【東京大学合格体験記】 塾に頼らず現役で東大文Ⅰに合格した勉強法・入試対策法

はじめに

私は東京大学文科1類に在学中の2年生です(2017年入学)。

今回は合格体験記と題しまして、私が東大に受かるために高校時代やっていたこと、またはやっておくべきだったことをまとめ、これから東大を受験する方の少しでも参考になる話ができればなと思っています!

私がどうして東大を目指したか。どうして東大文科1類を目指したか。

まずはなぜ私が東大を目指すようになったか、という話から始めていきましょう。

もともと私は理系に進むつもりでした。しかし、2年生になる段階で文理選択に迫られ、結局文系に進むことにしました。

というのも、1年生のときの成績を見るに理系の最重要科目である化学と物理が全然点数が取れていなかったからです。

ここで文系・理系どっちにしようかと改めて考えてみたわけですが、ここでなんとなくなのですが「理科はセンスが必要だけど、社会は暗記だから頑張ればなんとかなるはず」と根拠もあまりないままに判断をし、文系に進むことにしたのです。

結果論ですがこの判断が功を奏しました。確かに社会は大変でしたが、文系は少人数で上位層は東大を目指す雰囲気があって先生たちもそれが前提で授業をしてくれていたので、「成績上位であること=東大を目指すということ」という等式が自分のなかで暗黙の理解としてありました。

そして部活にも入らずにコツコツと勉強して行くと、環境のおかげで成績はみるみると上がっていったので、上記の等式に自分を当てはめ東大を目指すことにしました。

次に文科1類決定したのには、担任の先生からの助言があったからでした。もともと漠然とした夢しかなく、特定の学問を学びたい意欲もなかった私は、東大というのは決まっても「どの科類に行くのが最適なのか」という問いに答えを与えることができていませんでした。

しかし2年生の三者面談の際に、担任の先生から「とりあえず文1を目指していれば、最悪下げることもできるから」と至極当然のことを言われて腑に落ち、それからというもの第一志望を文科1類に仮置きし勉強しました。

結局その後、具体的にやりたいことも見つからなかったため、3年生になった後も仮置きした志望校を本命にしてそのまま文科1類が第一志望として残ることになりました。

私が受験勉強を開始した時期と当時の学力

まず、国数英については高2までであらかた基礎を完成させることが言われていたので、この3つの科目は高3に入って早速受験勉強を始めました。

一方で、全教科を視野に入れた受験勉強を開始したのは高3の夏休み明けでした。私の高校では夏休みが明けてすぐに体育祭があり、それが終わると高3は受験モードになるというのが恒例でした。私もそれに倣って、高3の体育祭明け、具体的には9月中旬から全科目の受験対策を始めました。

東大首席合格者にインタビュー!首席合格者の受験生時代に迫る

2018.01.21
この記事の文系首席の横田君は高3のとき同じクラスで、彼も同様のことを言っています。体育祭明けからが本格始動を言ったところでしょうか。

過去問を解き始めるなど、”本格的な”受験勉強を始めたときの学力は、文系50人ちょっとで4位前後、東大レベル模試(※国数英だけの高2模試)でもA判定をいただいていました。この辺りの話は後にも触れたいと思います。

私の通っていた高校と授業内容

私が通っていた高校は、鹿児島の私立ラ・サール高校です。

授業ですが、受験内容を高2までであらかた終わらせ、高3では演習メインという方針であったため、高校入学組であった私は2年間で高校内容を終わらせる必要がありました。したがって、非常にハイスピードかつハイレベルな授業が展開されていました。

テストも独自のカリキュラムに従って、他の学校よりたくさん実施されていました。具体的には高3になると、120分のテストが1科目ずつ、週3回のペースで実施されていました。その準備に常に追われているといった感じでしたね。

塾・予備校の有無と通い出した時期

私の高校では、塾を使わなくても現役合格できるカリキュラムを保証していたので、それに従い塾には3年間使用していません。ただし東大模試を受けるため、また模試の解説を受けるために一時的に予備校を使っていました。

東大合格のための私の戦略

センター試験と二次試験の目標点数

私の東大に受かるために設定していた目標点数は以下のようでした。

試験名 目標点数(満点、得点率)
センター試験 810点(900点、90%)
二次試験 260点(440点、59%)

基本的には過去の合格者のデータを元に設定しています。つまり、合格者最低点と平均点を調べてみると360点取れていれば例年であれば安定して合格できていたので(最近は易化が進み360点ではギリギリラインですが)、センター9割で換算点が99点、二次試験で260点取れれば良いだろうと考え、このように設定していました。

しかし、センター9割は漠然とした目標で、これから紹介する科目別の目標点とは全く一致していません。というのも、本番までセンターで9割とったことがなかったため、とりあえず9割として設定していました。

センター試験の科目別目標点数(と実際の得点)

 

科目 目標点(実際の点数)
国語 180点(164点)
現代文 80点(77点)
古文 50点(50点)
漢文 50点(37点)
数Ⅰ+A 100点(87点)
数Ⅱ+B 100点(98点)
英語(筆記) 200点(189点)
英語(リスニング) N/A(44点)
世界史 100点(97点)
地理 80点(87点)
生物基礎 50点(45点)
地学基礎 50点(44点)
合計 860点(811点)

注:リスニングは東大では使用しないため、目標点は設定していません。ただし、受けることは必須なので、実際の点数だけ載せておきます。

一部の例外を除いて、センターについては各科目満点を目指して勉強していました。私はマーク式の試験が苦手で、本番まで1度も9割を超えたことがなかったのですが、本番で初めて9割を取ることができました。目標を高めに設定していたことが功をそうしたのかもしれません。

二次試験の科目別の目標点数(と実際の得点)

次に二次試験における科目別の目標点と実際の点数を紹介します。

科目 目標点(実際の点数)
国語 60点(65点)
数学 50点(50点)
英語 90点(75点)
世界史 30点(36点)
地理 30点(41点)
合計 260点(267点)

私が苦手だった科目は、国語と社会です。苦手だった科目については、とりあえず半分を目標に設定していました。
詳しい対策は以下の記事に書いてあります。

【完全版】東大国語の傾向・対策・勉強法を現役東大生が大問ごとに詳しく解説

2021.11.06

【完全版】東大世界史の傾向・対策・勉強法を現役東大生が大問ごとに詳しく解説

2021.11.06

しかし、もちろん全部の科目について半分得点できても合格点にはなりません。そこで得意ではないものの、模試の段階からそこそこ得点できていた数学と英語で点数を稼ぐ作戦でした。模試の平均点+10点くらいを目標に数学と英語は目標点を設定していました。

こちらについても詳しくは以下の記事を参考にしてください。

【完全版】東大英語の傾向・対策・勉強法を現役東大生が大問ごとに詳しく解説

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【完全版】東大文系数学の傾向・対策・勉強法を現役東大生が大問ごとに詳しく解説

2021.11.06

こうすると、合計が全体的な目標点の260点とも一致したため、受験前はこれを目指して勉強していました。

ちなみに模試の点数は安定して220点台でした。
模試の成績の推移および分析は以下の記事を参照してください。

東大現役合格者の全6回の東大模試の成績(点数・判定)からみえてくる入試対策のコツとは?

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東大合格を勝ち取る時期別の勉強時間・方法

ここでは時期別の勉強時間や模試の偏差値について大まかな数字をご紹介します。

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注:勉強時間については、春夏秋冬からランダムな週を抜き出し週の合計勉強時間を7で割った値を算出しています。

では次に3年間の中で大きなイベントや転換点があった時期を具体的に抜き出して、その時期に何をやっていたかについて紹介します!

①(高2・秋):リスニングが苦手だと悟る

高2の10月は自分でも大きな転換点だと思っています。初めて「このままだとやばい」と自覚した瞬間があったからです。それはリスニングにおいてで、この時本当に苦手でした。授業中に行うちょっとした小テストでさえうまくいかない。

東大の二次試験でリスニングがあることは知っていたため、人よりも早めになんらかの対策を行う必要があると悟りました。リスニングは一朝一夕にはできるようにならないため、今から対策を別途始めるくらいがちょうどいいだろうと考え、すぐに本屋に参考書を買いに行きました。

②(高2・冬):初めて東大レベル模試を受ける

何と言っても、初の東大レベル模試を受験したのがこの時期です。私自身は、10月からコツコツとやってきたリスニングがどれくらい通用するかを知りたかったので、この模試をとても楽しみにしていました。

しかも、予想以上にうまくいってしまい、初めての東大模試にしてA判定でしたし、またこの時期に別途受験していた英検準1級にも合格し、この時は非常に波に乗っていました。

この時期から、少しずつ東大の本物の過去問にも触れ始め、実際の国語やリスニングの過去問にチャレンジもし始めました。

③(高3・初夏):第1回東大模試を受ける

夏休みに入る前、夏休み中に、大手予備校3社の東大模試を受けました。

模試に向けて勉強というよりは、学校向けの勉強をずっとしていたため、完全実力勝負で挑みました。また、東大模試の始まったあたりからよりリスニングを強化しました。具体的には参考書学習に加え、英語のスピーチを聞くようにしていました。TEDのスピーチをネットから拾って学習していましたね。

④(高3・夏):社会の対策を本格化し、過去問を解き始める

夏休みが明けて、夏休み前に受けた模試の結果が続々と返ってきました。どの結果を見ても社会が課題なのは明らかでした。ひどい時は10点台、良くても半分を超えない。

自分なりに分析をしたところ、世界史に関しては圧倒的な知識不足が、世界史・地理両方に関して記述力のなさが問題であるとわかりました。そこで、夏休み明けた後すぐに社会の強化を始めました。

一方で、高3春で国数英がある程度仕上がったと判断したので、この時期から少しずつ国数英に関しては過去問を解き始めました。必要があれば、答案を先生に添削してもらったりしていましたね。

⑤(高3・秋):第2回東大模試を受ける

11月は、第2回の東大模試が毎週末のように行われます。休日もこの時期はほとんど勉強時間が確保できません。受験生としておそらく一番忙しい時期だったと記憶しています。

夏から継続して行っていた社会の記述対策もそこそこ効果がで始めた頃です。しかし一方で、他の教科をおろそかにしていたのかもしれません。英語の成績が下がり始めたのです。

もちろんリスニングは毎日欠かさずやっていたのですが、読解力が落ちていました。あとあとこれを持ち直すのに非常に時間がかかってしまいました。この時に科目のバランスが大切であることを身をもって実感しましたね。

教科別の使用していた参考書

最後に私が高校3年間を通じてメインで使用していた市販の参考書を時期別・教科別に紹介したいと思います!

国語の参考書

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数学の参考書

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英語の勉強法

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世界史の勉強法

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地理の勉強法

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最後に(受験生への応援メッセージ)

私が言いたいことの1つ目として、受験はあなたのためだけのイベントではないということです。

最後まで親身になって教えてくれる先生方や、いつも応援してくれる家族、あなたを知る全ての人のものであり、彼らは皆必要であればあなたのことを全力でサポートするし、その分反作用として「あいつならきっと受かってくれるだろう」と期待を寄せていることを覚えておいてください。

ただしそれをプレッシャーとして捉えないように。私は、それをプレッシャーとして捉えてしまったがばかりに、受験本番ではなく合格発表の方が緊張しました。「今まで応援してくれた人たちに不合格なんて言えない」とばかり考えてしまい、合格発表が近づくにつれ、眠れなくなっていきました。

「合格」という2文字はすごいパワーを持っています。受験というのは言わば誰でもできます。たとえ勉強していなくとも記念受験はお金さえ払えばできるのです。しかし、合格は誰でもできるわけではありません。それまでひたむきに努力した人だけに与えられる称号と言ってもいいでしょう。

しかし一方で、受験は確率的であることもまた事実です。その年に出題される問題で合格者は大きく変動します。受験とはそんなものでもあります。

今勉強していることが本番で出るとも限らない。その事実を思いながら勉強するのは、辛い・苦しい・悔しいはずです。

しかし、そんな思いをしながらも机に向かい続けるべきであるのは、あなたが合格する確率を限りなく100%に近づけてくれる唯一の方法が日々の勉強であるに他ならないからです。

なりたい自分に近づけるよう、ぜひ頑張って合格を掴んでください。




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