はじめに
みなさんは防衛大学校(防衛大)についてどのようなイメージを持っていますか?
「過酷」や「規律厳しい」といったイメージを持つ人が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、謎に包まれた防衛大の実態について解説していきます!
目次
防衛大学校の基本情報
防衛大学校の立地
防衛大は神奈川県横須賀市にあり、横浜から電車で1時間ほどで行けます。
近くにはアメリカの海軍基地もありますよ。
防衛大は昭和27年から存在していて、他の有名な大学と比べると創立自体は新しいです。
しかし明治元年から始まる軍の士官学校にルーツがあるので、150年近い伝統を感じることができます。
防衛大学校の学費・給料
なんと学費は0円で、その上給料も貰えます。
給料はボーナスと合わせて年間で200万円強です。
4年間で約1000万円と、あまり多い額ではありませんが、全寮制で生活費がかからないので十分な額と言えるでしょう。
多くの人にとって、学費がないことは非常に魅力的ではないでしょうか。
防衛大学校の難易度
防衛大入試の正式名称は「採用試験」です。国家公務員の身分を目指す大学校らしさがうかがえますね。
偏差値は、文系が60程度でMARCHと呼ばれる括りと同レベル、理系が50程度で日東駒専と呼ばれる括りと同レベルです。
しかし面接や小論文の試験という学力以外の要素が絡んでくるので簡単ではありません。
試験対策をしっかり行いましょう。
(第70期 防衛大学校学生受験要項(一般)より引用)
合格者の枠は男女別に決められており、男女比は8:2~9:1で男子が多いです。
ですから、女子は文理ともに高倍率となり、男子よりも合格するのが難しくなっています。
実際、令和2年度の一般入試の実質合格倍率は、文系の男子が16.3倍で女子が29.2倍、理系の男子が5.9倍で女子が10.3倍です。(防衛大学校 / 本科第69期学生採用試験合格状況より引用)
合格率が一番低い理系の男子ですら5.9倍もあり、これは人気の高い私立大学と同程度の倍率ですよ。
防衛大学校の入試科目
文系の一次試験では、英語・国語・数学or日本史or世界史の合計3科目と小論文が実施されます。
理系の一次試験では、英語・数学・物理or化学の合計3科目と小論文が実施されます。
小論文以外は全てマークシート方式で行われ、英語は文系と理系で共通の問題です。
小論文では、自衛隊に関することではなく、一般的な話題についてグラフや表から読み解く力や思考力が問われます。文理共通で1000文字の小論文を書きますよ。
二次試験の試験内容は面接と身体検査です。
面接の正式名称は「口述試験」です。
受験生1人に対して面接官3人の個人面接で、面接官の中に1人幕僚という偉い方がいます。
防衛大らしい質問といえば、「自衛隊は何種類ありますか?」といった簡単なものばかりで、自衛隊についての細かい知識は聞かれません。
むしろ集団生活に関する質問や高校生活、規則などについて聞かれます。
防衛大学校での生活
防衛大の学生の生活は、普通の大学生の生活とは大きく異なります。
一般的な大学生の生活は、授業とアルバイトとサークル活動が中心となりますが、防衛大生は授業と校友会活動(部活動)に加えて訓練が生活の中心となります。
入校と同時に身分が防衛省の国家公務員になるので、当然ながらアルバイトはできません。
全員が寮生活
学生は寮に入ることによって規則正しい生活をすることができます。
先輩と同部屋になるので、入寮からすぐに防衛大の生活について教えてもらえます。
全寮制なので友人をつくりやすいですね。
防衛大は閉鎖的であるという印象を持たれがちですが、外出や外泊もできます。
防衛大から電車で1時間で横浜まで行けるので、土日に遊びに出掛けることもできますね。
ただし、1年生のうちは外泊することができません。
早起きが必須
朝6時のラッパの音で一斉に起床します。
起きたら5分で布団を片付けて、着替えます。
その後、宿舎の外に出て点呼をして乾布摩擦や腕立て伏せをします。
授業は意外にも一般の大学と変わらない
防衛大は、訓練や自衛隊の戦術に関する授業ばかりという印象を持たれがちですよね。
しかし一般の大学と同じように、教養科目や専門科目が用意されていますよ。
防衛大らしい授業としては防衛学があり、安全保障や軍と社会の関係、戦争について学びます。
部活動も豊富
校友会活動という部活動があり、運動部も文化部もありますよ。
運動部は空手道部や水泳部など40種類ほどです。
防衛大特有のマイナーな部活動としては、射撃部やパラシュート部などの競技人口の少ないスポーツが挙げられます。
文化部は吹奏楽部や茶道部など10種類ほどです。
軍事史研究部という戦史や戦術戦略を研究したり、軍隊における思考法を学んだりする防衛大特有の部活動もあります。
ちなみに防衛大学校のHPでは、防衛大生の一日が時間順に詳しく解説されているのでぜひチェックしてみてください。
防衛大学校 / 学生の一日
防衛大学校卒業後の進路
防衛大を卒業すると、幹部候補生学校での約1年間の訓練があります。
幹部候補生学校は、防衛大卒業生が初めて自衛隊員として訓練するところです。
陸上自衛隊は福岡県久留米市、海上自衛隊は広島県江古田市、航空自衛隊は奈良県奈良市にあります。
ここで初めて防衛大出身ではない幹部候補生らと合流します。
幹部候補生学校を卒業した後は、幹部自衛官として自衛隊のキャリアを歩んでいきます。
防衛大卒業生は、高校を卒業してそのまま自衛隊に入隊する人と比べて高い地位からスタートできますよ。
筆者の防衛大学校合格体験記
一次試験は自衛隊とは関係のない専門学校が試験会場でしたが、二次試験は自衛隊の駐屯地で行われ、試験会場に入った時から緊張していました。
試験監督や助手は迷彩服を着た自衛隊員でした。
小論文も面接もいたって普通で、「いかにも防衛大!」といったことは聞かれませんでした。
筆者は浪人している時に防衛大を受験したので、学生服ではなく私服(シャツとジーンズ)で面接を受けましたが、無事合格しました。
防衛大の面接は私服で受けても合格できるという事実は広まってほしいです。
二次試験では身体検査が行われました。これが非常に入念で、尿検査やX線検査だけでなく傷や精神疾患の有無も診察されました。
無事防衛大に合格したのですが、合格通知の紙が格好良くてかなり丁寧に触れていました。
おわりに
いかがだったでしょうか。
この記事が、防衛大の受験を検討している人の参考になれば幸いです。
また、防衛大では例年7月半ばにオープンキャンパスが開催されているので、興味のある高校生は是非足を運んでみてください。