はじめに
皆さんは赤本って知っていますか?
自分の興味ある大学の赤本を手に取ってみることは、迫りくる受験に焦りを感じ始めている高校3年生は勿論、受験なんてまだまだ先のことと思っている高校1・2年生にとっても、受験に対する意識を高める上で、とても大切なことなんです!
この記事では、そんな赤本の使い方について、その注意点やいつから使うべきなのかを紹介しています。
赤本をうまく活用して、合格を掴み取りましょう!
赤本って何?
まずは、赤本を使った勉強法以前に、赤本が一体どんなものなのかということについて説明してきます。
赤本とは、「各大学の過去の入試問題が載っている分厚い本」とでも言えば良いでしょう。
難関の大学になればなるほど、一冊が分厚いです。
なぜ赤本と呼ばれているかというと、おそらくおもて表紙が赤いからです。
センター過去問でも、教学社の過去問は赤本と呼ばれています。
一方、河合塾が出しているセンター過去問題集は、黒本と呼ばれています。
もうわかると思いますが、おもて表紙が黒いからです。
このように、おもて表紙の色で色々な俗称があるので、覚えておいても良いかもしれません。(中には、紫本という河合塾の難関大予想問題集というものもあります……)
この記事では、大学別の赤本に焦点を当てて説明していきますね。
現在、378大学614種類の赤本があるとのことです。
赤本の教学社ホームページ
1冊に多くは5年分以上載っていますが、中、小規模の大学だと2年分だったりします。どれだけ載っているかに関わらず、値段が変わらないのが辛いところ。
さて、この非常に種類もあってボリュームのある赤本ですが、受験生には必須のアイテムです。
そんな赤本とどのように付き合っていけば良いのでしょうか?
次のトピックは赤本を使う際の注意点をみていきましょう!
赤本の間違った使い方とその改善法4選
どうせ過去問を解くなら、効率よく解きたい!
ここでは、やってはいけない赤本の使い方を紹介し、どのようにすれば良いのかについて説明していきます。
【赤本の間違った使い方①】年度の新しいものから解く
まずは、過去問を古い方から解くか、新しい方から解くかというお話です。
私はもちろん古い方からをオススメします。
理由は様々ありますが、一番大きな理由として「最新の過去問は、直前まで取っておくべき」だからです。
最新の過去問は、自分が受けるときの傾向に限りなく近いのです。
直前でこれを解くことで、本番もまるで練習のときのように解くことができます。
古い過去問は使い物にならないのではないか、という意見もあると思います。しかし、全くそんなことはありません!
古い過去問では、問題の傾向は変わってしまっているかもしれませんが、難易度くらいは最低限わかるはずです。
例えば、高3になるタイミングで過去問を解いてみようとなるとします。
そんな入試まであと1年もある段階で、傾向まで同じの問題など解く必要など全くないのです。
どうせ、入試本番までに傾向なんて忘れてしまいます。
これはとてももったいない!最新の過去問は、とんでもなく価値が高いのにそんなにいい加減に扱ってはいけません!
むしろ、古い過去問を解いて「難しかったか、簡単だったか」くらいがわかれば、入試本番まで1年もあれば十分なのです。
そのあと少しずつ、その問題を研究していければ良いわけですし。
だいたい直近3年分の過去問は、入試本番1ヶ月前まで取っておきましょう。
そして、過去問演習は古い方から。これを守ってくださいね。
【赤本の間違った使い方②】合格最低点と自分の点数を比較する
赤本に書いている合格平均点や最低点は気になりますよね。どのくらいこの難しさの問題で得点できれば、合格できるのか……
比較しようとする姿勢までは、良いと思います。しかし、比較する対象がダメです。
これでは、合格点に到達できません。
絶対に合格最低点と比較してはいけません。
このやり方をやって、東大に落ちている人を何人も知っています。
そんな人をみてきたからこそ、自信を持ってオススメしません!
比較するべきは、合格平均点の方です。
なぜかというと、最低点を目指してしまうと自分の成長がそこまでで止まってしまうからです。図で簡単に説明するとこんな感じです。
つまり最低点を比較(目標)として勉強しても、合格点に到達はできないのです。
最低でも、合格平均点を目指して頑張って勉強しましょう。
本当は、最高点を目指して勉強できるのが理想ですが……
【赤本の間違った使い方③】高校3年の夏から解き始める
はっきり言いますが、高3に入って「志望校の問題ってこんな感じなんだ!」といっていては遅すぎます。
高3は、自分の志望校の問題のレベルを見極めて、それをクリアできるような計画を立てて、勉強していかなければいけません。
それなのに、高3になって自分の相手を初めて知っているようでは、その時点で勝負に負けているようなものです。
過去問に初めて触れるべき時期は、高校2年の冬です。ここまでで、志望校を決めておいて、赤本を買います。
高3になった時に赤本が1年前のものになってしまいますが、それでも構いません。
それよりも、自分の志望校の過去問題集をいち早く入手しておくことの方が大切です。
高2の冬休みに古い過去問を解いてみてみましょう。
当たり前ですが、この時期に解くとほとんど解けないと思います。
でも、それで良いのです。
「自分の志望校の問題はこんなに難しいのか!」
「これが1年後に解けるには、もっと努力が必要だ!」
「社会がやばすぎる!!!」
などなど、自分で課題を見出しておくだけで良いのです。
言い換えると「敵を知る」とでもいいましょうか……
今の実力では歯が立たないということをモチベーションに、高3になって良いスタートが切れるとgoodですよね。
この点で、高3で初めて過去問に触れるということがないようにしましょう。
スタートから出遅れてしまわないようにしてくださいね。
【赤本の間違った使い方④】赤本の解答を完全に信用する
これは、おまけです。余力のある人向けです。
自分の答案と、解答が全く違っても完全にバツにできるかというと案外そうでもないかもしれません。
赤本はその大学の先生が答案を作っているわけではない場合が多いです。(中には、模範解答を公開している大学もありますが)
所詮、ある程度その分野に詳しい大人が作っているにすぎません。
そんな解答を完全に信用するというのは、少し危険かもしれません。特に現代文。
東大の赤本であれば間違いであることもしばしばです。
ですので、「問題を解いて解説読んで、はい終わり」ではなくて、ぜひ解答は本当にあっているのだろうかと考えてみてください。
少しでも、
「これが答えになるのが理解できない」
「自分の解答の方があってるに違いない!」
と思ったら、学校の先生などに質問しにいって議論してみても良いかもしれません。
単に問題を考えるだけで、過去問を使ったと思ってしまうのは少々もったいないです。
いろんな人と、1つの問題ついてより良い解答を考えてみたり、赤本に載っている解答にケチをつけてみたりすることで力がよりついてきます。
そのような赤本の活用方法を考えてみてはどうでしょうか?
赤本の時期別勉強法
ここからは、赤本を「いつ」使えば良いかについて時期別にお話ししていきます。
〜高校2年生の冬『志望校が未定のうちは赤本は買わなくても良い』
まずいっておきたいのが、慌てて赤本を購入する必要はないということです。
この時期は、出題傾向や倍率などのまとめられた頁を読むだけでも十分です。
もし過去問に触れてみたいという場合は、学校や予備校の資料室から借りてみましょう。
国語や英語は、演習量が足りないだけで、「未履修のために解けない」ことはなく、解くことだけは出来るかもしれません。
しかし、本番のように解く必要はありません。なんどもいいますが、大まかな傾向だけ掴めれば十分です。
志望校が決まっている人は、最新年度のものをあとで買わないといけなくなるかもしれませんが、早めに購入してもいいでしょう。
最新の過去問は検索すれば簡単に入手できるので、そこまで最新の赤本を持っていないことによって不利になることはありません。
また、勉強机に志望校の赤本を並べることで、モチベーションUPにつなげる、なんてこともできますね。
高校2年の冬〜高校3年の2学期『問題を実際に解いてみる』
1ページ目にも書きましたが、高2の冬に過去問に触れておくのがベストです。そこから高3の夏休みまでは、実力をつける時期として過去問演習を一旦お休みします。
実力が足りないと感じるために1年分過去問を消費するのは、経験として必要なことです。
しかし、これ以上過去問を無駄にはできません。
きちんと対策をした上で、過去問を解かないと過去問を解く効果が薄くなるのは事実ですからね。
ということで、この期間は過去問対策はお休みです。
その代わり、過去問に太刀打ちできるように問題演習をしっかりしましょう!
高校3年生2学期~11月下旬『本格的に赤本を使いはじめる』
模試の結果が次々と返ってきて、自分の不足点も山ほど見えてきて、かなりしんどい時期です。
夏休みに本気で勉強していても、なかなか結果が表れない時期でもあります。
何から手をつけていいか分からずに、闇雲に問題を解くことになりがちです。
でも、この時期こそ、しっかりと計画的な勉強をすることが、後々の「自分はやれるだけやった!」という自信に繋がると思います。
時間配分も意識した上で、過去問を順に解き、解答後は、解答解説もしっかり読み込んで、解いた問題は全て自分の力とするようにしましょう。(ただし、悪問・奇問に関しては飛ばしてしまって結構です。)
解説を読んで理解した気持ちになるだけで終わらないようにするべきなのは、これまでにもお話ししてきた通りです。
場合によっては、解答自体を疑って議論してみるということもやってみると意外な発見があるかもしれませんよ。
英作文など添削を受けたほうがいいものは、この時期に他人に見てもらうことで、よりよいものが書けるようにしていきましょう。
大学別模試の問題もしっかり復習することで、模試を最大限活かしましょう。
ここで1点でも多くとる気合いを持って問題に取り組むことが大切です。
独特の傾向がある難関校であれば、この時期にできるだけ多くの過去問に取り組んでみてもいいかもしれません。
そもそも標準的な問題だけを出す大学であれば、あまり過去問にこだわる必要はなく、形式に慣れた後は、一般的な問題集を何度か通ことをお勧めします。
2次試験前に、共通テストで鈍った勘を取り戻すために解く分として、直近の過去問をとっておくのが良いことはこれまでもいってきた通りです。
解く過去問がなくなりそうと感じたら、大学別模試の過去集が市販されていますから、それを並行して解けばいいでしょう。
高校3年生12月~共通テスト『共通テスト前は、共通テストに集中する』
この時期は少しずつ共通テスト対策に比重をおくべき時期です。
共通テスト直前はさすがに、共通テスト問題の演習に力を入れましょう。
共通テストでそもそもいい点が取れなければ、過去問を解いてきた意味がありませんからね。
年明けから2週間程度の共通テスト演習だけで高得点をとれる人もいますが、共通テストの時間配分はかなり厳しく、訓練しなければこなせないことが多いです。
ここは、一旦二次試験のことは頭の片隅に置いておきましょう。
共通テストから二次試験までは、思った以上に期間があります。
重要なことは、共通テストボケを起こさないことではなくて、いかに共通テストボケを早く解消できるかということです。
次の話に関連しますが、別にボケなくても共通テストが終わって気が抜けているようではいけません。
ボケてもいいので、共通テスト対策を全力でやり、共通テストが終わったら素早く切り替えて二次試験対策を全力でこなす。
これが理想形です。
共通テスト後~二次試験『素早い切り替えが成功のカギ!』
共通テストの結果に振り回されすぎる必要性はありません。
満足のできる点数を取れた人なんてごくごく少数派だからです。
そのため、気持ちを切り替えて、一気に二次試験に向かいましょう。
これまで大切に残していた過去問3年分を、ここで消費しましょう。
自分の実力の最終確認と問題の傾向・難易度を確認しましょう。
「ここで解けなくて自信を失ったらどうするんだ!!」と文句をいう人もいるかもしれません。
事実、この時期は新たな問題には手を出さない人も多いようです。
過去問を少し解いて勘を取り戻したり、今まで解いた問題を復習したりすることで、「自分は出来る!」という感覚を持てるように、ということだそうです。
精神面・肉体面両方での体調管理をする上で、自信の喪失はいいことでないのは確かです。
しかし、そんなことは簡単です。
「この年の問題で入試を受けなくてよかった〜」と思えば良いだけの話です。ポジティブにいきましょう。
自信の喪失を恐れる以上に、直前に最新の過去問を解くことによるメリットの方が大きいです。
同じ問題なんて二度と出ないのですし、難易度も同じとは限りません。
そこは運でしかないので、もっと楽観的にいきましょう笑
赤本のその他の使い方
赤本はコピーして使う!
赤本は実際の入試問題を縮小している上、解答欄もなく、持ち運びも不便で、見にくいと大変使いにくいです。
面倒ですが、拡大コピーして使うのが1番かもしれません。
また、解答欄の大きさは、注意書きとして載っているので、しっかり確認して、本番で戸惑うことがないようにしましょう。
実践模試は、かなり本番を意識して作られているので、解答用紙等を確かめておきましょう。
第2志望以下の赤本は解きすぎない!
志望順位の低い大学の赤本は、学校や予備校の資料室から借りて、必要年数分だけコピーして解くだけでも十分でしょう。
あまりに独特の問題形式である場合は別ですが、第2志望以下の過去問を解くことに時間を費やしてしまうのは、勿体ない気がします。人それぞれですが、解きすぎないことをお勧めします。
第1志望の対策をしっかりやり込んだ人は、本質的な学力が付いているのでわざわざ入試別に対策をする必要はないでしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。
これから受験までの1日1日を大切に、計画的に、勉強に励んでください!日々の努力は必ず積み重なって、あなたの力になっています。
その先に、きっと、後悔なき受験、待望の合格が待っていますよ!