はじめに
大学進学にあたり、学費が心配な人も多いのではないでしょうか。
あるいは、高校で奨学金の説明会があったものの、家族に「うちは対象外だから……」と言われ、特に気にしていなかった人もいるのではないでしょうか。
今はよく分からなくても入学後に色々情報が入ってくるでしょう、と思うなかれ。
学費や奨学金については、自ら調べないと何も分からないものです……。
本記事では、大学入学後に奨学金を調べ始めて申し込んだ筆者の経験をもとに、具体的な手順やその大変さを紹介します。
目次
奨学金の基本情報
貸与型と給付型がある
貸与型はその名の通り資金を貸し付けること、つまり学生は借金をすることになります。
お金を借りた後の人生は様々です。
貸与型奨学金を利用した後、学生本人の事故や疾病にも容赦しないJASSO(後述)の職員の非情な対応、延滞金制度により返済に苦しむ人たちがいます。
3か月滞納すると個人信用情報機関に延滞の履歴が記録される、つまり「ブラックリスト」に載せられてしまうことも。
「回収強化」のつもりなのでしょうが、返すに返せず困っているはずの人をさらに返済困難にする不思議な制度です。
一方、奨学金を親に無駄遣いされながらも上手く完済し幸せに暮らす人もいます。
人生に何が起こるかは運次第でもありますが、返済の計画が大切であることは確かです。
一方、給付型はその名の通りで、返済不要の奨学金です。
公的団体や民間団体・地方公共団体による支援もある
公的機関は、国の独立行政法人である日本学生支援機構(通称:JASSO)のことです。
各高校で、高校生向けに予約採用の説明会を開いていたのがJASSOなのです。
学力、所得、資産の厳しい数値基準があるため、対象外だと言われ諦めていた人も多いかもしれません。
一方、民間団体は、個人や民間企業が財団法人や育英会を通じて支援するという仕組みのものです。
コカ・コーラやダイソー、似鳥(ニトリ)といった有名大企業のものから、奨学団体としてしか聞くことのない小規模のものまであり、募集人数や金額や時期も様々です。
1団体当たりの募集人数は少ないものの、団体数はたくさんある上、要件に所得基準がなく作文と面接で選考する所が大半であるため、入学後に応募を決めたなら民間団体の奨学金制度はとても狙い目と言えます。
地方公共団体によっては奨学金を貸与・給付しているところもあります。
また、各大学による支援もありますが、留学生向け、ほんの一握りの成績優秀者のみ等、かなり対象が限られています。
実際の申込み手順
①大学のHPで調べる
いざ、申し込んでみよう!……とすると、まずはこれまでに紹介したような奨学金制度を調べる所から始まります。
しかし紙媒体の資料や要項はほとんどなく、支援室、相談室等でパンフレットを入手しようとしてもJASSOのものくらいしかもらえません。
おすすめなのは、大学のHPに掲載されている奨学団体一覧から一つひとつ、自分が要件を満たしているものを選んでいく方法です。
この時、ガクシー(https://gaxi.jp/)等の一覧サイトは見やすいのですが、実際に自分の通っている大学で応募できるかはやはり大学公式HPでなければ分かりません。
団体数は意外と多く、大学HPの気の利かない検索機能で調べるのは大変です……。
奨学団体が色々あるのに対して、様々な制限や絞り込みがあり、自分が対象となっているものは意外と少ないのです。
要件の例は以下のようなものがあります。
- 学部指定(経済学部生のみ、情報学系のみ、など)
- 所得制限
- 出身地や居住地
片っ端から新しいタブでリンクを開いた後、それぞれの要件を確認し自分に合うものだけ残していく方法が見やすいと思います。
このとき、提出課題や選考方法で選り好みするべきではありません。
確かに小論文や面接は面倒ですが、手間を惜しむことで将来の長期に渡る経済的安心(の可能性)を捨てるのはもったいないですよ!
②書類を用意する
書類を用意する段階が最も大変で面倒くさい行程です。
要項に載っている書類を、あらゆる方法を駆使して取り寄せます。
(参考:(公財)樫山奨学財団 2023.12.18掲載 – 筑波大学)(88850ffa1261bce01b2902d47e4a8874.pdf (tsukuba.ac.jp)):
- 奨学生推薦調書
- 高校の調査書
- 奨学生願書
- 履歴書
- 身上調書
- 家計維持者および配偶者の「課税証明書」
- 住民票
- 作文(1200字以内)
(参考:奨学生へのご応募をご希望の方 | 一般財団法人 TOKAIグループ富士山育英財団 (fujisanikuei-foundation.or.jp))(description2024.pdf (fujisanikuei-foundation.or.jp)):
- チェックリスト
- 奨学生推薦書
- GPA計算書
- 課題レポート(800字以内)
- 在学大学、大学院の在学証明書
- 直近の成績証明書
- 父母(経費支弁者)の直近の課税(非課税)証明書
- 世帯全員分の住民票の写し
書類を用意するには、コンビニプリント(有料)または大学提供の印刷システムで印刷という方法があります。
申込時に大学1年生だった場合、高校の書類が必要なため書類の発行申請書を高校へ持ち込む、または郵送する必要があります。
この時、交通費や切手代だけでなく、発行手数料の小為替、その小為替の発行手数料、返信用封筒・切手代もかかります。
速達だとさらに費用がかさむので余裕を持って準備しましょう。
筆者は締め切りが近い中で確実に間に合わせるため速達を利用しましたが、事前に高校へ切羽詰まった様子で確認の電話を入れていたため、急いで発行してくれたのか、速達にしておく必要がなかったくらいに早く届きました……。
更に、大学における「学内面接」の前に大学のクラス担任との面接で志願者調書を作成するという非常に紛らわしく面倒な行程に引っかかることも。
課税証明書など、家族からの郵送が必要なものもあるので気をつけましょう!
③用意した書類を提出する
フォーム上での提出
申し込みがWeb上で完結する場合は少数で、多くはここまでで用意した書類に加え、個人情報や軽い質問への回答などのフォームへの入力が必要になります。
書類に大事な情報は入っているはずなのに、Web上のフォームで長々と入力させられるのが厄介なところです。
短答や選択肢ではなく長文を入力する形式の場合、サイトのタイムアウトにくれぐれも注意してください。
紙媒体での提出
団体への必要情報の提出は、Web上のフォーム入力で完結する方法、スキャンした書類や書類データのファイルをアップロードする方法などがあります。
しかし大半は大学の窓口を経由して提出するため、結局は全て紙媒体で用意しなければなりません。
書類の郵送、高校事務室の書類発行期間、コンビニの利用など、あちこち回らなければならない手間を考え併せると、締め切りまでに大学の窓口が開いている時間を狙って提出するのはかなり困難です。
筆者は提出直前の数日間、広い大学内を授業の合間を縫って(しばしば間に合わなかったりしながら)行ったり来たりしていました。
おわりに
大学入学後の奨学金申込みについて、経験を基に具体的に解説しました。
自分で調べないと、もらえたはずの資金ももらえずもったいないです!
申し込む際は、紹介したような手続きの煩雑さを覚悟しましょう。