がないことから「意味を持たないit」というのだと考えられますね。
それぞれの文章の意味は
- 今何時ですか?
- 今日はとても暑いです。
- その駅に着くのに2時間かかります。
- 調子はどうですか?
となります。どれも意訳ですね。この抽象的な「it」は使われる場面が限られているため、この例文ごと覚えてしまうのがいいですよ。それと似た文章をみた時に「ああ、あの例文と同じ用法だな」と思えたらバッチリです!
歌詞の中で登場する2つの「it」
それでは、ここで歌詞を紹介します。
It‘s been a long day without you, my friend. And I’ll tell you all about it when I see you again. (Wiz Khalifa 『See You Again』)
この歌詞はこの歌の一番初めに流れてきますが、すでに2つの「it」が出てきましたね。それぞれの「it」がどういう意味だかわかりますか?
まずは簡単にポイントを書きます!
- It’s been a long day = It has been a long day
- 「my friend」=「you」だと考えられるので、これは呼びかけ。
一文目をみて先ほど説明した特徴をつかむことができましたか?この初めの「it」は訳すに訳せないいわゆる「意味のないit」です。「a long day」という時間が関連しているので、時間関連を漠然と表した「it」だろうと考えられますね。
つまり一文目を訳すと「友よ、君がいなくなってから長い時間が経過した。」となります。
次は二文目です。この文章の中にも「it」が入っています!しかも今回は動詞「tell」の目的語なので、直訳すると「君にそれについて話すよ」という意味になることがわかります。
基本的に先ほど紹介した漠然とした抽象的なものを指す「it」は、例文のようにbe動詞と一緒に使うことが多いです。また、文章の意味も時や気温、距離などを表し、この二文目で登場した「it」はこれに当たらないことがわかるかと思います。
それじゃあ、この「it」って何???
これがこの歌詞の深いところだと僕は思うんです!この「it」は端的にいうと代名詞。だから、前に出てきたものを表しているはずなのです。
代名詞は名詞ですから、一旦それまでに出てきた名詞について考えてみましょう。
- it(1つ目)
- a long day
- you
- my friend
もちろん、「you」と「my friend」は同じ人のことであり、「tell you all a about it」の「you」も「my friend」のことなので、選択肢から外れます。
したがって、二文目に出てくる「it」とは、「a long day」または「it(1つ目)」です。
まずは、「a long day」を入れて訳してみましょう!
「また君に会うとき、長い日々について全て君に話そう」となります。なかなかしっくりきますね!しかし、もう一方の「it」を入れて訳してみましょう。
「また君に会うとき、長い日々で僕に起きた変化や、周囲の状況について、君に話そう」となります。
この漠然とした抽象的な「it」とは「人を取り囲むものや状況」だと言いましたね。それを踏まえて訳すと、あら不思議。ただ「長い日々」と訳するよりも、もっと深く、友人と歌手の関係を想像させるような、濃い意味をもつように感じられませんか?
少々難しくなってしまいましたが、このようにおそらくこの歌詞を書いた人はあえて一番初めに「it」を持ってきたのではないかと僕は思います。
そうすることで、具体的な単語を入れなくても、「これまでの長い日々の中で、あんなことやこんなことがあったんだ。そんなこと君は知らないだろ?だから、今度会ったときに話してやるさ」という細かなニュアンスまで伝えることに成功しているように聞こえます。
英語を学ぶことは感動を増やすこと
いかがでしたでしょうか?今回は少し内容が難しかったかと思いますが、それゆえに、英語を学ぶことが日常生活でどんな変化を自分に与えるのかを感じることができたのではないでしょうか。
ただただ問題にでるから、細かな知識を覚えることも勉強。ある音楽を聞いた時に、知識を元に想像を膨らませ、感動するのもまた、勉強です。どちらが楽しいですか?
勉強が苦しいのは仕方のないことです。しかし、確実に苦しんだぶんだけ多くの感動を味わうことができます。しかもこの感動は、知識のない人が味わうことができない、特別な感動なのです。センター試験の文法問題で+2点とるよりも、もっと大きな感動ですよ。
英語だけではありません。国語も数学も理科も社会も、このような感動がたくさんあります。今回このコラムを読んでくれた方が、少しでもそんな将来の感動を楽しみにしながら、これからの勉強に向き合えるようになってくれたら、これ以上嬉しいことはありません。
それでは、来週もまたこのコラムを通してお会いしましょう。
僕は個人的にウェブサイト「ぴぺりたぐらむ」YouTubeチャンネル「piperitagram.channel」を運営しているので、こちらもぜひご覧になってください!