【フランス語を読む1(文学1)】高校生にも分かりやすく!早稲田大学文学部の授業紹介

早稲田大学文学部の「フランス語を読む1(文学1)」とは?

「フランス語を読む1(文学1)」とは?

「フランス語を読む1(文学1)」は、フランス語の語学力を高める講義群「フランス語を読む」シリーズの1つで、主にフランス文学における詩の読み方を学ぶ講義です。

フランス語は英語に比べると構文が格段に複雑で難しいのですが、フランスの詩の解釈はフランス語学習の中でも最もハイレベルな学習の1つと言っていいでしょう。

フランス語の詩を正しく理解するためには、言葉としてのフランス語の知識だけでなく、フランス語の詩の構造(韻の踏み方など)を知っておかねばならないからです。

「フランス語の詩を独学で読むのはなかなか難しいので、専門の先生の指導のもと、クラスみんなで詩を理解しよう!」というのが、「フランス語を読む1(文学1)」の講義の趣旨になっています。

というわけでこの記事では、早稲田大学文学部の「フランス語を読む1(文学1)」の実態について筆者の実体験を基にご紹介します!

早稲田大学文学部の「フランス語を読む1(文学1)」の授業はどんな感じ?

ここでは、2020年度春学期に早稲田大学文学部で開講された「フランス語を読む1(文学1)」の講義の概要を説明します。

2020年度春学期は、早稲田大学の講義の全面オンライン化に伴い、急遽zoomでの講義になりました。

そのため、この記事の内容は2021年度以降の講義にはそぐわない可能性があります。あらかじめご了承ください。

早稲田大学文学部の「フランス語を読む1(文学1)」の授業形態

2020年度春学期の「フランス語を読む1(文学1)」は、zoomを介したリアルタイム配信の形式をとっていました。

評価は平常点50%と期末課題50%で決まっていました。

平常点はzoomへの出席と、講義内での発言頻度で決まります。普通、出席していれば満点になるはずです(よほど非常識な行為を取らない限りは……)。

期末課題は、先生が用意したフランス語の文章の和訳問題12問を解くというものでした。正直かなり難しいので、単位が欲しい人は平常点を満点にしておくことをオススメします。

早稲田大学文学部の「フランス語を読む1(文学1)」の授業風景

講義形態の説明が終わったところで、実際の講義風景の紹介に移りましょう。

講義は毎回zoom配信で、18時15分から19時45分までという遅めの時間帯に設定されていました。お腹が減るので、講義が始まる前に晩ごはんを急いで食べていたのをよく覚えています。

18時15分になるとzoomに入れるのですが、大抵の場合先生のインターネット環境が不安定になっているので、実際に講義が始まるのは18時25分頃になっていました。

ようやく全体のネットワーク環境が安定しだすと、おもむろに和訳が始まります。

出席簿の順番に1人1行ずつ和訳を担当していきます。

課題になっているフランス語の詩文は短くて10行、長くて40行くらいなので、テンポよくやっていけばすぐ終わりそうに思えます。

ところがどっこい、そんなにすぐには終わりません。90分の講義で、40行どころか10行も進まないのが普通です。

というのも、先生はフランス語の詩文の専門家なので、1行の詩文に隠されている解釈の可能性について延々と楽しそうに語ってくれるからです。

この講義の先生は関西のご出身なのですが、

「この作家の作品はここで紹介しとるもん以外に〇〇とか××とかがあってな。まあ〜↑↑意味わからんのやわ、ほんまに。わからなすぎて笑えてくるねんけどな。でもまあ不思議な魅力があるから、読んでみてな」

といった調子で、どんどん脇道に逸れながら、フランスの詩をめぐる四方山話をたくさん聞かせてくれます。

先生のこの四方山話を聞くだけでも、「フランス語を読む1(文学1)」の講義を履修する価値があると私は思っています。だってめっちゃ面白いですからね。1日の疲れを癒すにはもってこいです。

もちろん、詩文自体の解説も非常に丁寧に行ってくれるので、多少フランス語の知識が曖昧でも十分講義についていけます。

講義の内容が面白いのはもちろん、講義以外の話も充実している「フランス語を読む1(文学1)」を、ぜひ1度履修してみてはいかがでしょうか。

早稲田大学文学部の「フランス語を読む1(文学1)」をすることについて

「フランス語を読む1(文学1)」は何の役に立つのか

ここまでの説明を読んで、「フランス語の詩を読む力を養ったところで、それがなんの役に立つの?研究者にならない限り使わないスキルなんじゃない?」と思われた方も少なくないでしょう。

しかし、フランス語の詩を理解する能力は、フランス文学研究以外にも幅広く利用できます。この記事では、フランス語の詩を理解することで得られる多数の効果の中から、

  1. 音としての言葉へのセンスが磨かれる
  2. 言葉の表現の幅が広がる

の2つを選んで紹介します。

「フランス語を読む1(文学1)」の効果①:音としての言葉へのセンスが磨かれる

「フランス語を読む1(文学1)」が役に立つ理由の1つ目は、音としての言葉へのセンスが高まるということです。

詩は、全体として一つの意味体系を形成しているだけでなく、各行の言葉が一定のリズムに則って選ばれており、リズミカルに朗読できるようになっています。

リズミカルに朗読できる文章は、人の記憶に残りやすい文章でもあります。したがって、詩での言葉の選び方を学ぶことによって、リズミカルで印象に残りやすい文章を書く技術を養うことができるのです。

「フランス語を読む1(文学1)」の効果②:言葉の表現の幅が広がる

「フランス語を読む1(文学1)」が役に立つ理由の2つ目は、言葉の表現の幅が広がるということです。

フランス語の詩に登場する言葉は、どれもかっこいい表現です。

詩的でかっこいい表現をたくさん知っていると、普通の人より印象的な文章を書けるようになります。

文章力は一生役立つ力ですので、ぜひフランス語の詩から表現をたくさん覚えてみてくださいね。

「フランス語を読む1(文学1)」の魅力

「フランス語を読む1(文学1)」の魅力は、なんといってもフランス語の奥深さ・かっこよさに触れられる点にあります。

フランス語のイディオムにはたくさんの比喩的な表現があります。例えば、

“Je suis en train de ~”(読み:ジュ スイ ゾン トラン ドゥ)

は「私は〜している最中である」という意味ですが、1つ1つの語義通りに訳すと「私は電車の中にいる」になります。

「電車」という比喩を使って「〜している」という進行形のニュアンスを出しているわけです。フランス語の言葉が持っている意味の奥深さがわかりますね。

フランス語の詩に触れていると、このようなフランス語の言葉の多様性・奥深さに出会う機会がたくさんあります。言葉の奥深さを知るたびに、フランス語はもっと面白くなります。

あなたも一度、詩を介して深遠なフランス語の世界に飛び込んでみませんか?

「フランス語を読む1(文学1)」でおすすめの本

最後に、これから「フランス語を読む1(文学1)」を履修する予定のある人におすすめの本を2点紹介します。

「フランス語を読む1(文学1)」を履修する上では、ある程度のフランス語の知識と詩に関する知識が必要になります。ぜひ以下の本を読んで、前提知識を深めてみてくださいね。

  • 安藤元雄・渋沢孝輔・入沢康雄著『フランス名詩選』、岩波書店、1998年。
  • 白川理恵著『CD付き オールカラー超入門! 書いて覚えるフランス語ドリル』、ナツメ社、2017年。

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