はじめに
東大日本史は癖が強く、勉強の仕方も難しいですよね。
今回はどんな勉強をすればよいのか、そもそもどんな問題が出るのかなどを解説していきます。
また、日本史の勉強や問題演習の際に気を付けることも紹介しますので、合格戦略を立てる際の参考にしてみてください。
目次
出題分析
問題形式と配点
東大日本史は、基本的に4題の論述問題が出されるという構成になっています。
4題はそれぞれ、古代、中世、近世、近現代から出題されています。
また、日本史の配点は、二次配点合計440点中60点です。
大学からの大問ごとの配点は公表されていませんが、大問1つ15点だと予想されています。
各大問は1つの設問であることが多いですが、A・Bのように小設問に分けられることもあるんですよ。
問題は、例年リード文や図表が与えられて、それに関して「〇行以内で記述せよ」(1行30字)という問題に答える形式です。
資料は理解しやすく、与えられた資料を自分の知識とどう結びつけられるかが重要です。
試験時間は地歴2科目合計で150分となっており、単純に均等配分すると日本史には75分、大問1つには20分弱使えることになります。
日本史には最大でも大問1つ当たり20分、日本史合計80分以内に収められるとよいでしょう。
大問別の頻出分野と対策
第1問(古代)
頻出分野は律令制度で、過去問をみても圧倒的に律令制度に関する問題が多いと言えます。
制度としての律令制、政治的展開、律令国家の地方支配、土地制度とその変質、律令制度の衰退などはおさえておきたいポイントです。
最近では以下のような問題が出題されています。
2023(律令制〜院政期の国家的造営工事のあり方の変化)
2022(律令制下の命令伝達)
中国を中心とした東アジアの国際秩序、冊封体制も頻出分野です。
第2問(中世)
頻出分野は武家社会の成立とその特性です。
鎌倉時代と室町時代を中心に、それぞれの政権がどんな政治的変遷をたどったか、両武家政権の制度の違いなどの理解が問われます。
この分野では以下のような過去問があります。
2023(15世紀前半における家督継承決定のあり方の変化と応仁・文明の乱)
2019(承久の乱以降の朝幕関係)
中国との貿易(日宋貿易、日元貿易など)、および元寇など外交関係、惣の形成、一向一揆や徳政一揆などの民衆の動きも頻出です。
第3問(近世)
頻出分野は、幕藩体制(江戸時代)関連です。
朝幕関係の変化、三大改革の内容、鎖国や朝鮮・琉球・アイヌなどとの交易などの外交史をおさえておきたいところです。
この分野では以下のような過去問があります。
2024(鎖国政策と沿岸防備体制の整備)
2023(天保期における江戸の都市政策)
第4問(近現代)
日本が近代国家として成立・発展していく過程をおさえておきましょう。
立憲体制の成立、地租改正や政党の成立などに加え、欧米へ従属しつつもアジアへ進出する日本の立場を理解しておくとよいです。
この分野では以下のような過去問があります。
2023(1950年代の対外関係と政党間対立の変化)
2021(貴族院と第二次護憲運動)
また、第4問は他の3つの大問と比べて参考資料が少なかったり、無かったりすることが多いです。
これは、資料の分析よりも自分の知識が重要になるということです。
近現代は知識重視の勉強をしておくとよいでしょう。
勉強方法
通史を終わらせよう
入試対策の第一歩は、論述対策に時間をかけるために通史を早めに終わらせることです。
通史を終えた後は、二次対策と並行して通史を復習していくことがおすすめです。
ただし、東大の過去問は大問ごとに古代、中世、近世、近現代が問われるので、通史と並行して終わった範囲は過去問に取り組むのもありです。
注意しておきたいのは、教科書の知識がそのまま使えることはほぼないので、教科書の内容を覚えても入試問題では点が取れないということです。
あくまでも通史は、基本的な知識をしっかり頭に入れるのが目的で、この段階では共テレベルの知識まで覚えれば大丈夫です。
ただし、ある出来事がいつ、なぜ、どこで、どのように起き、それがのちの出来事にどのような影響を与えたのかというところまで理解を深めておくと2次対策につながります。
過去問を解こう
初めは、参考書や教科書を見ながらでいいので、最高の解答を仕上げる練習をしましょう。
教科書の知識がそのまま使えることはほぼないので、既習の知識を使ってどう解答を作るか練習するのが目的です。
この段階では、歴史的出来事同士のつながり、政治的制度がどう変化したのかなど、事象のつながり、比較、変化などに注目して知識を覚えていくのが良いでしょう。
また、問題を解いたら添削してもらい、自分の解答を客観的に分析してもらうのが大事です。
添削後は、自分で解答解説を読んだり教科書を読んだりして、抜けていた知識を補充するようにしましょう。
この際、添削や解答解説は複数の人・出版社を利用するとよいです。
また、過去問を解く際には与えられた資料をフル活用することを意識しましょう。
解答を作る際は、資料中の言葉はなるべくそのまま使わないようにし、文章中の表現を一般化したり、歴史用語で言い換えたりすると自分の理解が伝わる解答になります。
また、基本中の基本ですが、問題文をしっかり読むようにしましょう。
東大日本史では、「○世紀から○世紀の間」や「〜に触れながら」といった条件が付されていることが多いです。
知っていることばかりを書きたくなりますが、何を書くべきか情報を取捨選択しましょう。
また、書いているうちに設問の要求から外れていることもあるので、書き終えたら必ず設問を読み直し、自分の解答を見直しましょう。
日本史はどれだけ勉強すべき!?
合格のためには、不得意教科を作らないほうが良いといえます。
自分の得点戦略を考えつつ、苦手科目をつぶすのに時間をかけるのが良いというのを前提に、日本史にどれだけ時間を割くか考えてみてください。
また、合格のためには入試問題への「慣れ」が重要なので過去問はなるべくたくさん解きましょう。
形式に慣れると、参考資料のどこを見ればよいかわかってくるし、解答を作るスピードも上がっていきます。
過去問をたくさん解くと、頻出分野の理解も深まります。
以前出題された事項が形を変えて繰り返し出題されたり、部分的に解答に関わってきたりすることもあります。
おすすめの参考書
日本史の論点
教科書は知識の羅列になっていて、事象間のつながり、背景がわかりづらいことがありますが、そういった部分が詳しく説明されているのがこの参考書です。
基本的な知識を覚えるには教科書、論述向けの知識を増やすためにはこの参考書という使い分けがよいでしょう。
過去問や冠模試で、この参考書で見たことがある!というテーマが出題されたことも多々あるので、ぜひ一読してみてください。
過去問
過去問をやる際は複数の解答解説を見るのが良いです。
具体例として私のおすすめの使い分け方を紹介します。
1つ目は青本(東大日本史詳解25年 日本史(駿台文庫))です。
2つ目は塚原の日本史工房(https://tsuka-atelier.sakura.ne.jp/ronjutu/toudai/toudaixx.html)です。
このサイトは赤本の著者、塚原哲也さんが書いているウェブサイトで、無料で過去問、解答解説の閲覧が可能になっています。
そのため、赤本は買わなくてもいいかもしれませんね。
3つ目は、塾の添削サービスや学校の先生を利用することです。
Z会や臨海セミナーは添削のみ利用できるサービスもあり、これらは冠模試の判定次第で無料・格安で使えることもあるので調べてみてください。
おわりに
東大日本史は単なる知識では太刀打ちできない問題が出題されます。
難問ともいえますが、逆にいえば過去問を解きながら新たな見方を知ることができる問題でもあります。
この記事を参考に、日本史を楽しみながら合格に向けて頑張ってください!